ウエスト基準に異論
ウエスト基準に異論 メタボリック症候群

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2006年7月11日】
メタボリック症候群:ウエスト基準に異論

 ◇男性85センチは厳し過ぎ、女性90センチから80センチに

 心筋梗塞(こうそく)や脳卒中になる危険が高いとされる「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の診断基準の一つ、ウエストサイズに異論が続出している。国内の基準は「男性85センチ以上、女性90センチ以上」だが、「女性は80センチ以上とするのが適当」との研究成果が相次いで発表されているのだ。男性は逆に、基準をゆるめる方向につながる研究も出ている。「最近おなかが気になって」という人にとって、注目の議論になりそうだ。

 東京大の研究チームは、00-01年に新潟県新発田市で集めた692人のデータを解析。血圧、血糖値など二つ以上の検査値が基準を上回ったり、高血圧などの病歴を持つ人をほぼ網羅するウエストは、「男性85センチ以上、女性80センチ以上」だった。九州大の研究チームが、福岡県久山町の2452人分の健康データを解析したものでも、女性は80センチを境に、心筋梗塞などの発症リスクが1・6倍に高まり、現在の基準の90センチでは発症リスクは変わらなかった。

 さらに札幌医大が患者420人を調べたところ、血圧などの数値が二つ以上高い人の割合は男性83・7センチ、女性80・8センチで急増。一方、男性の基準について、九州大は、現在の診断基準より5センチ大きい90センチを境に、心血管病の発症リスクが高くなる研究をまとめている。

 現在の診断基準は、大阪大の研究チームが内臓脂肪の表面積から計算。海外の基準は男性より女性の方が小さいのが一般的で「日本は女性のサイズが大きすぎ」との批判があった。

 基準の検討に加わった松沢佑次・住友病院長(大阪市)は「女性のウエストは皮下脂肪が多く、あいまいな数値にならざるを得ない。ウエストの1センチ、1ミリに一喜一憂するのではなく、目安と考え、他の検査値の推移にも注意を払うべきだ」と話している。【永山悦子】
Started on 20th. July 1997Last modified on
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