患者の意志を文書化

終末期医療で国が初の指針原案 患者の意思尊重、文書化も 治療方針はチームで決定

 厚生労働省は2006年9月、病気で死期が迫った患者の延命治療中止などについての判断基準や医療機関の手続きを定める、初の終末期医療に関するガイドライン(指針)の原案をまとめた。患者の意思尊重を基本とし、治療について患者と合意した内容を文書化するほか、主治医の独断を避けるため他の医師や看護師を含む医療チームが治療方針を決めることを柱としている。
 厚労省は「あくまでたたき台」としており、原案に対する国民の意見を募るパブリックコメントを実施。近く専門家の検討会を設置して議論を進め、本年度中をめどに最終的な指針を策定したい考えだ。

 原案はまず、終末期の患者に対する「積極的安楽死」や自殺ほう助となるような行為は、どのような場合でも認められない、と明記した。

 患者に対しては医療チームが十分な説明をした上で意思を確認。治療方針を決めた後も、時間の経過や病状の変化に応じて、意思を再確認することを求めている。

 患者の意思が直接確認できない場合は、家族の話などから患者の意思を推定。推定もできない場合は家族の意見も参考に、医療チームが最善の治療方針を決める。

 医療機関には、医療チームとは別に専門の委員会を設置。治療方針が決まらなかったり、患者と合意できなかったりした場合に医療チームに助言できるようにする。

 終末期医療をめぐっては医療機関が独自に指針を作っているケースもあるが、今年3月、富山県の射水市民病院の人工呼吸器外し問題が発覚したのをきっかけに、国の統一的な指針を求める声が上がっていた。厚労省医政局は「法律関係者も含め、幅広い国民的議論を踏まえて指針作りを進めたい」としている。

                         2006年9月15日 共同通信社、読売新聞より

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