12作目、a leap
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1項目、
得体のしれない男であった。
当然、素性も年も不明。いわばヌエみたいな奴である。
その男、矢尻年明。
始めて逢った時から年齢不詳。たぶん47,8ぐらいであったろうか。
話をしてみるとやはり、そうであった。離婚暦も10回ほどもあり、孫やひ孫も両手の指では納まり
きれないとの事。
とまあ、今までの事は冗談であるが(冗談かい。)友人である私の若々しさからみてみると太陽と
カメ程の差があるといえよう。それも年々、年をとっていくのだ。(当たり前じゃー)ぶきみである。
いつであったか遠い遠い、昔の事。
彼が訪ねてきた。
「毎度ですー。毛村通信からきましたー。」
「ああ、今日はよろしく。今日は姫路の現場ですわ。」
「えーと、矢尻さんはうち始めてです?」
「はい。」
にこにことしていて、愛想だけはよかったような記憶がある。それ以後も何回か合ったか。
それでも会社を通じての、付き合いだけであった。
そして話を聞くたびに疑問の思う事があった。私は大体人の年は解る。初対面でも見等はつく
ものだ。それにしても彼の場合は解り難い。離婚暦10回というのが頭の隅に残っているからだろ
うか。
ところが最近、目に見えて老けてきたのである。というのはこの前久しぶりに合ったのであるが、
白髪に変わっていた。なんで?3週間ぶりぐらいだろ?驚くのはそれだけではなかった。
その次は銀髪に変わっていた。
本人は髪の毛を染めるのに、失敗したとか弁解していたが、その挙動がどうもあやしい。
しばらくその動向を調査していて、その原因がわかった。
彼の誕生日は12月2X日と聞いていたのだが、それはうそで本当は2月29日だったのだ。
俗に言う、うるう(ウィキベディア)年なのだ。だから彼の年は、実は4倍Xだったのだ。
(うーむ。今回は苦しい展開だった。種が尽きてきてたか、ウラシマンにこだわりすぎたか。
ちょっと思案のしどころじゃわい。)
1項目、終わり
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