老年期になって悩む胃腸の病気

 1.高齢者の胃と腸の特徴 ⇒ 特に年齢に関係した特徴はない
               あえて言えば食道癌・大腸癌が多い
 2.逆流性食道炎
   原因 胃液・胆汁の逆流による
   症状 胸やけ・食物がつかえる
 3.胃潰瘍と十二指腸潰瘍 ⇒ 下記 1参照
   バランスセオリー 萎縮と血流の減少
   @.十二指腸潰瘍は少なく胃の上部に発生しやすい
   A.比較的大きな潰瘍が多い
   B.無症状に近いことが多く、突然吐血や下血を起こす
   C.治療 HブロッカーとPPIと防御因子増強剤
   D.逆流性食道炎
 4.胃の病気 → 下記※1参照
 5.胃ガン  → 下記※1参照
 6.ヘリコバクター・ピロリー  HP(helicobacter pylori)とは

胃の中にいる細菌で酸にとても強い
「慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因のほとんどがこの菌による」とまで いいききる学者もいるくらい。また胃ガンの原因にもなるといわれている  ───ただし万人が認めたわけではない───

ヘリコバクター・ピロリー(パイロリー)の除菌方法
.菌の確認をどうするか
   @カメラによってHPの確認、しんどい。費用が高くつく
   A血液によるIgG抗体の確認⇒判定が困難、長期にわたる。2回目の判定は半年〜1年後
   B呼気による検査
.菌を確認しない
   ⇒ 考え方(日本人の90%近くが感染していると言われているので菌を確認しないで治療する)
.治療 3種類の薬を1週間飲み続ける
  除菌率は80〜90%ぐらい
.副作用 薬のために胃が悪くなることがある
.治癒確認
 1.菌がいなくなったことの確認
   @カメラによってHPの確認
   A血液によるIgG抗体の確認 ⇒ 2回目の判定は半年〜1年後
   B呼気による検査
 2.菌を確認しない  ⇒ 一つの方法
 7.便秘
   胃結腸反射 S字状結腸    → 直腸に便が運び込まれる → 直腸壁の伸展 → 神経反射 → 排便
   これがうまく行かない人    → 便秘
      過敏          → 過敏性腸症候群
      常習性便秘 副交感神経 → 腸管壁の緊張を高める
      交感神経        → 低下させる
      けいれん性便秘     → 過敏性大腸症候群の中の一つ → 精神的・心理的
      結腸や直腸の緊張が強い → 便は小さくコロコロしている
      弛緩性便秘       → 老人やお産を繰り返し腹筋の弛緩している女性や内臓下垂の人
       → @起床時に冷たい水や牛乳を飲む
        A繊維の多い生野菜をとる
        Bトイレに行く習慣をつける
        C腹筋を鍛える
         急に起こる便秘  → 環境・精神的変化
         腸閉塞      → ほとんどがお腹の手術を受けたことのある人
         徐々に起こる便秘 → 環境や生活習慣
         大腸ガン
         血便(下血)   → 痔・潰瘍・大腸ガン・抗生物質による大腸炎・大腸ポリープ
 8.下痢
   @腸管の運動が異常に高まり水分が十分吸収されない
   A腸管粘膜の炎症により水分の吸収が妨げられる
   B腸管から水分や分泌物が過剰に分泌されるため
   実際には@〜Bが同時に起こることが多い
   急性の下痢→腸管感染症→食中毒・赤痢・コレラ・ウイルス性腸炎
   慢性の下痢→潰瘍性大腸炎・クローン病・腸結核・ガンなど
 9.下血 早期大腸ガンが便潜血反応でつかまるのは約50%
      黒いのは上部からの出血が多い
      赤いのは下部からの出血が多い
10.痔  痔であることを何回も確認してもらうこと
     「痔」だろうとかたづけないこと
11.大腸ガン⇒下記※2参照
12.早期発見・早期治療 早期胃ガンや早期大腸ガンではほとんど症状が出ない
13.体を冷やさない
14.おなかの脂肪は「自然の腹巻き」

※1 胃の病気
 胃は心の鏡と言われるように、緊張や不安などの精神的ストレスの影響を受けやすい臓器です。一般によく「五月病」と言われるように、五月頃に胃潰瘍や十二指腸潰瘍が発生しやすいのは、就職や配置転換による環境の変化によるストレスのためだと考えられています。しかし、最近ではとても良く効く薬(HブロッカーやPPIなど)が開発されたので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍で手術を受けることがめっきり少なくなりました。それに伴って、急性胃炎の治療も格段に進歩しています。
 慢性胃炎の治療は、精神的ストレスを避けて、できるだけ規則正しい生活をし、食事はよくかみ、食べる量は「腹八分」にし、それでもだめなときには薬に頼ってください。なお胃が弱いと思っている方は、風邪薬や神経痛、リュウマチなどの薬の中に胃に良くないものがありますので、その旨を医師又は薬剤師に相談してください。
 ただ問題なのは、慢性胃炎が胃癌の発生母地だと言われているので、一年に一回必ず胃の検診を受けるようにしましょう。早期胃癌(手術で治る胃癌)では自覚症状がほとんどないことが多いので、検診を受けることが特に大切です。
 最近、胃粘膜に生息するヘリコバクター・ピロリと呼ばれる菌が話題になっています。これを除菌すると消化性潰瘍の発生や再発が予防でき、慢性胃炎も改善し、ひいては胃癌の予防になるなどと言われています。検査や治療に関しては、胃腸科とか消化器科の専門病院(医院)で相談してみてください。

※2 大腸がんの話
大腸がんが増えている
食生活の欧米化に伴って、最近、大腸がんが注目されています。 それは、昭和25年から平成元年の39年間に、結腸がんの死亡者は1,457名から14,645名へ約10倍、直腸がんのそれは、2,271名から9,018名へ約4倍に増加しているからです。 また、数年後には、大腸がんによる死亡率は、現在トップにある胃がんをぬくであろうと、推測されています。その原因の一番は、動物性蛋白質の摂取率の増加のためだと、考えられています。
大腸がんの症状
特に下血(便に血がついたり、混じること)には注意してください。次に、いつもとは異なる腹痛や腹部不快感も、大事な症状です。しかし何よりもやっかいなのは、早期大腸がんには、「症状がほとんどない」という点です。ですから、自覚症状がないので検診をうけないと考えるのは誤りです。
 ※早期発見
それでは早期発見をするためには、どうすれば良いかと言いますと、ただひとつ、「大腸がん検診」を繰り返し受けることです。しかも、大腸がん検診は簡単に受けることができます。食事制限も不要ですし、お尻をみせる必要もありません。まず、グリーンの「大腸がん検診を受けましょう」のステッカーを掲示した医療機関を受診してください。そして、早期発見さえしてもらえれば、90%以上はなおると言えます。
 ※大腸がんの予防
食事の面では、脂肪食をひかえ、食物繊維を多く取ることが大切です。
生活面では、便意をがまんせず、できるだけ体を動かすようにしましょう。
嗜好面では、お酒、タバコはひかえることが肝心です
Started on 20th. July 1997 and last modified on

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