不当な仕打ちに憤るものが無抵抗な市民を襲撃していいのか

 朝日新聞などによると、「建国義勇軍」や「国賊征伐隊」と名乗り、広島県教職員組合を銃撃したのは「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)熊本の理事であったことが判明した。

<以下引用>
広島県教組銃撃容疑で男逮捕 建国義勇軍、逮捕12人に


 広島市の広島県教職員組合書記局が6月に銃撃された事件で、警視庁などの合同捜査本部は22日、熊本市田迎1丁目、職業不詳、木村岳雄容疑者(34)を銃刀法違反(発射)と建造物損壊の疑いで逮捕した。「建国義勇軍」などを名乗るグループによる一連の事件での逮捕者はこれで12人となった。

 調べでは、木村容疑者は6月27日午後9時半ごろ、岐阜県を拠点とする刀剣愛好家団体「刀剣友の会」会長で会社役員の村上一郎容疑者(54)=銃刀法違反などの容疑で逮捕=らと共謀して広教組書記局に拳銃2発を発射して、窓ガラスなどを壊した疑い。調べに「かかわっていない。知らない」と否認しているという。

 捜査本部によると木村容疑者は「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)熊本の関係者という。

 「救う会」は22日、同会熊本の理事だったことを認めたうえで同日付で解任されたことを明らかにした。さらに「容疑が事実なら『家族会』や『救う会』が展開してきた救出運動への重大な裏切り行為であり、許すことができない」との談話を出した。<2003/12/23朝日新聞>
<引用終わり>

 広島県教組を銃撃した疑いで、「建国義勇軍」や「国賊征伐隊」と名乗る「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)熊本の理事が逮捕された。日教組は、拉致に対して遺憾とし被害者に対して同情的であった。全国の学校では、拉致被害者を招き講演会をし、励まし世論形成に協力してきた。今回の事件に「救う会」が関係しているとは思わない。構成員に右翼的な考え方の人間がおり、拉致問題を利用して自分たちの国家主義的な理想を押し進めようとしたものと考える。

 もし、逮捕事実が真実なら、不当な北朝鮮の仕打ちに憤りながら、無抵抗の市民に同じことをしたことになる。幸い、広島県教職員組合の銃撃では、被害者が出ていないが、もし、死者でも出ていたら「救う会熊本」の道義的責任は免れないだろう。

(2003/12/25)


生地が燃えやすい服は販売禁止

神戸新聞の2003/12/21の朝刊に次のような記事があった。

<引用開始>
全国高校駅伝開会式 県西宮・弁野さん仲間と行進

 二十一日に京都市で行われる全国高校女子駅伝に初出場する兵庫県立西宮高校の三年生部員で、大やけどを負い、選手登録から外れた弁野志保さん(18)が二十日、開会式で入場行進した。「都大路」への思いは人一倍強く、メンバーの後押しで、主催者側も特別に行進を認めた。「ずっと目指していた場所」と弁野さん。仲間とともに晴れ舞台で笑顔を輝かせた。

 有力選手だった弁野さんは昨年十一月、自宅でコンロの火が衣服に移り、上半身に大やけどを負い、皮膚の移植手術を三度受けた。

 復帰を志し今年八月、合宿に参加。ブランクを埋めることはできなかったが、中村友梨香主将(17)は「その姿から勇気をもらった」という。

 開会式の入場行進は、走者五人を含む登録選手八人だけだが、体調不良の選手の代役として臨んだ弁野さんは「先生、仲間に感謝したい。でも、うれし涙は本番にとっておきます」。初入賞を目指すチームメートの活躍に期待を寄せていた。(松本大輔)
<引用終わり>

 アメリカでは、燃えやすい生地の洋服は販売禁止である。日本のメーカーもアメリカ向けは、検査をおこなって認定を受けなければ輸出できない。45度に生地を傾けて、下から火を付け何分で燃えるかという検査である。何分以上が合格か忘れたが、早く燃えるものはダメである。日本国内で販売するものは、基準がないので検査しない。アメリカは、戦争でイラクの民衆も殺すが、安全基準は厳格である。
 アメリカは、製造物に対する責任追及が裁判で行われる。また、米政府もアメリカの商品は安全で優秀であるということを世界に宣伝する必要があるから厳格な基準を設けている。この辺、日本の政府は見習う必要がある。電化製品など日本の商品は優秀だとういう評価があるが、日本の商品は安全であるという評価を得ることで日本に対する信頼も増すだろう。
 弁野さんの事故も、日本だから軽傷で済んだという報道であれば良かったと思う。
 
(2003/12/22)

またも金持ち優遇 住民税10%に統一 
 
 2003/12/14の朝日新聞朝刊に「住民税率を06年度までに10%に一本化 政府税調方針」という記事があった。つい最近、累進税率をアメリカより緩くしお金持ちを優遇した。従来70%であった最高税率を、所得税37%住民税13%の50%にした。今度は、住民税を10%にし、累進税率を引き下げることを考えているらしい。いい加減にしてよ、政府・自民党。


 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、所得水準に応じて5、10、13%の3段階ある地方税の住民税率を06年度までに10%に一本化する方向で検討に入った。実施すると低所得者層を中心に総額3兆円の増税となるが、その分を国税の所得税で減税。負担増を極力回避する。国と地方の税財政の「三位一体改革」に伴い、税源移譲を本格的に実施するのが狙いで、年明けから具体案作りを始める。

 住民税率の簡素化は、都道府県分と市町村分で10段階以上あった累進税率を88年度に3段階にして以来。もともと行政サービスの対価である個人住民税は「所得にかかわらず受けるサービス水準は同じ」との理由から、累進税率よりも単一税率がふさわしいとする意見が強い。

 政府は06年度までに4兆円の地方向け補助金を廃止・縮減し、それに伴い地方が必要とする金額分の税源を移譲する。このうち04年度分では4249億円分をたばこ税の移譲で実施する。ただ、3年間では税源移譲の必要額が3兆円程度となるため、基幹税である所得税の一部を移す。

 検討案によると、5%税率を10%に引き上げて3.3兆円増税、13%税率を10%に下げることで0.3兆円減税となり、差し引き3兆円の増税とする。この10%税率を基準に、裕福な地方自治体は税率を下げたり、財政赤字の自治体は税率を上げたりできるような地方の「課税自主権」導入も検討している。

 住民税率の一本化にあわせ、所得税は3兆円分減税する。具体的には(1)基礎控除などの所得控除を上積みして課税対象額を減らす(2)4段階(10、20、30、37%)の累進税率を引き下げる、などの案が浮上している。

 住民税と所得税の増減税額を総額で一致させても、個々の納税者にとっては税額が増えたり減ったりするケースが出る。非課税扱いとなる収入額(課税最低限)は住民税の方が所得税より低く、住民税だけを納める納税者が約300万人いる。こうした納税者が「実質増税」になってしまうため、政府税調は控除額などの上積みなどで大幅な負担増にならないよう配慮する意向だ。

 03年度の税収見通しは、住民税が8.2兆円(約5000万人)、所得税が13.8兆円(約4700万人)。3兆円の税源移譲で、国と地方の個人所得課税の比率はほぼ1対1になる。 (朝日新聞2003/12/14)


人頭税を上げる自民党 再び 法人税をまけてやるのか

 2003年12月5日、「住民税の均等割を上げる」という記事が各紙に出ていた。
朝日新聞によると
<以下引用>
 自民党税制調査会は4日の幹部会で、納税者1人当たり年間3000円〜4000円を負担している住民税(地方税)の「均等割」を増額する方針を固めた。具体的な増額幅については、週明けから調整に入るが、1人当たり年間数千円程度になる見通しだ。また、連結決算を導入した企業を対象にした連結付加税を04年度から廃止することでも一致した。

 住民税の均等割は、所得水準の伸びと比べて、低水準にとどまっているとされる。税額は市町村の人口によって3段階に分かれているが、政府税制調査会は04年度税制改正の中間報告で、この基準の一本化や、生計を同じくする妻に対する非課税措置の廃止などを提言している。自民党税調がどのような増額幅にするかが今後の課題になる。

 連結付加税は、連結納税を選択した企業の法人税に対し、2%の付加税率を課すもの。経済界が廃止を要望していた。廃止による実質減税は約1000億円となる。(2003/12/05朝日朝刊)
<引用終わり>

分かりにくいので、同日の日経新聞の図を引用する
<引用開始>
(2003/12/05日経朝刊)
<引用終わり>

 自民党は許し難い。働くものの敵、国民の敵だ。取りやすい所から取る。専業主婦の社会保険料は、他のサラリーマンが払っている(年金の3号問題)。また、国民年金の37.2%の未払い分をサラリーマンの厚生年金と公務員の共済年金で穴埋めしている。今回もサラリーマンの共働き家庭から取ろうとしている。
 国会議員及び地方議員は、たった10年収めるだけで議員年金がもらえる(年金412万)、しかも、重複受給も許されている。「在職10年で最低年間400万円」という受給基準は国民年金のおよそ20倍だ。その支給額の3分の2は税金から出されている。
 グリーンピア事業(自民党の厚生族議員も同罪)の建設とその失敗で失われた年金は、8兆8620億円。年金の株式市場での運用損が累計で約5兆円に達する。併せると13兆円超を国民に相談もなく厚生官僚は自分達の天下りの確保のために使って無くしてしまった。
 自民党の国会議員の皆さんがサラリーマンに変わって増税分を負担すべきだろう。国民はバカではない。ちゃんと見ているということをお忘れなく。
(2003/12/06)


自民党はアメリカのATMだ!

 朝日新聞によると、自民党政府はイラクへの支援を15億ドル(1650億円)と決めた。イギリスが2億5000万ポンド(460億円)。欧州連合(EU)が2億ユーロ(260億円)に比べると突出した支援だ。
 自民党政権は、国民の税金を何と思っているのだろうか。
<引用開始>
イラク復興 日本、来年分は15億ドル

 政府は14日、イラク復興支援への日本の資金拠出について、04年分は15億ドル(約1650億円)の無償資金協力とする方針を固めた。17日に予定されているブッシュ米大統領の来日前の15日に発表する。
 支援の内容について、福田官房長官は14日の記者会見で「民生関係だ。人道的なものを中心とした復興支援だ。水に限らないが、水も極めて大事だ」と述べ、給水や給電、保健・衛生などイラク国民の生活支援を優先する考えを示した。
 外務、財務両省は、04年分の拠出を15億ドルから20億ドルの間で最終調整していたが、こうした優先分野に必要な額を精査した結果、15億ドルとすることで決着した。04年に開始する事業について総額15億ドルの支援を行うため、実際の支出は複数年にわたる見通しだ。
 政府は、世界銀行などが資金需要として見積もった04年から4年間で550億ドル(約6兆円)のうち、1割程度にあたる50億ドル程度を拠出する方向で、23、24の両日にマドリードで開かれるイラク復興支援国会議に向けて、最終調整を続ける。05年以降は円借款を中心とする方針だ。

イラク復興支援財源はODA予算中心 財務省事務次官
 財務省の林正和事務次官は16日の記者会見で、イラク復興支援の15億ドル(約1650億円)の財源について「既定の政府の途上国援助(ODA)予算が中心。今の時点では補正予算が必要だとは考えていない」と述べた。その上で、「基本的に04年の復興需要への対応なので、03年度と04年度予算」と述べ、両年度のODA予算で対応する考えを示した。
 林次官は、04年の支援額が15億ドルと決まった根拠については、世界銀行などが試算した04年の復興必要額約175億ドルを基本にしたと述べた。また、50億ドル程度とされている05年以降の支援については「近くイラク復興支援国会合があるので、その時に発表できるように詰めている」とし、23、24日にスペインで開かれる会合までに支援額を決める考えを示した。
<引用終わり>
(2003/10/16朝日新聞)

「なだいなだ」さん老人党旗揚げ−株価問題を考える−

 「なだいななだ」さんが「老人党」を旗揚げしたという記事が朝日新聞に載っていたので早速アクセスした(老人党のURLは、http://yufuu.com/RJ/)。結党宣言を読むととっても面白く老人でなくても入れるそうなので、私も入れと貰おうと思っている。是非、皆様も老人党への入党を考えてみてください。
 
 その結党宣言の説明に、次の「なだ」さんの怒りがある(HPから一部引用させていただきます)。

<引用開始>(早稲田大学での講演より)
君は株を持ってますか

皆さんの推論では、株を持っているのは、日本の住民、あるいは納税者の何パーセントでしょ
う。持っている人の方が、もっていない人より多い?そんなことはないでしょう。
政治家たちは、持っているような顔をしています。自分が株を持っている人間たちが、株価対
策を主張するのはおかしいと思いませんか。自己への利益誘導、それを政治家がやる。
毎日のように政治家たちは、株価対策を議論してますが、ぼくは株を持っていません。株を奨
められるたびに、「親の遺言で、株は持たないことにしています」と答えてきたけど、これはウ
ソ。親はそんな遺言はしなかった。だが、ぼくの父親は、若いとき相場に手を出して、家族を苦
しめた経歴の人間です。ともかく、一部の株を持っている人間のために、国が株価対策をする
のは、おかしい、とぼくは思う。
そもそも、銀行に株を買わせるようにした政治家は、だれか、名前を知りたいですね。
株価をつり上げさせるために、銀行の資金を使わせ、年金も使わせ、それが銀行や年金の今
の足かせになっているのに。そしてさらに、今度は郵便貯金ませ使わせようとしている。さら
に、日銀にまで株価を買い支えをやらせようとしている。日銀の金は紙切れです。それを株の
買い支えに使えば、まあ、インフレは間違いない。無理にインフレを起こさせようとしているので
すね。ぼくは経済学者でないけど、この考えは間違っていますか。経済に詳しい人、間違いを
指摘してください。
経済の徒は、経世済民どころか、ギャンブラーの集まりになってしまった。
<引用終わり>

 2003年8月18日東証の日経平均が反発して1万円台を回復したらしい(2003年4月頃は8、000円を切っていた)。銀行、年金、郵貯まで動員、さらに禁じ手といわれる日銀にまで株を買わせるという企みが成功したのだろうか。しかし、これでは、経済が本当に回復したかどうか分からない。さらに、その膨大な資金の投入分が、年金の切り下げや医療保険の個人負担分の増加になっている。
 先日テレビを見ていたら、C型肝炎の老人の生活苦を描いた番組があった(ニュース23だったかな)。この年金生活の老人は、病院に支払う医療費が増加して生活を圧迫し、一ヶ月5〜6万で奥さんと二人で生活している。ぎりぎりの生活だ。慢性的な疾患で通院している人は、薬を飲まなくては暮らしていけない。この老人も月に10万以上医療費がかかる。老人でなくても、お医者に行かなければならない人の生活を思うと暗い気持ちになる。
 医師会が3割負担反対のキャンペーンを張っていた。私は、どちらかというと医師会が嫌いなので3割負担に賛成していた。結果、医師会は、お客が減っていいるようだ。いい気味だと思っていたら、負担増で老人など病気で生活苦になる人が増えていることを知った。3割負担は、困窮している病人を直撃しているのだ。不明を恥じると共に3割負担の撤回を求めたい。
 老人党の綱領に全面的に賛成だ。小泉さん。有事法制とか、イラク新法とか食えないことばかりに力を入れず。社会的弱者のための経済政策に真面目に取り組んで下さい。老人党の活躍に期待します。
(2003/8/18)


たった1万5千円で3人心中!なぜ闇金を規制しないの?

 2003/6/17、朝日新聞によると、<大阪府八尾市のJR大和路線の線路上で、同市内の夫婦ら3人が電車にはねられ死亡した事件で、東京の金融業者が夫婦から法定金利(29・2%)を大幅に超える利息を取っていたことがわかった。八尾署は、業者が無関係の近隣住民にも電話して、夫婦に借金を完済させるよう促したことなどから、3人が心理的に追い込まれて自殺した疑いがあるとみて、出資法違反(高金利)や恐喝の疑いで調べる。
 調べでは、死亡した清掃作業員の男性(61)と妻(69)は、この金融業者から小口の融資を受けたが、利息が雪だるま式に膨らみ、執拗な取り立てに悩んでいた。
 妻は5月12日、同署を訪れ、「4月始めに1万5千円を借り。すでに利息10万円を支払ったが完済できない」と相談。署の担当者が法定金利を超えていることを告げると、「自分で対応します」と言って帰ったという。
 だが、妻は同20日、一緒に死亡した兄(81)を伴って担当者に再度面会し、「業者に電話したが、完済に応じてくれない」と訴えた。>(後略、2003/6/17朝日新聞)
 とても痛ましい事件だ。警察ももっと誠実に対応すべきだ。闇金がはびこってきつい取り立てをしている。恐喝など重たい罪で取り締まるべきだ。厳しい罰則の新たな闇金規制新法を作る必要があるのではないか。

医師会補助金自治体見直し

 老人や乳幼児らを対象にした医療費助成制度に協力してもらう見返りに、自治体が医師会などに多額の公費を支払っていた問題で、支出のあり方を見直す動きが始まった。という記事が朝日新聞に出ていた。しかし、有権者を小馬鹿にした、子供だましの見直しだ。お金持ちの医師会に補助金は不要!。納税者として無視できないので、朝日新聞の一部を引用し紹介します。

<引用開始>
 神戸市は14日に発表した新年度当初予算案で「協力金」を25%減額した。02年度は医師会に約1億7千万円、歯科医師会に約7千万円を払ったが、それぞれ約1億2千万円、約5千万円とする。
 協力金の支払いは過去30年にわたり総額47億円余に達していた。これまでは福祉医療費の伸びに応じて、徐々に協力金を増額させてきたが、こうした方法もやめる。市の担当者は「厳しい財政事情を考慮した」と話す。使い道の報告義務がなかった点についても、報告を求める方向で調整中という。
 和歌山県医師会は県の補助金の一部を一人2万円の飲食費などに使っていた。補助金の交付要綱には、支出の目的について「(助成制度の)円滑な推進を図るため」としか書かれていなかったため、新たにこれを補完する要領を策定。研修や県から会員への文書配布など、使用目的を具体化した。「全体として適正に使われていたと思うが、飲食費への支出が合まれていると誤解を招くので」と県側は言う。
 一方、大阪府も、同府医師会や歯科医師会など4団体に計約9億2千万円(01年度)の補助金を支払っていたが、昨年11月の府議会で見直しを表明した。一部は国の行政改革大綱に反して役員報酬に使われていたことなどが明らかになっており、今後見直しの中身について議論を進める。
 奈良県は毎年、県医師会、県歯科医師会など4団体に計1億3500万円を定額で出してきたが、03年度予算案で5%,を削減した。「補助金が適正を欠いたからではなく、財政事情が厳しいため」と県保険福祉課は説明している。
 一方、見直しの流れに、医師会側は複雑な表情を見せる。市からの協力金が歳入のほぼ半分を占める神戸市歯科医師会は「自治体の財政がひっぱくしている状況は理解しているが、協力金は主に障害者や高齢者への福祉関連事業に支出しており、削減には苦慮している」とコメント。神戸市医師会の長谷川修会計理事は「市の財政事情も厳しいので、市と話し合って削減を決めた。使途はこれまでも口頭で報告してきたが、今後は誤解をまねかないように正式な文書で報告する」と語した。
 7億4500万円(01年度)の補助金を受けていた大阪府医師会の米田正昭事務局長は「内容の見直しについてはこれから府と協議していく」。01年度に約4300万円を受け取った和歌山県医師会は「県の指摘もあり、会計方法については見直しを進める」といい、補助金による事業と他の支出を明確に区別する方針だ。

 市民グループ「見張り番」の松浦米子代表世話人の話「使い道の報告義務を課すだけの見直しでは、表面的な体裁を整えただけで評価できない。大阪府にいたっては9億円もの公費を支払いながら、いまだに見直しが具体化しておらず、医療団体側と何か深いきずながあるのではと疑いたくなる。そもそも助成制度に関する研修や啓発にそんなに金がかかるのか。実際に事務負担が増える医療現場に手数料程度を払うならともかく、団体への補助では金の趣旨がいかされない。この際、支出自体をやめてはどうか。」
<引用終わり>
(朝日新聞2003/2/22)
 神戸市医師会の理事の話だが、口頭で報告していたのを文書で報告すればいいという問題ではないだろう。支出そのものが問題だ。今、神戸市では、交通局の高額給与が問題になっている。市長の給与もやっと他市なみに引き下げたようである。神戸市の担当者が、厳しい財政事情というならば補助をどうして廃止しないのだろう。


医療費抑制に医師会は自らを律せ
(千葉大学法経学部 手塚和彰)

 千葉大の手塚さんが、朝日新聞に「医療費抑制に医師会は自らを律せ」という文章を書かれていました。医療費3割負担をめぐっては、自民党の一部や野党が医師会のお先棒を担いで予算の組み替えを要求しています。医師会の本音は、お客が減り収入が減るという商売上の理由だけだ。手塚さんのいわれることは至極普通でもっともだと思いますので、紹介します。「昔陸軍・今医師会」「医は算術」などといわれているが開業医諸兄、少しは反省して欲しいものだ

<引用開始>
 日本経済の低迷が続く中で、例外的に成長を続けている「産業」がある。
 医療産業である。現在30兆円を超える国民医療費は、2025年には81兆円に達し、その半額は70歳以上の高齢者医療に充てられる見込みだ。ここで私が、人の命と健康を守る医療をあえて「産業」と呼んだのには理由がある。
 国民の健康を公的な杜会保障制度の枠内で守るという本来の姿が忘れられ、医師、とりわけ開業医のむき出しの利害が表に出てきているからだ。最近の医師会による「医療費3割負担」への反対運動は、現役サラリーマンの重荷を軽減するためであるかのように装ってはいるが、その本質は、自分たちの売り上げが減るのを拒む「産業の論理」そのものに見える。
 今後も続く人口の高齢化と医療の高度化により、国民医療費は増加しても減少することはない。
 先進国のうち、医師が自らの判断に基づいて出来高制で医療を供給し、その対価を保険に請求できるのは,日本だけである。高齢者に対する人工透析などは「自前で」という福祉国家の本家・英国や、地域ごとの総額契約制での医療供給が保険医に課せられている(つまり、医療供給の総額が制限されている)ドイツなどとは、事情が全く異なっている。
 日本の開業医が経済的に世界で最も恵まれていることを否定できる人はいないのではないか。加えて日本は、試験に受かりさえすればすべての医師が平等に開業でき、「専門医」として自由に診療できるという不思議な国だ。にもかかわらず医師の側が、国民に対する責任を果たすだけの改革に取り組んでいるとは、とても言えないだろう。
 例えば、医療技術の進歩にあわせた再研修体制の強化とか、專門医には厳しい資格認定を設けるとかの動きは一向に見えない。
 薬濱けを脱し、医療費の適正化を図るには、先進国の中で抜きんでている入院日数の削減はもとより、どれだけの医療費がかかっているか患者が認識できるように、現在の「現物給付原則」から、窓口でいったん全額を支払い、後に保険負損分の償還を受ける「費用補填原則」に切り替えることが不可欠だ。薬品を巡る過剰規制を改め、競争を強化させることも視野に入れなければならない。
 同じく高齢化と医療費の高騰に直面しているドイツは、これらのハードルをクリアしつつある。日本医師会には「その覚悟はあるのですか」と問いたい。
 現役世代の医療費の自已負担を2割から3割に増額することは、昨年末、国会で大議論の末に決まった。診療報酬を引き下げられる医師や、すでに昨年10月から医療費の1割を負担することになった高齢者とともに、「三者で堪え忍ぶ」(小泉首相)のではなかったのか。
 それを医師会は、票の力を背景にひっくり返そうとしている。明らかに無理押しだ。議会制民主主義はどこに行ってしまったのか。これでは「昔陸軍、いま医師会」ではないか。
 世の中には心ある医師も多いと思う。しかし、医師会批判は内部からは起きない。実に不思議な組織だ。この点でも旧陸軍と同断だと思う。
(2003/2/21私の視点、朝日新聞)
<引用終わり>

 そういえば、学校の教員の場合は、美術の教師と数学の教師は免許状が違いますね。美術の教師が数学を教えることはできません。医者の免許証がどの科も同じというのは考えて見ればおかしな話ですね