日本は世界の笑いモン5
日本に「応分の負担を」 防衛費めぐり駐日米大使
シーファー駐日米大使は14日、都内で講演し、日米の防衛費について、それぞれの国の国内総生産(GDP)割合を引き合いに出し、米国に比べ日本の負担が少ないと指摘。在日米軍が進める戦力近代化などを理由に日本の負担増に期待を示した。
シーファー大使は「アジア全体の平和維持に貢献している在日米軍は近代化を進めている」と説明。その上で、「米国は05年にGDPで4%以上を防衛費に使い、日本と当該地域のためにも使っている。一方、日本は1%以下だ。日本がもっと出せば、我が国にとっていい影響を与える」と訴え、日本にも経済規模に応じた負担を求めた。
同時に、シーファ一大使は、北朝鮮が昨年7月にミサイルを発射したことを引き合いにだし、「威圧的な行動によって政策を実現しようとする国に、その可能性がないことを示さないといけない」と述べ、戦力近代化の重要性を説明した。
<2007/03/15 朝日新聞>
何が日本のためにお金を使っている?シーファー大使のいうことは大嘘だ。アメリカはアメリカのために日本にいる。アメリカ政府の高官は、「米国内におくよりも日本に軍隊を駐留させる方が安上がりだ。」と述べている。
また、アメリカ政府、アメリカ人の常識は、「安保条約で在日米軍がいるのは日本を軍事大国にしないため」という、アメリカは中国にもそういっている。「思いやり予算」・「基地の地代」、さらに、アメリカ軍のグァム移転に、総額約1兆1900億円の移転費用のうち59%を負担するという。日本の政府のお偉方にお願いする。もう、これ以上アメリカにお金をあげるのは止めませんか。
思いやり予算の額(出典Wikipedia)
年 | 合計金額 |
---|---|
1978年 | 62億円 |
1979年 | 280億円 |
1980年 | 374億円 |
1985年 | 807億円 |
1990年 | 1680億円 |
1995年 | 2714億円 |
2000年 | 2567億円 |
2001年 | 2573億円 |
2002年 | 2500億円 |
2003年 | 2460億円 |
2004年 | 2441億円 |
2005年 | 2378億円 |
2006年 | 2326億円 |
(2007/03/16)
日本は世界の笑いモン4
佐世保に出現したアパルトヘイト・ウォール
<以下 引用>
総額28億円、相場4倍 外壁高さ14b「威圧的」
米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)の将校用住宅11戸が西九州自動車道の延長のため移転することになり、国土交通省が新たな住宅の建設費として1戸あたり2億5千万円以上をかけていたことがわかった。周辺の不動産相場の4倍近い。基地の近くで移転場所を確保するため、急斜面を造成したところ経費がふくらんだという。土砂崩壊を防ぐために設けられたコンクリート外壁は高さ14b、長さ250bに達、し、市役所には「威圧的だ」との苦情が住民から寄せられている。
新たな米軍住宅は基地の正門から約400b離れた市道沿いに立ち並ぶ。国交省によると、斜面に土を盛って約7600平方bの平地を造成し、8横11戸を計28億円かけて新築した。3月中に工事を終え、今年夏ごろから入居予定という。
昨年夏にコンクリート外壁が出現して以降、住民から「近くを歩くのが怖い」 「威圧感があり不快だ」との苦情が市役所に相次いで寄せられた。壁に近い海上自衛隊佐世保地方総監部の幹部白衛官は「なんであんなものをつくったのか。住宅なら他の場所でもよかったのではないか」。米軍関係者ですら 「あの壁は異様だ」とあきれる。
(渡辺淳基)
<朝日新聞2007/3/6>
アメリカに「思いやり予算」を要求され、何千億円も支出し、あげくにバカにされ、もうアメリカ軍にお金をあげるのは止めませんか。
米軍グアム移転費(日本は世界の笑いモン3)!
米軍のグアム移転費の負担は、不条理で屈辱的だなと思っていたら、朝日新聞(2006/05/07)の「声」の欄に大阪の方が同じ思いを書かれていたので、紹介したい。
また、今朝(2006/05/07)のサンデーモーニングでも、コメンテーターが、「アメリカの学校を建設すると言うけれど、アメリカの学校を建設するのはアメリカの政府の仕事でしょ。どうして日本が作る必要があるのか」といったことを言っていた。
沖縄などで思うことだが、アメリカの軍人は芝生の敷かれたゴルフ場のような敷地に、思いやり予算で建てられた広々とした家族住宅に住んでいる。一方、基地の外に住む日本人は、「ウサギ小屋」に住んでいる。「ウサギ小屋」に住む日本人が、アメリカの領土のグアムで、どうして家族住宅を作ってあげなければいけないのだろうか。
米軍再編で座間にアメリカ軍の司令部がやってくる。日本の自衛隊は、座間のアメリカ軍の司令部の命令を受けることになるのだろうか。共同行動という米軍の下請けが進むのだろうか。
米軍の下請けとしてのイラク戦争協力は、「テロ特措法」によって、今でもまだインド洋で、アメリカ等の軍艦にフリーオイル(ただのオイル)を入れてあげている。また、「イラク特措法」によって、サマワに陸上自衛隊を派遣し、航空自衛隊もアメリカの物資を運んであげている。この費用は莫大である。また、イラクの復興支援にも、50億ドルの援助。いったい、アフガン戦争とイラク戦争関係費用だけでもいくら遣ったのだろうか。そして、今後の米軍再編の費用負担260億ドル(3兆円)。ついに、平和主義の日本の防衛費はアメリカに次ぐ世界第2位になってしまった。
日本は、借金大国である。借金を減らすには、防衛費を抑えることである。防衛費を抑える方法は、「憲法第9条」の堅持以外にはない。自衛隊を軍隊と公認し、アメリカと集団的自衛権を組み、「極東」から「不安定の弧」といわれるような地域に活動範囲を広げて、やっていけるのだろうか。「9条」があればアメリカも日本への協力をむやみに求められない。一方、「9条」を「改正」した場合、防衛費の増加は不可欠である。これからは、自衛隊員を減らし、防衛費もどんどん縮小させていかなければならない時代だ。現在、アメリカ軍に無償で提供している基地の地代もアメリカからちゃんと貰わなければならないだろう。「思いやり予算」もあげるようなお金はどこにもない。
「自民党」等は、平和主義という理念は大切だ。それは堅持して、「憲法9条2項」を変えるのだといっている。しかし、この「2項」が、日本の財政赤字及び防衛政策の根幹にかかってくる。憲法9条1項を変えないのは賛成だ。平和主義の理念を錦の御旗に、中国・韓国その他アジアの国々と良好な関係を続けるのが、国家財政の赤字を減らし、しっかりした理念を持った国として尊敬される道だ。
一方、「憲法9条2項」を「改正」してアメリカの下請けとなって行動し、また、今のような思いやり的な費用負担を続けるならば、自己矛盾から精神病理に陥ってしまう可能性もある。また、国家破産ないし、軍事費用負担によって国民福祉は向上しない可能性がある。人口減少によって、国内総生産は減少する結果、この状態はさらに悪化するだろう。
結論として、損得で言えば、「憲法9条」の「堅持」は、「お得」である。
<以下引用>
「応分の負担」むしろ不条理−Kさん(大阪府交野市 70歳)
在日米軍再編で焦点になっていた在沖縄海兵隊のグアム移転費について、日米防衛首脳が合意したという。そのニュースに接した時、屈辱的な思いがした。
額資防衛庁長官らは「応分の負担」と述べたが、これほど「過分」、いや「超過分」の負担、むしろ不条理な負担は他にない。第一、自国の領土内に他国の軍隊がいるだけでも不合理なのに、総額約1兆1900億円の移転費用のうち59%を負担するという。個人間の話なら誰も相手にしないだろう。それがなぜか日米間で通るとは。
国内では増税、医療費値上げ、福祉や年金を削減するなどして国民を締め上げている。その一方で、在日米軍への思いやり予算をはじめ、今回の移転費負担と、何と気前のよいことか。おまけに、海外の米軍施設に財政支援をするには新たな法整備が必要だと、国会に法案を提出する準備をしているという。どこまでお人よしで寛大なのか。
教育基本法改正案に「我が国と郷土を愛する」との表現を盛り込んでいるが、これではいくら我が国を愛せよと言っても無理だ。
朝日新聞(2006/05/07)
(2006/05/07)
米軍グアム移転費(日本は世界の笑いモン2)!
2006年4月24日、朝日新聞夕刊のトップニュースは、「米軍移転日本60億ドル負担」・「総額の59%で合意」であった。米軍のグアム移転に、日本が60億9千万ドル(1兆1900億円)負担する。額賀防衛庁長官とラムズフェルド国防長官が米国防省で会談し合意したという。
どうして米軍のグアム移転に1兆円以上支払わねばならないのか?移転先のグアムでは、アメリカ軍の司令部の庁舎、隊舎、家族住宅、学校、さらに電力・上下道の設備をおこなうという。外国の軍隊が本国に移転し、その基地を整備するお金を払った国が今まであるのだろうか?そんなことをしたら、日本は独立国ではないし、世界の笑いモンになる。
4月26日には、ローレス米国防副長官は、在日米軍再編全体にかかる日本側の負担について、少なくとも260億ドル(2兆9800億円)にのぼるとの見通しを明らかにした。さらに、在日米軍の再編にかかわる経費の総額は約300億ドル(3兆4300億円)で、米側の負担はグアム移転の約40億ドル(約4600億円)にとどまると明言したという。
60億ドル(1兆1900億円)かと思ったら、ホントは260億ドル(2兆9800億円)で、当のアメリカは約40億ドル(約4600億円)しか負担しないという。どこの軍隊の引っ越しなのだろうか。
小泉政権になってから、地方交付税の削減、各種年金の掛金の増加と支払い時期の繰り下げ、公務員の給与抑制、医療費掛金の増額と自己負担割合の増加、老人配偶者控除の廃止、配偶者特別控除の縮小など国民負担の増加と給付の縮小が行われてきた。結局、このお金は、米軍にあげるために切りつめてきたのもだったのだ。小泉政権とは、アメリカに仕える政権だったのか?小泉首相は、「自民党をぶっつぶす」といっていたが、本当は「日本をぶっつぶす」と言うことだったのか。
政府は、米軍の引っ越し費用を負担をする理由を、「沖縄の負担を減らすため、早く出て行ってもらうため」といっている。しかし、米軍は、米国の世界戦略で再編される。ほっておいても移転する。いずれ出て行く。また、移転時期が遅くなるか、早くなるかは米国の考え次第だ。それなのに、3兆というとてつもない国民の血税をどうして使うのだろうか。沖縄の人に少し我慢してもらって、アメリカ軍に勝手に出て行ってもらった方が良いのではないか。
また、少し前は、米軍にお金をあげる理由を、「アメリカ軍が米国本土に引き上げると言っているが、できるだけ日本に近いグアムにしてもらった。」といったことを聞いたような気がする。しかし、グアムは、東アジアに睨みをきかす戦略的拠点であり、移転はアメリカが決めたことである。日本の要求で決めたというのは、お金を払う理由の後知恵であろう。また、ワシントン州の第1軍の司令部が日本に来るという。米軍の司令部が来ると言うことは、日本の主権が侵されることではないのか。いったい、日本は独立国なのだろうか。
〜政府の首脳達で3兆円払え〜
「米軍にお金をあげる理由がない」。また、「アメリカは日本をバカにしているな。こんな日本の政府は情けないな、ダメだな。小泉純一郎首相・額賀福志郎防衛庁長官・阿部晋三官房長官・麻生太郎外務大臣といった政府の首脳で3兆円払ってもらわないかん。国民に迷惑をかけるな。」と思っていた。しかし、新聞もテレビもそれほど批判していないし、私だけが怒っているのかなと思っていたら、元自民党の幹事長の野中広務さんが朝日新聞に同じ思いを書いていた。みんな同じ思いなんだなと思って安心した。もう少し、マスコミもこの問題を取り上げるべきだ。
<以下 野中広務氏 朝日新聞朝刊引用抜粋>
在日米軍の再編をめぐる日米の協議が最終局面を迎えている。96年に発足した橋本内閣や、小渕、森内閣のもとで沖縄の基地問題の解決に取り組んできた1人として、私は今回の協議を怒りと悲しみをもって見つめてきた。それは、小泉政権が沖縄のことのみならず、一国のあり方を考えていないことへの腹立たしさと言ってもいい。
神奈川県のキャンプ座間には、米陸軍の第1軍団司令部が置かれる。日米は安全保障条約を結んでいるが、※平和友好条約はない。そうした国の軍司令部を、首都圏に置くことの意味は極めて重い。
しかも、自衛隊はさらに米軍と一体化し、米国の世界戦略の一翼を担うことになる。メディアや国会の論戦で、こうした点が深く問われなかったことは残念でならない。
※中国とは「平和友好条約」(1978年)を締結している。
沖縄の海兵隊のグアム移転では、持参金の交渉のために、防衛庁長官が米国まで出向いた。沖縄の基地が少なくなることは私も歓迎だ。だが、そんな金を払うぐらいならば、我々は同額を沖縄の振興に充てるのだ、というぐらいの気概を示すべきだった。それで海兵隊が出ていかないと言うのであれば、「いてもいいが、事故を起こすな」と突っ張ればいい。それが、独立国の衿持というものだ。
米国には頭を下げる一方で、わが国の国民は交渉の経緯も知らされず、かやの外に置かれ続けてきた。普天間飛行場の移設では、96年の日米特別行動委員会(SACO)での合意を受け、沖縄県の稲嶺恵一知事をはじめ、地元の歴代首長らが血のにじむ思いで積み上げてきた経緯を反故にした。滑走路は1本か2本かという議論に至っては、まるでバナナのたたき売りだ。軍民共用化の約束はどこへいったのか。
(中略)
小泉首相は再編協議を通じても、「関係者とよく話し合うように」というばかりで、リーダーシップを発揮しなかった。その結果、個々の閣僚が局面を打開しようと米国にすり寄り、既成事実を積み上げた。こうした姿は、米国だけを重視する彼の外交姿勢とも重なって見える。
いまからでも遅くはない。政府は、理解が得られなければ協議をやり直すというぐらいの覚悟で、今回の経緯を国民に説明するべきだ。同時に、米軍とどう付き合うのかについても、真剣に問い直さなければならない。
(以下略)
2006/4/29
不正義の戦争
日本は不正義の戦争に加担していいのか?
2005年12月14日、ブッシュ大統領はワシントン市内で行った演説の中で、大量破壊兵器情報が誤りだったと認めた上で、開戦決定について「大統領として責任がある」と表明した。もちろんブッシュ大統領は、その後で「イラク戦争の遂行は正しかった」と自らの行動を正当化する姿勢は崩していない。
ヨーロッパでは、アリストテレス以来、「正義の戦争」についての定義があり、先制攻撃は許されない。攻撃しての良いのは攻撃されて被害が出てその後である。カトリック教会でもトマス・アキナス以来、先制攻撃された後の攻撃は「正義の戦争」と認められている。2003年のイラク戦争に仏・独、ローマ教皇が反対したのも「正義の戦争」の定義からはずれるからである。しかも、開戦の理由が嘘だった以上この戦争の「正当性」はない。
一方、ブッシュ大統領の発言についてコメントを求められた小泉首相は、15日、「日本は国連決議に沿って判断したわけですから」、「イラクが大量破壊兵器はないと証明すれば戦争は起こらなかった」などといっている。
日本は、アメリカがイラク戦争の開戦理由について誤りを認めたため、正義の戦争でないと分かったのだから、速やかにサマワから自衛隊を撤退すべきだ。
先制攻撃は不正義の戦争
ヨーロッパでは、伝統的に自衛権は認めるが、先制攻撃は認めないというのが一般的な考え方だ。ドイツ・フランスは、戦争をする場合は、まずやられてからでないと、武力行使はできなという立場だ。
その意味で、アメリカが、真珠湾攻撃を卑怯だ、「パールハーバーを忘れるな」というのは理解できる。太平洋戦争はアメリカにとって、初期の反撃は、正義の戦争といえる。もちろん、自分が受けた以上の多大な報復は、不正義の戦争となる。例えば、原爆投下や無差別空襲は、不正義の戦争となる。
しかし、2001年10月アメリカが、テロ組織アルカイーダの指導者オサマビン・ラディンをタリバーン政権がかくまったという理由でアフガニスタンを攻撃し、また、2003年3月大量破壊兵器を持っている疑いがあるという理由でイラクを攻撃したことは、真珠湾攻撃と正反対の行為だ。しかも、軍事とは全く関係無い住宅や民間施設も攻撃しており、多くの人命が失われた。
ある村に一人の殺人者がいるということで、村人全員を殺そうとしたのだ。これは断じて正義ではない。
自民党の新憲法草案は先制攻撃を認めるのか
自民党が、10月28日に、新憲法草案を発表した。憲法第9条の前半「国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という部分をそのまま残し、後半の「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が削除されて。自衛軍の保持という条項「わが国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する」が付け加わっている。
自衛隊を自衛軍に変えるということは、自衛権を明確に認め、自衛のための戦争はできるという意味だ。それでは、自民党の新憲法草案は、先制攻撃を認めているのだろうか?はっきり書いてないので、あいまいだ。しかし、平和主義の原則を持つ国が先制攻撃はできないだろう。
一方、アメリカやイギリスは、テロリズムという従来にない軍事的脅威に対処するためには先制攻撃が必要だという立場だ。
それでは、先制攻撃を認めている国と安全保障条約を結べるのだろうか。理論的には結ぶことは難しいだろう。しかし、アメリカが認めているから、日本もそのうちに、先制攻撃はできると言い出すかもしれない。憲法を改正するためには、各議院の総議員の2/3以上の賛成がいる。しかし、条文の解釈は、各議院の出席議員の1/2以上で法律を作ればいい。やはり、細かいところまで憲法に書くべきだ。今でも、
9条があるのに日本は世界有数の軍事力を持っている。世界トップレベルの防衛費を支出しているのは矛盾している。
召集令状:生徒に配り、「非国民」批判も 福岡の中学教師
福岡県志免町の町立志免中学校(結城慎一郎校長)で社会科の男性教諭(48)が、授業で「臨時召集令状」を全2年生218人に配って戦争参加の意思を聞き、「いかない」と回答した女子生徒に「非国民」と書いて返却していたことが分かった。
町教委の説明によると教諭は10月27、31日に「第二次世界大戦とアジア」の授業をした。教諭は副教材に掲載されている「臨時召集令状」をコピーし、裏面に戦争に「いく」「いかない」の、どちらかを丸で囲ませ、その理由を記入させた。
「いく」「いかない」の意思表示をしたのは208人で白紙が10人。「いく」理由は「当時としては仕方がない」「家族を守るため」など。「いかない」は「家の事情」「今はいきたくない」などだった。
「いかない」と回答した女子生徒の一人が、理由に「戦いたくないし死にたくないから。あと人を殺したくないから」と書いた。これに対し、教諭は赤ボールペンで「×」印を付け「非国民」と書き入れて返した。
女子生徒はショックを受け事情を知った女子生徒の保護者らは「社会科の教諭を代えてほしい」と話しているという。
結城校長は「戦争の悲惨さなどを教えるためで、問題はない」と話している。また、町教委は、非国民と書いたことについて「確認できず分からない」という。そのうえで授業の狙いを(1)召集令状の持つ意味を理解させる(2)生徒の歴史認識を把握する−−としており「決して思想信条を調べるものではない」と説明している。<毎日新聞>
教育の国家統制、福岡の場合
福岡は、1970年の伝習館訴訟で有名である。70年6月、福岡県教育委員会は、伝習館高校の社会科教諭三名を懲戒免職し、これに対して三氏が処分取り消しと処分の執行停止を求めて提訴したことにはじまる。処分理由は、(1)三教諭とも学習指導要領逸脱(社会主義社会の階級闘争、ベトナム戦争などを授業で偏向的にあつかった)(2)三教諭とも教科書不使用(3)二名の教諭は所定の考査を実施せず、一律評価を行なった(4)一名の教諭は出席しない生徒をしばしば放任した(5)一名の教諭は学校新聞等に現体制を否定するなどの特定思想の鼓吹を図った……等々。公判では特に学習指導要領の法的拘束力(偏両教育云々)、教科書使用義務、処分手続きの問題などを焦点としてあらそわれた。<岡山大学新聞 通刊238号 1978年9月30日発行>
また、福岡県教委は、「日の丸・君が代」に反対する教師に対しすさまじい処分を行ってきた。2002年世界1月号<させられる教育、途絶する教師>野田正彰では、
福岡県の学校の管理抑圧は続き、八七年一月、北九州市教育委は「望ましい式典の在り方」なるものを小中学校の校長に示した。
1 ステージ中央に国旗を掲揚し、児童・生徒は国旗に正対する。2 式次第に「国歌斉唱」を明記する。3 「国歌斉唱」は教師のピアノ演奏で行う。4 全職員(警備用員をのぞき)が参列する。
「四点指導」あるいは「四点セット」といわれる卒業式・入学式基準である。これはすぐ全国の県教育委へ拡がっていった。翌九〇年には、第三点に「児童・生徒等及び教師の全員が起立し、正しく心をこめて歌う」が書き加えられた。上記の四点セットはそのまま校長から教職員への職務命令となっていった。「心をこめて」が職務命令されたのである。
こうして福岡県での教職員の非人格化−人格の剥奪と言うべきだが、非人格化と略す−は県立高等学校、養護学校の教職員から、公立小・中学校の教職員へ徹底化されていったのである。
と書いている。
今回の事件は、上記のような伝統を持つ福岡の教育が生み出してきたものと無関係だろうか。教育の国家統制の一つの現れではないのだろうか。
結城校長は「戦争の悲惨さなどを教えるためで、問題はない」と話しているが、悲惨さを教えた結果、「戦いたくないし死にたくないから。あと人を殺したくないから」と答えた生徒は○で、非国民とコメントされることはないのではないか。また、 「非国民」とは排除の論理である。教育の現場で「非国民」という言葉を使用するのはどうなのだろうか。
町教委は、非国民と書いたことについて「確認できず分からない」という。そのうえで授業の狙いを(1)召集令状の持つ意味を理解させる(2)生徒の歴史認識を把握する−−としており「決して思想信条を調べるものではない」と説明している。
しかし、召集令状の持つ意味を理解させるとはどういうことなのか。例えば、国家の命令には逆らえないということを理解させるということなのだろうか。
学校生活の中で、不正義な「いじめ」に対し、自分の存立基盤をかけて闘うことは大切である。また、そのような行為に加担しないということも大切である。
要は、国家の戦争であろうが、個人のいじめであろうが不正義なものには加担しないし、それと対決するということを教えるのが教育である。この新聞記事を読む限り、教諭・校長・教育委員会からそのようなことは伝わってこないのである。
BSEの全頭検査をせずアメリカ産牛肉を輸入
「天木直人・マスメディアの裏を読む」12月15日―メディアを創るを読むと、次のようなコラムがあった。
日本政府はもっと米国と対等な関係を築くべきだ
これはニューズウイーク(日本語版)副編集長であるジェームズ・ワグナー氏の言葉である。
12月21日号の論評の中で、同氏は、日本が米国産牛肉輸入再開で米国に屈したことは大きな間違いであったと次のように述べている。
「・・・アメリカの議員たちは裕福な利益団体(牛肉生産者)への献身を恥ずかしげもなく露呈し・・・対日関係という国益を軽視した。米国政府の態度はまるでいじめ。友好同盟国との交渉にしては不適切なものだった・・・一方の日本は、対米関係のために国内の食品の安全性を保つシステムを犠牲にしてしまった・・・なぜ日本は降伏したのか。日本は現在、アメリカとの防衛関係を強化することを最優先にしている。その妨げになるものは、食品の安全も含め、すべて後回しになる・・・日本がアメリカとパートナーシップを結ぶのは賛成だ。しかし・・・一方的なパートナーシップなどありえない。アメリカにとっても日本との関係は重要だ。日本政府はそのことを過小評価する必要はない・・・これ(日米間の主従的関係)は両国にとって不健全な関係だ。日本政府は、米政府のおごった態度を許してはいけない。もっと対等な関係を築くべきだ」
日本政府は、アメリカ政府の脅し的な圧力を受けてついにBSEの全頭検査なしにアメリカ産牛肉の輸入を許可した。日本の消費者よりもアメリカの政府、アメリカの生産者の利益を擁護したのである。日本人が狂牛病になっても、アメリカとの関係の方が大切と言うことだろう。
アメリカの不正義な戦争への加担、国民の健康・生命よりもアメリカとの関係を重視する日本の政府とは何なんだろうか。また、女子中学生の「戦いたくないし死にたくないから。あと人を殺したくないから」という声に対して「非国民」と寸評する教師、それを追認する校長・教育委員会とは何なんだろうか。
(2005/12/29)
米軍グアム移転費(日本は世界の笑いモン)!
11月6日の新聞に、アメリカ軍のトランス・フォーメーションで、沖縄駐留の米海兵隊が、7,000人削減される。1,000人はアメリカ本土に、6,000人はグァム島に移動することになった。日本はグァム島に移動する米軍の為に移転費用を出してあげ、その上宿舎なども建ててやり、その費用が数千億円にのぼるという。
アメリカは財政赤字縮小などアメリカのために、海外の米軍を効率よく展開しようとしている。その米軍の撤退費をどうして日本が出さなければならないのだろうか。少女暴行事件など、さんざん米海兵隊に迷惑をかけられてきたのではなかったのか。長いことありがとう、迷惑をおかけしましたといってお金を払うのは米軍の方ではないのか。
<以下引用>
再編費用、特別措置で負担 米軍グアム移転の数千億円
今、日本政府はお金がなかったはずだ。定率減税の縮小・廃止や配偶者特別控除の縮小、初診料を引き上げるという提案、消費税を12%〜15%に上げることを検討など国民に辛抱を強いている。
もし、この報道が正しく、アメリカにお金をあげるのなら、日本は独立国ではない。そのうちグァムの米軍の電気代・ガス代も負担してあげると言い出すのではないだろうか。自民党の圧勝を受け、小泉首相はやりたい放題ということか。日本は世界中の笑いものになる。
東京のアメリカ大使館は日本政府に払うべき土地の賃貸料(1年間でたった250万円)を10年滞納しているらしい。まず、それを払ってもらうのが先だ。
(2005/11/10)
町村外相はアメリカに優しい
毎日新聞(2005/04/01)を読んでいたら、気になる記事があったので紹介したい。
まず、「米軍機事故ガイドライン」を日米合同委員会で決めたというニュース。昨年、沖縄の大学に米軍ヘリが墜落した事件では、日本の警察に現場検証の権限がなかった。日本人が巻き込まれる事件でも現場検証できない不備は深刻だ。外務省はさぞ強硬に米国とやり合ったのかと思ったら、以前とほとんど同じ内容で決着したらしい。日本の警察が米軍の外にさらに警戒ラインをひくという。今までは日本の警察は規制ラインを引くことができなかったのでせめて規制する側に混ぜてもらったということか。こんなことならきっぱりと断るべきだろう。
外務大臣の町村は、「米の捜査優先−外相、理解示す」<2005/04/01毎日>「町村信孝外相は1日の記者会見で、『軍事機密にかかわる問題がある場合に米側の一義的な捜査が優先されるのは、やむを得ないものがある。ケース・バイ・ケースで対応するのだろう』との見解を示した。」。米国、米軍に町村氏は優しい。文部大臣の時はかなりタカ派だったのだが。日本のタカ派はアメリカには優しいということか。
先日、「天木直人・マスメディアの裏を読む」というコラムで、「一枚40億円の公電」の話が載っていた。3/23読売新聞の「続小泉外交」という記事では、外務省は、アメリカの軍人に脅されて、公電を打ち、その結果、米艦船への燃料の無償提供が決まった。その額は、2001年度の補正予算で80億円。米国の怒りをそのまま垂れ流した公電の価値は一枚40億円。そのつけは、我々国民が税金で支払うことになった。小泉首相・日本政府、外務省はいつも米国・米軍に優しい。
このようなことを考えていたら、毎日新聞に、「世界銀行:総裁にウルフォウィッツ氏を選出」という記事が載っていた。【ワシントン木村旬】という署名記事で、「世界銀行は31日、理事会を開き、次期総裁にウルフォウィッツ米国防副長官(61)を全会一致で選出した。5月末の任期切れで退任するウォルフェンソン総裁の後任で、6月1日付で就任する。任期は5年。」という。
記事は、「イラク戦争を主導した『ネオコン(新保守主義)』の代表格であるウルフォウィッツ氏の総裁就任に対して、欧州などから当初、『世銀が米国の世界戦略に組み込まれかねない』との懸念も出たが、同氏が世銀の総意を尊重する姿勢を示したことなどから、欧州なども最終的に支持に回った。」と書いている。
無抵抗のイラク人を含め、一説では10万人というイラク人を殺しまくった最高責任者の一人が世界銀行の総裁になるというので驚いた。日本は賛成したのだろうか。憤りを感じた記事だった。
(2005/04/03)
日本の破産と憲法9条
〜財政破綻から国民を守る方法は憲法9条の堅持以外にない〜
2005年度センタ−試験の「現代社会」は、時事的な問題が多く良問だと思っていたら、第6問を見て驚いた。まだ、日本が「経済大国」だという前提でテスト問題を作成している。否、そんなことは百も承知で、受験生に9条を「改正」して、「日本は、自国が直接攻革されたときに備えて,軍事力も含めた必要な実力を備えるべきである。」(問4のイ)というメッセージを伝える意図があったのかもしれない。
そこで、2005年度センタ−試験、「現代社会」の第6問から一部抜粋し、問題点を述べたい。
第6問 次の文章は、日本の安全保障について語る高校生]とその祖父Yとの会話である。これを読み,下の問い(問1〜4)に答えよ。 X 今日,学校で憲法の平和主義について勉強したんだ。憲法ができたときみんなはどんな気持ちだったの。 Y 悲惨な戦争体験をして,もう戦争はしたくないという気持ちを多くの国民は持っていたから、戦争をしないと決めたことは歓迎されていたんだよ。 X でも今では,日本の防衛費は、世界でもトップクラスなんだよね。 Y 朝鮮戦争をきっかけにして今の自衛隊になる組織が作られたんだ。それに、外国から攻められたら困るじゃないか。だから,a日米安保条約を結んで,アメリカと軍事的に協力して,安全保障を図る方向に政策が変わっていったんだよ。 X 憲法の条文を読めば,戦争はしないし,そのための軍事力は持てないよね。自衛隊はそれと矛盾しないのかな。 Y b政府は矛盾してないって説明しているよ。おじいちゃんも、集団的自衛権を行使せず,専守防衛に徹するなら軍事力は必要だと思う。おまえはどう思う。 X 自衛の範囲はハツキリしないし,それに,軍事力を強化すると他の国はそれ自体を脅威に感じるから,軍事力を持たずに,安全保障を図る方がいいよ。 Y でも,経済大国なんだから,国際社会の中でそれ相応の貢献をしなけりゃいけないし,国際紛争を解決するためのc軍事的な貢献も必要じゃないか。 X 軍事的な解決って,紛争を−時的には抑えられるけど,根本的な解決にはならないよ。軍事力によらないで,平和をつくり出す努力こそ現実的じゃないかな。 Y 本当に難しい問題だから,一緒に考えようじゃないか。 <中略> 問4 次の意見ア〜エは、日本の安全保障に関するものである。本文中の会話から読み取れるX,Yの立場とこれらの意見との組合せとして最も適当なものを,下の@〜Eのうちから一つ選べ。 ア 日本は,自国と直接関係のない紛争地域への軍事介入は行うべきではないが,その地域に展開する同盟国への武器供与は積極的に行うべきである。 イ 日本は、自国が直接攻革されたときに備えて,軍事力も含めた必要な実力を備えるべきである。 ウ 日本は,周辺国で日本への攻撃が可能な武力が配置された場合には,それを事前に攻撃するべきである。 エ 日本は,国際紛争に際しても,軍事部門への貢献をするのではなく、外交努力とともに,民生部門に限った国際貢献をするべきである。 @ ]−ア Y−イ A ]−ア Y−ウ B ]−イ Y−ア C ]−イ Y−ウ D ]−エ Y−イ E ]−エ Y−ウ (正解はD) <2005年度センタ−試験、公民、現代社会の第6問より一部引用> |
日本が経済大国であったのは、1985年のプラザ合意までであり、「ジャパンアズNO.1」が書かれた頃が絶頂期である。その後、日本経済は、バブル経済に突入し、91年にバブル経済は、崩壊した。1990年代は「失われた10年」といわれ経済は長期低迷した。2000年に入ってからもデフレ経済は続き、依然として経済は停滞している。2010年から日本の人口は減少し、右肩下がりの経済に突入する。(「人口減少経済」の新しい公式、松谷明彦)
今後の防衛政策を考える場合、「経済大国ではない」という前提で考えないと大きな過ちを生む。その場合、9条を「改正」し、平和主義の看板を外すことは考えられない。
日本政府の国債発行残高は、「2004年9月末時点での、金融機関の国債保有残高は、503兆円、国債発行残高は587兆円」(2005/01/01日経)。特殊会社とかの負債を併せれば、約1,000兆という説もある(財政赤字カウンター)。日本は、いつ破産しても不思議ではない。実際、日本の国債を買っている外国人はほとんどいない。日本の国債の評価は、アフリカの小国のボツワナと同ランクでこんなリスクを抱える国債を買う人間は少ない。
このような状態で、9条を「改正」して、自衛隊を軍隊と公認し、アメリカと集団的自衛権を組み、やっていけるのだろうか。9条を「改正」した場合、防衛費の増加は不可欠である。これからは、自衛隊員を減らし、防衛費もどんどん縮小させていかなければならない時代だ。現在、アメリカ軍に無償で提供している基地の地代もアメリカからちゃんと貰わなければならないだろう。「思いやり予算」もあげるようなお金はどこにもない。
批判の強かった、対中国円借款を停止すると日本政府は中国に申し入れたようだ。中国ODAは、ほとんどが借款で今までで計約3兆円にのぼっている。一方、アメリカ軍へのODAは、無償で返済の義務はなく、「基地用地の借上げ費用」(土地代)が1895億円(2000年)、「思いやり予算」(施設費や労務費、光熱水費)が約2,500億円(2004年)、大体1年で約4,400億円あげている。今まででやはり数兆円になるのではないだろうか。この際、アメリカ軍へのODAも同じように止めて貰いたい。やめることができないなら、せめて「借款」にしてはどうだろうか。もういい加減に国民の税金をドブに捨てるのは止めてもらいたい。
日本経済のこんな厳しい状況にもかかわらず、自民党は新憲法起草委員会を作り、9条を「改正」し、「集団的安全保障」も認めるべきだと考えている。普通の人なら、憲法9条を堅持し、安上がりの防衛政策を考えるところだ。まあ、日本が破産するまで、アメリカと一緒に、日本の国民から絞れるだけ搾り取る気なのだろう。
結局、2005年度センタ−試験の「現代社会」の第6問は、「最悪の試験問題」だ。
※日本政府は2010年度までに、新規円借款を停止する方針を中国側に伝えていた
。対中国ODAは、0年度の2,144億円をピークに毎年減少し、03年度は967億円にとどまった。対中国ODAの供与額は、03年度までに計約3兆3,000億円うち円借款が3兆472億円を占める。(2005/03/04毎日新聞)
※一方、対アメリカへの「思いやり予算」は、1970年代からの日本の物価高騰を受け、在日米軍に「思いやりを持って対処する」(当時の金丸信防衛庁長官)との観点から、78年度に米軍基地従業員の福利費を負担したのが始まり。04年度は総額2441億円。00年に締結された現在の特別協定では、光熱水料の日本側負担を年間約33億円減らすことを盛り込んだ。 (2005/02/10東奥日報)
※防衛施設庁は01年3月23日までに,思いやり予算について、1979年度から2000年度までの22年間に提供整備した米軍施設に関する一覧をまとめたが,施設整備件数は1万1,930件,整備予算総額は1兆6,050億600万円に上っている。(たむたむページ用語解説)。これには、労務費・光熱費は入っていない。
<2005/03/04>
戦争報道とメディアの責任
神戸で「第48回マスコミ倫理懇談会全国大会」が開かれている。9月30日から2日間の日程で、「報道の課題」を検証するという。神戸新聞2004/10/01朝刊の<戦争報道とメディアの責任>「取材自粛に悔い残す 許されぬ前例化」とい記事を読んだ。
<以下引用>
イラク派遣の自衛隊をめぐり、防衛庁は現地での取材自粛を要請した。日本新聞協会と日本民間放送連盟は防衛庁と取材ルールを取り決め、「報道の自由の尊重」を明確にしたが、一方で「安全確保」を名目に防衛庁側が情報開示を拒否できる余地を残した。異例の取り決めに日本のメディアはどう向き合ったのか。現地報告を踏まえ、実質的な取材自粛を招いた今回のルールづくりに厳しい意見が相次いだ。」
東京のテレビ局記者は現地の病院に日本から医療機器が贈られたとの情報を得て取材を進めた。だが、翌日の式典に参加する日本人関係者に危険が及ぶとの理由で取材にストップがかかった。「病院名や日付を明かさない方法も提案したが、受け入れられなかった」
ある全国紙記者は「日本での報道を規制することに何の意味があったのか」と疑問を呈した。外国メディアは現地で自由に取材する。「日本国内では顔の映らない隊員が欧米のメディアに登場することもあった」とし、「安全を名目にした取材ルールの悪影響の一例では」と指摘した。
ブロック紙記者は「十二月に防衛計画大綱が見直され、国際活動の名のもとで海外派遣が増えていく。今回、こういう形で(取材自粛を)受け入れたことが前例となり、押し戻すことが不可能な取り決めを日本のマスコミはした」と語った。
また、ある全国紙記者は「防衛庁は湾岸戦争以後、世論を味方に付けることを考え始めた。ジャーナリズムも戦略的な方策を持つべきだ」と訴えた。東京の出版関係者は「戦争報道は究極の政治報道。メディアも究極の取材体制が求められる」と警鐘を鳴らした。
<引用終わり>
この会議には、 イラクで人質になったフリージャーナリストの安田純平氏も出席し、人質をめぐる自己責任論とメディアの役割についても話し合われたという。
この記事を読むと、新聞記者(新聞社)はサマワで自衛隊の取材をしている。しかし、日本新聞協会と日本民間放送連盟が防衛庁との間で、隊員の「安全確保」を名目に防衛庁側が情報開示を拒否できるという取材ルールを取り決めたため報道できないと読める。
また、上記記事では、<東京のテレビ局記者は現地の病院に日本から医療機器が贈られたとの情報を得て取材を進めた。だが、翌日の式典に参加する日本人関係者に危険が及ぶとの理由で取材にストップがかかった。「病院名や日付を明かさない方法も提案したが、受け入れられなかった>と述べている。
この部分を読むと、マスコミは真実を報道しようと良くやっている。しかし、防衛庁は、昔の大本営発表のような情報操作をしようとしているのだなと信じるところだった。
週間ダイヤモンド10月2日号の「大本営発表」というトップコラムを読んだ。ジャーナリストの綿井健陽氏※が撮ったイラク・サマワ、陸上自衛隊宿営地内での記者会見の写真が大きく上半分に載っている。写真には、記者会見を終え、退席する自衛隊の報道官を含め数人の自衛官、演台とテレビ電話機、10客ほどの記者席と2人の外国人記者、3人のテレビカメラマンと4台のビデオカメラが写っている。
※綿井健陽氏は、イラク戦争報道で、2003年度ボーン・上田記念国際記者賞(ボーン・上田賞)特別賞を受賞した。綿井氏は、空爆下のバグダッドでフセイン政権崩壊前後の首都の状況、誤爆被害者などを写真とビデオで報じてきた。
「大本営発表」という、写真下のコラムには、辻さんの署名で、次のような文章が載っており、目を疑った。
<前略、引用>
人質事件が発生した四月以降、サマワに日本人記者は一人もいない。すべてのメディアが撤退させたのである。読売新聞などはバグダッドも放棄した。サマワの記事はテレビ電話で自衛隊から情報を得て、日本で書くのである。それでいて、各紙を読むと、「五九度の酷暑、ドライヤーのような熱風だ」「突如どよめきが起きた」「自衛隊は高い支持を得ている」と見てきたような書きっぶりだ。読者は、サマワ発の記事と疑いもしない。掲載写真には小さく自衛隊撮影とある。これは、インチキであろう。
賛否ぶつかるなかで戦後初めて、自衛隊が海外の戦闘地域に出た。ジャーナリズムはあらゆる努力を払い、事実を伝え、監視する義務がある。それを自ら放棄してしまった。現場にいないのだから、大本営発表″を検証などできぬ。読者は、もはや真実を知る術がない。
イラク戦争の大義だった大量破壊兵器はなかったと認めたパウエル国務長官の証言を受け、米有力紙は、なぜ政府情報に流されたか、自らの失態の自己検証記事を掲載した。メディアの役割を自省する能力に彼我の差は大きい。(辻)
<引用終わり>
神戸新聞の記事と週刊ダイヤモンドのこの記事の落差は大きい。「見てきたような嘘を言い」、「自分は絶対安全地帯」におり、「取材せずに自衛隊の報道を垂れ流し」ておいて、大本営発表もないだろう。
フリージャーナリストの安田純平氏もアリバイ証明に使われたと云うことだろう。日本のマスコミの猛省を求めるとともに、このような記事を載せるのは止めてほしい。この「倫理懇談会」では、マスコミの使命・理念について基本から討議してほしいかった。
(2004/10/01)
日本は治外法権〜米軍ヘリ墜落とトランスフォーメーション〜
神戸新聞(8月24日朝刊)を読んでいたら、次のような記事があったので紹介したい。
<以下引用>
米海兵隊移転08年以降 再編計画が判明
在日米軍の再編に絡む海兵隊の移転問題で、2008年以降に砲兵、歩兵両部隊の一部を中心に約2600人を沖縄県から日本本土内へ移転させるなど、米政府が作成した沖縄の海兵隊再配置計画の全容が判明した。複数の日米関係筋が23日、明らかにした。
08年までは、アジア太平洋地域で行う訓練の規模と期間を拡大して「間接的な削減」を加速させる2段階の縮小を目指している。 移転先に関しては、米側が(1)海兵部隊の移動に活用する高速輸送船(時速55キロ以上)を日本が購入、提供(2)港湾、空港への利便性確保(3)軍人と家族の福利厚生施設の整備−の3条件を示していることも分かった。
これまでの日米協議で海兵隊営舎地区「キャンプ富士」(静岡県)や在日米陸軍司令部のある「キャンプ座間」(神奈川県)に移し、砲撃訓練を各地の陸上自衛隊演習場に分散させる案が浮上している。
<引用終わり>
この記事を読んで本当にびっくりした。
まず、(1)海兵部隊の移動に活用する高速輸送船(時速55キロ以上)を日本が購入、提供。
どうして、日本がアメリカ軍のために高速艇を購入してあげなければいけないのだろう。そんなことなら、もう、アメリカ軍には日本から出て行ってほしい。もし、これに応じるならば物的・人的装備が重複する自衛隊は要らないから、解散してはどうだろう。金銭的には差し引きゼロだ。
次に、(2)港湾、空港への利便性確保。
関西なら、神戸港や関空、伊丹空港を自由に使わせろと言うことか。有事法が成立したが、平時にも使わせろという意味か。
(3)軍人と家族の福利厚生施設の整備。
沖縄の米軍基地内の住宅や小学校も日本が建ててあげたものだ。さらに、基地内には、アイスクリーム工場があり、「思いやり予算」で雇われた日本人従業員がアイスクリームを作っている。磯子もそうだ。至れり尽くせりの日本から米軍は出て行ってくれるはずがない。米軍のトランスフォーメイションとは、アジア関係の米軍を居心地の良い日本に集中させることではないだろうか。陸軍第1軍団司令部(ワシントン州)がキャンプ座間(神奈川県)に移転にしたいと希望しているようだ。「思いやり予算」を作った金丸さんの責任は大きい。金丸さんは金塊をたくさん持っていたので遺産で払ってもらおう。
まず、「思いやり予算」を廃止する。米軍は日米安保条約で日本に駐留している。しかし、アフガン・イラクへの出撃など極東の枠さえも超えて行動している。在日米軍は、日本防衛よりもアメリカの世界政策の一環として存在している。日米安保で日本が守られるというなら、日本の自衛隊が世界第2位の軍事予算を取っているのは理解できない。速やかに解散しょう。
さらに、横田や厚木、横須賀の米軍基地は、東京近郊にありそこに米軍(外国軍)が駐留しているというとは、いつでも官邸や国会議事堂、最高裁判所が攻撃される可能性があり、日本政府は、米軍のいいなりにならざるを得ない。主権国家としては異常な状況が続いている。中南米の国と同じである。
8月13日午後2時20分ごろ、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学敷地内に米軍のヘリコプター1機が墜落した。毎日新聞(2004/8/18)によると、日本の警察は現場検証や事故原因の調査もできないようだ。もし、今回のような事故で死者が出ていても、業務上過失致死などの立件ができないのだろうか。死に損だ!。
<以下引用>
沖縄・米軍ヘリ墜落 県警、立件例ゼロ 「長年の隠れた懸案」
在沖縄米軍のヘリコプターや戦闘機などの墜落事故に絡んで、72年の本土復帰後に、沖縄県警が米軍関係者を立件した事案はないことが分かった。宜野湾市の沖縄国際大学構内で13日に起きた米海兵隊の大型へリ墜落炎上事故では、機体の検証さえ拒否された。日米地位協定が壁になり、立件は困難との見方が強いが、県警は「事案の重大性を考え、捜査を尽くす」との構えだ。
県基地対策室のまとめでは復帰後、米軍機の墜落事故は今回が41件目。県警によると、過去10年、日米地位協定実施に伴う刑事特別法に基づき、令状を取って現場検証の同意を米側に求めた例はなかった。94年4月、嘉手納飛行場のF15戦闘機が沖縄市の農地に墜落炎上した事故の際にも、実況見分にとどまった。
県警は今回の事故が復帰後初めての住宅地への墜落で、民家や車両など44カ所に被害が出た点を重視し、米側に現場検証の同意請求を決断した。しかし、たとえ事故で多数の死傷者が出た場合でも、請求への諾否は米側の裁量に委ねられる。
県警幹部は「ここは日本なのにという思いだ。この問題は、墜落事故が多発する沖縄では長年の隠れた懸案だった。今回は被害が大きく、初めて焦点があたったが、全国どこでも米軍機の墜落事故は起きる可能性がある。政治が解決すべきだ」と指摘する。
県警は事故ヘリの機体の検証を拒否されたが、捜査協力の観点から、米側に機体の調査結果の提供を求める。更に、航空危険行為処罰法違反容疑で3人の乗務員や整備士から事情を聴くために、米側に同意を求める方針。しかし、立証への道は極めて険しい。
日米地位協定に基づけば、公務中の事故の第1次裁判権は米側にあり、米側が今回の事故を公務中と主張するのは確実。県警が書類送検することは理論上は可能だが、実際に送検するかどうかは微妙だ。県警は「米側が裁判権を放棄する可能性はゼロではない。原因解明に向け捜査を続けるだけだ」と説明している。【中村宰和】
<引用終わり>
1858年に結ばれた日米修好通商条約は、外国に治外法権(領事裁判権)を認め、日本に関税自主権がない、片務的な最恵国待遇など不平等な点があった。治外法権は日本を野蛮な国ととらえ日本の法を信頼しないというものだった。
これらの不平等は明治時代いっぱいかかって、1911年に小村寿太郎が関税自主権を回復(日米通商航海条約)し解消した。この間、50余年を費やした。
昭和・平成の不平等条約である「日米安保条約」も対等な関係な変わるまで、50年ぐらいかかるのだろうか。日米安保は、1951年にサンフランシスコ講和条約と同時に締結。50年としたら。2001年だから、ぼちぼちその時期に来ているのだろう。外務省諸兄の奮闘を望む。
(2004/8/24)