小説の目次へ
    第五章、戦士たちの集い

      かねてより、隊員の次に大事なフィールドも探していたが実際に探査する事にした。
     さて天気のよいある日曜日に、後輩の瓶野をおどし、彼の車に同乗させてもらい一日を費やして
     フィールド探しに没頭する事にした。
      それに矢島も参加して3人で探す事になった。と言っても方向音痴の大阪人瓶野と、地方の田舎
     である奈良の草深い所からきている矢島の3人トリオである。地元の私が活躍しなければならない
     のは自明の理であろう。

      まずは、泉州は信賀山周辺から探索する事にした。このあたりは山と名が付いていても、実際は
     小高い岡があるだけである。今は自衛隊の駐屯地として有名である。以前、といっても私の若い
     頃であるが山のどこかに、広い空き地が多くあったような記憶があるのだが。周りをまわってみたが
     それらしい所はみあたらない。となるとあとは、和泉の山の方か岸和田の山の中か。

      ここで重大なミステークが発生した。なんと車に地図がないのである。当然、私ももっていない。
     エヘン。と胸を張っている場合ではない。鬼のような矢島の非難を嵐のように受ける私と瓶野で
     あったが、方向音痴である瓶野に対しての非難はやむをえまいが、泉州一円の地図を頭にいれて
     いる私にはその非難はあたるまい。ということでそれから2,3時間無駄に費やす事になった。
     「おーまぃがっど。」
      頼りない、幕僚を持つと苦労するのは世の常の事であろう。私も苦労の連続であるが仕方あるまい。
     
      その後、ミカン畑など(当然、他人の土地である)色々探索したが、これはという所はみつからない。
     地図がないので同じところをぐるぐる回り、疲労も重なりだんだんむかっ腹が立ってきた。そろそろ
     後輩の瓶野のせいのしようかと考えていたが、ある山に偶然入り、何気なく探したところ広い空き地が
     みつかった(当然、他人の土地)。そこはかなりの広さの空き地で、真ん中に何かの大きな機械が
     うずくまっているように見える感じでたっている。見た瞬間、これだと思った。(何度も言うが他人の土地)

     「ここええのとちゃいますう?」
      変なイントネーションの言葉で、矢島が言った。奈良の僻地出のくせに・・・
     「そやなあ。」
      うれしい時は逆に、喜ばない私は気のない返事をした。
      瓶野はというと、すでに自分のフィールドであるかのようにハンドガンを取り出して撃ちまくっていた。

      2003年4月6日、2回目のバトル会が開かれた。今回の参加者は私と、矢島こと仕事人T、瓶野こと  
     スワットK、盛山ことヒットマンM、宮島ことギャラリーMの5人。後輩の多仲は参加せず、3日坊主に
     終わった。今回は私の、大阪での飲み友達である宮島と言う男が新たに加わった。彼とは行きつけの
     とある居酒屋で知り合った。私がその居酒屋で自慢げにサバイバルゲームの事を、そこのママさんに
     披露していた時(初めて2,3ヶ月ぐらいだが)、横で聞いていた宮島が突然僕も参加させて欲しいと
     いってきた。それは一人でも多いほうが楽しいと言う物ではあるが、急のことなので本当のところは少々
     驚いた。もっとも彼は同じ飲み仲間の大平と野球チームを作っているぐらいだからスポーツは好きなので
     あろうが。

      ところで記録を残す関係で、バトルネームをつける必要性が生じ広報の(このときは広報なんてなかった
     が)矢島が適当に考えて付けていた。どういう感性でつけたのか私にはわからないが、見た目やしゃれ
     でつけたのだと思う。宮島のギャラリーと言うバトル名も今となってはおもしろい。(彼は3回ほど参加して
     今は北海道に転勤して、いまだにかえってこない。)また、帰ってきた暁には一緒にやりたいと思っている。
     多仲も宮島も準会員として、登録したままなのだ。(もっとも、本人たちは知らないであろうが)

      さてバトル会である。5人で落ち合いフィールド(他人の土地である)の前に立った。
      荷物を降ろし、入口の方に向かった。その時先に行っていた矢島が
     「あれえ、誰か先に来てやってるん違う?」
      と言って立ち止まった。
     「ほんまやなあ。」
      誰かが言った。
      私は入口の柵を開けて中に入った。

      確かに誰かがバトルをしていた。誰や、うちのフィールドで。と思ったがよく考えてみると他人の土地だ。
     「どうします?輪島さん。」
     「ちゃうとこ、さがしますか?」矢島と瓶野がこもごも聞いてきた。
      いつもならここで撤退するところだが、さりとて他に場所はない。
     「よし、仲間にいれてもらおう。」

      私はその集団に近づいていった。
     「すみません。一緒にいれてもらえませんか。」
      その時、先方の集団から迷彩服に身を包んだ長身の若い男が一人でてきた。ブーニーハットをかぶり
     確かスナイパー銃を持っていたように思う。名前を小山と名乗り、しばらくチームのメンバーと相談していた
     が、やがて
     「それじゃあ、一緒にやりましょう。」とにこやかに言ってくれた。そのあと
     「そちらの方は5人なので、うちのメンバーから一人廻しますんで。」
      と言って一人の方がこちらに入ってくれた。小山さんとはこの後も永いお付き合いとなる。
      バトルが終わったあとも
     「楽しんでもらえましたか。」
      といってくれた。

      その後、3回目、4回目と順調にバトル会は続いた。





       第五章、戦士たちの集い、終わり
        
        小説の目次へ