つい最近まで、「二日酔い」はアルコールを大量に飲むことによって、肝臓でのアセトアルデヒドの処理が不十分となった結果として起こる症状であると、考えられていました。しかし、二日酔いを訴える患者の血中アセトアルデヒド値があまり高くないことに着目した京都府立医科大学の小片名誉教授は、動物実験を行い、二日酔いの多彩な症状 が、様々な臓器の急性アルコール中毒による複合現象であることを証明しました。マウスに1日大量のアルコールを投与したところ、脳細胞の水分量が60%も 失われることが判明したのです。
 つまり、二日酔いの激しい頭痛や喉の渇きは、脳が縮み、脳が脱水症状を起こしていることが分かりました。また、飲酒によって低血糖が起きたり、アルコールが体内で分解される過程で、大量のビタミンB1が消費されるなど、二日酔いとは、大量の飲酒によって起こった脱水症状、エネルギー消耗、低血糖などの複合症状であることが報告されました。
 
 この結果から、二日酔いの症状が出てしまった場合には、肝臓の解毒 機能を高めたり、代謝機能を高めてアセトアルデヒドの分解・排泄を促するとともに、適度な水分・糖分補給も重要なポイントであるとわかります。また、二日酔いにならない為には、個人の適量を守ることはもちろんのこと、たんぱく質やビタミンを豊富に含む食べ物を食べながらお酒を飲むこと、またアルコールが体内で代謝されるには時間がかかりますので、たっぷりと睡眠をとっていただくことも大切です。
                      【 アスゲン製薬(株)医薬安全情報課(学術担当)】

                            http://www.asgen.co.jp/advice/advice/4-05.html
 お酒を飲んだことで起こる肉体的、精神的に不快な症状を一般に二日酔い、悪酔いといいますが、もう少しはっきり区別するならば、飲んだあと、比較的早い時間 (血中アルコール濃度の高いとき)に起こるものが悪酔いで、血中アルコール濃度が低くなるか、ほとんど消えた翌朝になってもまだ見られる不快な症状を二日酔いとしています。
 お酒を大量に飲むと肝臓がアルコールを処理できなくなり、また、アセトアルデヒドもたまってきます。そうすると、吐き気、嘔吐、頭痛、胃痛、悪寒などの症状が起こってきます。

 さらに翌朝まで酔いがつづくほどの深酒となれば、アルコール性の急性胃炎、水分やミネラルのバランスのくずれ、血液中の乳酸や尿酸のふえてくる状態があらわれます。
  宴会などで、遅れてやってきて、空腹のまま立てつづけに杯を重ねる人がいます。いわゆる“かけつけ三杯”というものです。肝臓の処理できるアルコールの量は一時間に日本酒にして0.3合くらいのものですから、急にアルコールがたくさん入ると、肝臓で処理しきれず、さらにアルコールは胃腸で急速に吸収され るため、飲んだあと30分で血液中のアルコール濃度は最高に達します。

 空腹状態のときはさらに早くなります。 “かけつけ三杯”は、酔いの回りが速く、悪酔いの原因になると同時に、肝臓を悪くするもとにもなります。
 お酒のチャンポンは悪酔いすると思っている人が多いようですが、チャンポン自体はそれほど問題ではありません。

 チャンポンをするような場合は、ニ軒、三軒とはしご酒になったりしたときなど、お酒の酒類が変わると目先が変わってついつい飲みすぎ、酒の絶対量が多くなるわけです。悪酔いするというのは、アルコールの量がふえるという、ごく簡単な理由なのです。
 接待など仕事がらみでのつきあい酒となると、ペースも乱れがちです。空腹状態だからといってガツガツ食べるわけにもいかず、ここで醜態を演じたら商売にも差し支える、といった精神的な緊張もあり、自分のペースを守ろうと思ってもむずかしいものです。

 前日から飲むことがわかっているときは、睡眠を十分にとって、まず体調をととのえておくことです。酒席に出かける前に牛乳とパンなどで軽く腹ごしらえしておくことも、悪酔いを防ぐ一助になります。
  二日酔いの原因が、アルコールそのものや、その分解産物のアセトアルデヒドの作用からだけでなく、心理的要素、身体的個人差が複雑にからんだものの為に、その症状も人それぞれだからです。二日酔いしない程度に飲酒を切り上げることがいちばんの対策ですが、それができれば苦労はないと言えましょう。

 迎え酒は一時的なもので、かえって危険
昔から、「二日酔いには迎え酒」と言われています。これは全く根拠のないことでもないのです。二日酔いそのものを治す治療にはなりませんが、確かに一時的には楽になることがあります。


 
その理由は、1.軽い中枢神経のマヒ作用、2.血管をゆるめることによって血液の循環が少しよくなる、3.心理的効果、などです。

 しかし、二日酔いの朝が休日ならばともかく、出勤前にちょっと一杯は考えものですし、一時しのぎのために、前夜の過飲によって荒れほうだいになっている内臓を刺激するのは関心しません。

 それよりも、二日酔いになるほど深酒した翌朝には、睡眠不足がつきものです。ゆっくり眠り、体調を回復するのがいちばんです。水分を十分とって、熱めのシャワーでも浴びてから、ベッドにもぐり込めれば申し分ありません。

 ホロ酔いから泥酔までいろいろ段階はありますが、結局飲んだアルコールのほとんどが肝臓に集められ、この処理工場でアセトアルデヒド、さらに酢酸へと分解されてから、血管を巡回して全身にゆきわたります。

 この中間のアセトアルデヒドといいう物質がくせ者です。 この物質は私たちの中枢神経を活発にする働きをもっています。 しだいに酔いが回るにつれて理性 がなくなり、人が変わったような酔態をさらけだすことになります。 したがって本格焼酎を大量に飲めば、体内のアセトアルデヒドも増えるわけで、当然悪酔 い、二日酔いの原因になります。

 要するに、本格焼酎で悪酔いするのではなく、体内に入ったアルコールの量が問題なのです。二日酔いの予防薬として、次のことを守ってください。

1. 空腹時をさける。
2. 肴には良質タンパク質を。胃の負担になる肴はさける。
3. アルコール分の強い本格焼酎を飲むときは、必ずタンブラー一杯分の水を飲む習慣をつける。
4. 本格焼酎一杯を15分かけて飲む。
5. タバコはできるかぎり制限する。

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