「狂年病対策で日本政府批判」ネイチャー誌(2001/10/3朝日新聞夕刊)
英科学誌ネイチャー(9月27日付)は、日本の狂半病への対応を批判する論説を掲載した。欧州側が危険度を評価しようとしたのに「科学的根拠がない」と断ったことや、水俣病、薬害エイズを例に挙げ、政策的な怠慢によって発生を防げなかったと指摘。「政府が適切な対応を取るという信頼感はほとんどない」と、行政不信が国民の不安に拍車をかけていると述べた。
アメリカの国民を取るか日本の国民を取るか、Mad Cow Disease(BSE)
先日、食品安全委員会プリオン専門調査会(内閣府)が「生後20カ月以下の牛で感染を検出するのは困難」 「若い牛を検査対象から除外しても、リスクは増えない」との中間報告をまとめた。
今日、新聞(2004/09/26毎日新聞朝刊)を読んでいたら、オピニオンの欄で次のような読者からの投稿があった。私も以前から同じ思いを抱いており、国民の不安をコンパクトにまとめておられるので引用する。
<以下引用>
「信用できないBSE中間報告」 Jさん 83(大阪市淀川区)
BSE(牛海綿状脳症、)対策の見直しを検討中の、国の食品安全委員会プリオン専門調査会が「生後20カ月以下の牛で感染を検出するのは困難」 「若い牛を検査対象から除外しても、リスクは増えない」との中間報告をまとめた。
専門家の結論として信用したいとは思うが、ただちには信じられない。「検出困難」であっても、それではゼロだ、安心だと結論づけることはできないのではないか。国民の食生活の安全という視点からは、「絶対安全」の確認が求められるのではないか。 アメリカは「全頭検査の必要はない。生後20カ月以下の午は安全」と、検査抜きでの米国産牛肉輸入再開を迫っていた。そういう背景を考えれば日本政府が専門調査会に、その意をくんだ報告書をまとめさせたのではと疑いたくなる。また、生後20カ月以下の牛の見分け方にも疑念があるようだ。
「国際経済政策におけるくい違いを除くことに努める」ともうたう、日米安保条約もあり、小泉内閣は国民の安全より日米関係を重視するのではと考えてしまう。
<引用終わり>
アメリカ合衆国(以下、US)は、かねてから日本に<狂牛病、牛海綿状脳症>(以下、BSE)※の全頭検査を見直すことを求めていた。USいいなりの日本政府は、国民の健康よりUSの利益を優先するのではないかと思っていたのでプリオン専門調査会が「20ヶ月以下の牛のBSEの検査は有効でない」と中間報告をだしたのでやっぱりと思った。
<以下引用>
「検査するより日本が折れるのを待て」(田中宇の国際ニュース解説「狂牛病とアメリカ」2004/07/06)
アメリカの牛肉業界団体と大手4社の生産者は、日本向けだけに狂牛病検査を認めると、米国内の消費者も検査を求めるようになり、やがてすべての牛を検査しなければならなくなり、膨大な費用がかかるとして検査に反対している。農務省は彼らを意を受けて、できるだけ検査を行わない戦略を採り、検査をやりたいという一部の生産者に対しては「今年秋には日本政府と政治的な折り合いをつけ、検査を実施せずに対日輸出が再開できると思われる。もう少し辛抱すれば、検査費用なしで日本に輸出できるようになる」と説得している。
<引用終わり>
USの食肉業者は、US国内では1ポンド(450g)1ドルの肉が日本向けは6ドルで売れるので、検査を申請する業者もいた。しかし、USの農務省はもうすぐ日本に検査を実施せずに輸出できるようになると説得していた。(同上、国際ニュース解説))
どうして、USの農務省は検査なしの輸出を口にできたのだろうか。ある程度日本がおれると考えていたのではないか。また、USの牛肉を輸入禁止にしたとき、全頭検査のお金を日本が出すとか検査の仕方をおしえるとか報道されていた。そういうことを考えると、「日本政府が専門調査会に、その意をくんだ報告書をまとめさせたのではと疑いたくなる」(上記、投稿)という疑念は説得力を持つ。
<以下引用>
牛海綿状脳症(BSE)対策の国産牛肉買い上げ制度をめぐる偽装牛肉事件で、大阪地検は6月18日、全国同和食肉事業協同組合連合会(全同連)が対象外の牛肉を申請して約35億5000万円の助成金を不正に受け取ったなどとして、全同連専務理事の浅田満容疑者(65)ら17人を補助金適正化法違反などの罪で大阪地裁に起訴した。<浅田容疑者ら17人起訴 偽装牛肉事件>(朝日新聞2004/06/18)
<引用終わり>
農林水産省(以下、農水省)の補助金を浅田被告が不正に受け取ったと云うことで起訴されて現在裁判中である。その裁判の中で、農水省の担当者が浅田の不正を知っており、かつ、外国産牛肉を処分したがっている業者を浅田に紹介したという疑惑がある。農水省と浅田はもちつもたれずでやっていたというのである。
このように、生産者よりで業者の利益を重んじる農水省が、消費者が安心するBSE対策をとれるか不信がある。政府のプリオン専門調査会のお墨付きを得て全頭検査なしの輸入を解禁する可能性がある。
「また、アメリカの場合、他にも問題がある。日本に輸出される牛が本当に20カ月以下だけに限定されているかどうかは、業者の『自主規制』に委ねられ、公的に確認する作業は行われないだろうという点である。」(上記、国際ニュース)
「生後20ヶ月以下の牛で感染を検出するのは困難」なら「20ヶ月以下の牛は売ってはいけない。消費者の口に入れてはいけない」「検査可能な20ヶ月以上の牛のみ市場に出していい」という政策を日本の農水省は取るべきだ。オーストラリアの牛肉は無検査で日本に入ってきている。BSEの発症がないからといっていつまでも安心ではない。オーストラリアの牛を含め消費者の口に入る牛肉は全頭検査すべきと考える。
※日本の報道は、以前は「狂牛病」といっていたが、そのうち「BSE」(狂牛病)や、単に「BSE」と表記するようになった。「BSE」では、読んだ人は何か分からない。「狂牛病」の方が恐怖感がある。ストレートに読者は理解することができる。「狂」の字が不適当な語句に当たると云うことかもしれないが、言葉の置き換えによって「狂牛病」隠しに使われたのではと疑う。今は、牛海綿状脳症(BSE)やBSE(牛海綿状脳症)と書かれている。一方、外国のニュースでは、「Mad
Cow Disease」と表記している記事が結構多い。
(2004/09/26)