生活習慣病(成人病)とは


T.総論

死亡率 1位ガン 2位心臓病 3位脳卒中
1) 近年老年層の増加とともに心身共に健康に留意しなければならない。この際問題になる病気を成人病と呼んでいる
2) ある程度年齢が進んだ時期に多くみられる一群の病気絶えず入れ替わっている体細胞
3) デオキシリボ核酸→新生の中心的役割+酵素、ホルモン、ビタミンなど加齢による身体の変化
4) 病気と共存を
5) いつの間にか進む成人病
6) 早期発見のために定期検診を

  

U.主なもの

   悪性腫瘍(胃ガン、大腸ガン、肺ガン、乳ガン、子宮ガン
   動脈硬化(脳、心臓、腎臓)
   高血圧
   糖尿病
   骨粗鬆症
   高脂質血症
   高尿酸血症
   肥満症
   肺気腫
   肝臓病
   腎臓病

V.心がけること

1) 日常生活の改善
主に食事
 塩分を控える。一日5グラム。大阪では平均10グラム
 砂糖を減らす ⇒ 砂糖の消費量はその国のリッチ度をあらわす
 動物性脂肪を減らす
 バランス良く食べる。その他
 間食をしない
 寝る前に食べない
2) 酒、たばこを控える
3) できるだけ運動をする
4) 太らない
5) ストレスをためない

生活習慣病
T) 平成8年12月18日厚生省公衆衛生審議会は今後生活習慣に着目した『生活習慣病』
 (Life-related-desease)という新しい概念を導入し、病気にならないための予防策を強力に推進することにした。
U) 今までの『成人病』と『生活習慣病』との違いは?
 『成人病』とは医学用語にはなく行政に提唱されていた用語で、 ”40才から60才ぐらいの働き盛りに多く、40才ぐらいから急に死亡率が高くなり、しかも全死亡の中でも上位を占めこの世代になれば誰もがかかってしまう疾病”という誤解を招くような概念が定着していた。この成人病対策として、
一次予防対策;生活習慣 改善指導
二次予防対策;早期発見・治療
三次予防対策;再発 防止
があげられていたが、成人の全死亡に占める割合が高いガン、脳卒中、心臓病を中心にした二次予防対策;早期発見・治療 に力を講じてきた。ところが一方、『成人病』の研究が様々な方面から行われた結果、『成人病』の要因には食生活、運動習慣、喫煙、飲酒などが大きく影響していることが判明し、生活習慣に注目し始めました。つまり生活 習慣を見直すことによって、病気が進行するのを予防できることから『成人病』の概念を改め『生活習慣病の』概念の導入に至った。
V) なぜ、今『生活習慣病』と呼び方を変えるのでしょうか
 『成人病』の発症には、生活習慣が深く関与しているいていることが明らかになったことにより、”生活習慣を改善することが疾病の発症進行が予防できる”という認識を国民に理解してもら い、行動に結びつけいくために呼び方を変えてアピールし、意識してもらうという目的がある。また生活習慣は、小児期に基本が身につけられるといわれており、この概念の導入により、家庭教育や学校保健教育などを通じて小児期から健康教育が推進されることも期待できる。さらに、他の疾患を引き起こしたり、合併症などによる著しい生活の質(quality of life)の低下が予防されると共にひいては年々増大する国民医療費の抑制につながるものと期待される。
W) どのような生活習慣が疾病につながっているのか
食習慣 ⇒ 糖尿病、高資質血症、高尿酸血症、循環器病、大腸ガン、歯周病
運動習慣 ⇒ 糖尿病、高血圧症、高脂質血症
喫煙 ⇒ 肺ガン、循環器病、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病
飲酒 ⇒ 肝炎
X) 健康づくりのための3大指針
1) 成人病予防のための食生活指針(成人病予防のための食生活指針のうち成人病予防のためのもの)
(1) いろいろ食べて成人病予防
一日30食品を目標に
主食、主菜、副菜を添えて
(2) 減塩で高血圧と胃ガン予防
(3) 脂肪を減らして心臓病の予防
(4) 生野菜、緑黄色野菜、でガン予防
(5) 食物繊維で便秘・大腸ガンを予防
(6) カルシュウムを十分取って丈夫な骨作り
(7) 甘いものは程々に
(8) 禁煙、禁酒で健康長寿
2) 健康づくりのための運動指針
(1) 生活の中に運動を
あることから始めよう。一日30分を目標に
息がはずむ程度のスピードで
(2) 明るく、楽しく、安全に
体調に合わせてマイペースで、工夫して楽しく運動長続き
時には楽しいスポーツも
(3) 運動を生かす健康作り
栄養・休養とのバランスも
家族のふれあい、友達づくり
3) 健康づくりのための休養指針
(1) 生活にリズムを
早めに気づこう自分のストレスを
睡眠は目覚めがバロメーター
入浴で体も心もリフレッシュ
旅に出かけて心の切り替えを
休養と仕事のバランスで能率アップと過労防止
(2) ゆとりの時間で実りある休養を
一日30分自分の時間を見つけよう
生かそう休暇を、心臓検診班の休養にゆとりの中に楽しみや生き甲斐を
(3) 生活の中にオアシスを
身近な中にも憩いの大切さを
食事空間にもバラエティーを
自然とのふれあいで感じよう健康のいぶきを
(4) 出会いと絆で豊かな人生を
見いだそう楽しく無理のない社会参加
絆の中ではぐくむクリエイティブライフ
Y) 小児成人病
Z) その他
アルコール
たばこ
肥満
毎日2杯のアルコールを飲み続けると乳ガンになる確率がおよそ25%高まる
咽頭、食道、膀胱、腎臓、膵臓の主たる原因は喫煙
標準体重より35%以上の肥満体では女性では胆嚢、子宮、子宮 頸部、卵巣、乳房、の各ガンにかかる可能性は55%高い。男性では大腸、前立腺のガンの罹患率が40%高い
いずれも(1996/11)ハーバード大学から発表されたレポートによる(日経新聞「海外ウエーブ」から引用)
[) 池田義雄氏(慈恵会医科大学)によれば ブレスローの7つの健康習慣として
(1) 喫煙しない
(2) 毎日適度の運動をする
(3) 深酒をしない、または酒を飲まない
(4) 規則的な睡眠を7〜8時間取る
(5) 適正な体重を維持する
(6) 朝食をきちんと食べる
(7) 間食をしない
ブルスローとエンストロムは1965年から30歳以上の男女7,000人について健康調査をし、死亡率との関係を調査している。その結果、以上7項目以上を守っている人は45才時の平均余命が33才であるのに対して3項目しか守っていない人は平均余命が21才と12年も短いことを明らかにした
\) 健康維持のための生活習慣病のポイントとして
一無(禁煙) 二少(少食、少酒) 三多(多動、多休、多接触)を推奨している
]) キノコの効用など  長野県農村工業研究所の小田功博士によれば
『エノキ茸と健康に関する疫学調査』の結果、『エノキ茸にガン予防効果がある』と日本癌学会、日本農村医学会で発表し、注目を浴びた。長野県下で調査したところエノキ茸を食べない人に比べ、食べている人はガン死亡が減少する。具体的には1週間に3日以上食べる人は0.47、1週間に1〜2日食べる人は0.55となった。
XI) 一言でいえば成人病とは年をとってからの病気、そして生活習慣病とは生まれたときから死ぬまでの病気といえます。
いずれにしても食生活に気をつけ、適当な運動をし、休養をとることが大切です。ご自分が気をつけていただくのは当然として、子供さんやお孫さんに良い生活習慣をしっかりと教えていただきたいと思います。なぜかと申しますと、ある人の生活習慣は幼い頃、すなわち幼少時に完成するとも言われているからです。最近よく肥満児を見受けますが、できるだけ早い時期になおしてあげてください。またゲームや塾でほとんど運動をしない子も多いようですがこれも良くありません。少しでも時間を見つけて運動と休養をとるように指導してください。
最後に人間は聖人君子のように、あるいはお坊さんのように、良い生活ばかりできません。食べ過ぎたり、飲み過ぎたり、夜ふかしをすることもあるでしょう。『脳内革命』の本の中でも言われているように、神経質にならず、脳内エンドルフィンを活用して、アクティブに元気で長生きができるようにがんばってください。

内科に戻る診療科目に戻るTopページに戻る最新情報に戻る

Started on 20th.July 1997 & Last Update on