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その15、終焉
 祭りの終わりは、突然訪れた。

 銃撃されて重傷と思われた、花丸一家のかしら補佐七陸次郎は意外と軽症ですんだ。血
だらけだったのは殆ど鼻血による出血とわかった。
弾丸の方は総て七陸のからだには当たっていなかった。その結果、病院の前に集まってい
た総ての集団は、その日の内に消えるようにいなくなってしまった。

 あれから2ヶ月、総ての争いも嘘のように終焉をむかえつつあった。その理由のひとつとし
てあげられるのは、江戸巨大会を退け日本最大組織にのしあがった坂虎会の、ウラ日本
征服の夢が絶たれたからであろう。それ以来、坂虎会の関西支部の貯間毛一味の姿も浪
花から消えた。そして一時あれだけ浪花の街を席巻していた、坂虎系の各グループもすべて
いなくなった。

 花丸一家に静けさが戻った。

 二代目組長の伊川剛三・・・今回の騒動の責任を取って、自ら引退の道を選び今は某設
備会社の役員に就任。釣りや映画鑑賞及び、孫を可愛がることに余生を送ろうとしている。
狂犬といわれた凶暴さは影をひそめているとか。たまに団子(たんごではない)はまだかとか
言って短を困らせている。

 相談役の山路良平・・・同じく現役引退。釣りと、車を運転しての岡釣りに意欲をみせている
とか。あるいは株の売買で稼ぎヒルズ族をめざしているとか、いないとか。

 顧問の短五郎・・・体調不良で入院、それが元で現役引退。激やせ状態・・・らしい。飲酒
もやめた・・・らしい。声も変わった。しかし、はなちゃん店に対しての密輸は、相変わらず続
いている・・・らしい。

 かしら補佐七陸次郎・・・事故?以来、いろいろ考える事があるらしく、地下に潜伏中。

  〃     植山元・・・江戸に戻って以来、何事かをたくらみ現在行方不明。しかし月一の
愛人との逢瀬には浪花の街に戻ってきているとのこと。

  〃     盛土喧・・・花丸一家を脱退。自分の組織を密かに拡大中。

 かしらの小髯虎好・・・クーデターに失敗、坂虎組にも失望。来年は江戸巨大会の直系の
座を狙っているとか。年内は力を充電中。


 一時は、浪花の街を席巻していた花丸一家に変わって最近は山口会が力を増してきた。
会長の山口勉、若頭の前川きよし、顧問の立地香雪。それに3人ほどの若衆がそろってい
る。それと次のキーワードは、女がらみか。


 会長・山口       若頭・前川     顧問・立地
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    その15、終焉おわり

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