小学校教師のための情報モラル 指導のてびき

尼崎市立成文小学校  島田 佳幸

     も   く   じ     

1章 「情報モラル」とは 

2章 情報モラル教育の計画化  *全校カリキュラム@  *全校カリキュラムA

3章 教材化と授業実践   

4章 授業に役立つ おすすめの教材・サイト   

5章 自作教材  *低学年向け教材   *ネット社会を考える教材

6章 家庭におけるメディアの使用状況    *ベネッセ第1回子ども生活実態基本調査

7章 家庭や社会における情報モラル教育

<もくじの各項目(青字)をクリックすると ジャンプします>

はじめに
 高度情報化社会の到来は、かつては予想しなかった利便性をもたらし、我々の仕事や生活に大きく貢献しています。それとともに子どもを巻き込 んだ様々な問題も発生しています。教育での情報モラルの必要性が唱えら れて約20年になりますが、学校での系統的な取り組みはまだまだ十分と いえない面があります。また、教材はネット上に多数公開されるようにな りましたが、現場での授業実践化も課題といえます。そこで情報モラルの 必要性、カリキュラム化、ネット上の教材サイトの紹介と授業実践化の手法などをまとめた指導のてびきを作成しました。

1章「情報モラル」とは

(1)「情報モラル教育」の必要性
 平成14年6月発行の文部科学省「新・情報教育の実践と学校の情報化 ー情報教育に 関する手引きー」では、「情報モラル」は「情報社会において、適正な活動を行うための基になる考え方と態度」と明記されています。情報化社会の到来にともない、従来の道徳教育や教科の学習内容だけでは対応しきれない様々な課題が浮かび上がってきました。これらの課題に適切に対処していくため、新たに「情報モラル教育」の必要性が唱えられています。

(2)「情報モラル教育」は身を守るだけでなく、よりよく関わること
情報化社会の発達は様々な利便性と問題を抱えています。情報モラルの指導ではこれらの利点と問題の両面をとらえ、「情報社会での基本的な考え方と態度を育むこと」が大切です。「被害者・加害者にならないこと」だけを強調するのではなく、「人や社会とよりよく関わること」も指導していきたいものです。


(3)情報モラル教育・・・「心」「思考・判断」「技能」「知識・理解」「関心・態度」を育む
 ここでは「情報モラル」を「心」「思考・判断」「技能」「知識・理解」「関心・態度」5つの領域から、とらえていきます。「技能」に優れていても、「心」が育たず技能を悪用、加害者になってしまうケース、「心」が育っていても「知識」「判断力」に乏しく被害者になってしまうケースなども考えられます。情報モラル教育では、この5つの領域をバランスよく育成することが肝要です。

コラム
鉄道会社によって車内での携帯電話のルールはまちまちです。阪急電車では先頭車両と最後尾車両が携帯電話電源オフ、その他車両はマナーモードにします。さて2両目に乗った場合、携帯マナーについてどんな「情報モラル」が働いているのかを考えてみましょう。「その他車両はマナーモードにする」という「知識」、携帯電話をマナーモードに切り替える「技能」、「マナーモードにする」という「態度」、「阪急電車に乗った時はどうするか」という「判断」、さらに「単に決まりごとを守るのではなく、周囲に対する気遣いとしてのマナー実行」であれば「心」も働きます。つまり情報モラルの5つの領域はバラバラではなく相互相乗的に関連し合い育むことが大切です。 

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2章 情報モラル教育の計画化

本書での情報モラルは、「デジタルメディアやネット上のモラル」だけを指すのではなく、「直接的な人との関わり、会話や手書きなどを含めた幅広い情報コミュニケーション上でのモラル」として扱います。

(1)「情報モラル」は日常の身近な場面からもふりかえることが大切
落書き・・・よく見かけるのが公共施設での落書き。例えば公衆トイレや公園の遊具、 もちろん学校も公共施設のひとつです。「落書き」は、匿名性が強い上に、本来の物の美 しさや価値を損なう行為です。情報モラルを語るとき、「ネット上(掲示板など)での不適切な書きこみ(ネットでの落書き)」はよく題材にしますが、日常生活に見られるこれらの直接的な落書きも同様です。したがって「情報モラル」はネット上だけでなく、日常の身近な場面からもふりかえることが大切です。

(2)「情報モラル」の指導は低学年からしっかりと
ネット上での落書きは、技能的な面から低学年が関わることはかなり少ないようです。 しかし、物への直接的な落書きは、小さな子どもから大人まで誰もが簡単にできてしまい ます。簡単気軽にできるがゆえ、「落書き」は、本人にとっては「ちょっとしたいたずら」 「軽い気持ち」でやっていることが多いものです。これらの現象や行為を軽く見て放置し てしまうと、やがてネット上でもふざけて同じような行為をしてしまうことが、可能性と して十分考えられます。逆に小さい頃(低学年)から「落書き」という実社会での具体的な行為を通し、人との関わり方や公共心しっかり教えておけば、高学年になってネット社会との関わり方でも活かされると考えます。

(3)「著作権」の指導も基本は低学年
 「著作権」も基本は低学年から教えておいてよいと思います。要は「勝手に他人のアイデアや作成物をマネしない。盗まない」という当たり前のことです。言い方を変えれば、「友達の作品のよさを認め尊重する」ことでもあります。低学年では「著作権」という言葉や法律的な内容は教えませんが、人との関わり方として触れておくとよいでしょう。友達の「作品作り」をマネ・丸写しする子どもを時々見かけます。いわゆる著作権に関わる事例ですが、低学年は特に「まねる」ことで「学ぶ」ことも多くあります。最初から全てを相手に依存するつもりで丸ごとまねているのか、一応自分なりに考えた上でまねるのかで違ってきます。1年生の場合、意識せずにまねていることがあるかもしれません。しかし、2年生までにはこのあたりの意識づけはしていきたいところです。まずは低学年で基本として押さえておくと、高学年の指導にも活かされてきます。

(4)情報モラル教育は、全校で系統的に指導
情報モラルは、「低学年から」「日常生活を含めて」「幅広いコミュニケーション上でのモラル」ということを述べてきました。したがって情報モラルを全校で系統的に取り組むと効率的・効果的に指導できます。「情報モラルの目標リスト」あるいは「情報モラル指導年間計画」を作成しておくとよいでしょう。簡易的な手法としては、道徳あるいは特別活動の年間カリキュラムに「情報モラル」に関する題材(単元)を組み込む方法もあります。

(5)実践はどの教科何の時間で行うか
情報モラルは、日常的なコミュニケーションも含めたモラルです。したがって、「あいさつ」「話し合い」「言葉遣い」などは教科の時間にこだわらず学校生活の中で必要性に応じて適宜指導していくことが大切です。「情報モラル」を本題として授業をする場合は、「道徳」あるいは「特別活動」「総合的な学習・生活科」の時間での実践が考えられます。また、総合的な学習の時間や教科学習で関連指導していくことも大切です。例えば、取材のしかた、撮影のマナーなど「情報収集における情報モラル」資料作成の際、引用文献・参考文献を明記するなど「情報の創造における情報モラル」、発表伝達の際の発表のマナー、聴き方など 「情報発信・受信における情報モラル」などがあげられます。図工展や音楽会など学校行事では「作品鑑賞のマナー」、保健では「生活リズム・健康面」5年社会科では「通信・情報」の単元での学習が可能です。したがって、情報モラルは、ネット上のモラルだけでなく、様々な学習場面や人との関わりから広く身につけていきたいものです。

コラム
「モラル」「マナー」「エチケット」の違いは?
 ☆モラル・・・倫理観、道徳観に基づいた意識・心や精神的態度
 ☆マナー・・・社会や人との関わりにおける個人の行儀・作法
 ☆エチケット・・・社会上、社交上のきまりごと
「モラル」は、作法やルールなどの外形・定型的なものではなく内発的で、内面を育む「心の教育」によって高められます。一方、「マナー」「エチケット」は、学習や経験を通して習得、実践していくものです。但し「情報モラル」の意味合いは、内面のモラルだけでなく技能や知識・理解など含めた幅広いものです。

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3章 教材化と授業実践

(1)素材・教材の収集
 自作教材での授業実践はなかなか困難ですので、インターネットで公開されている情報モラルの教材サイトの活用をおすすめします。そのほか冊子などペーパーメディアの教材もあります。ネット上での教材探しは「ヤフーきっず」→カテゴリ「インターネットのマナー」を開くと20以上のサイトがあります。その他、ヤフーなどの検索エンジンで「情報モラル 研修教材」などのキーワードを適宜入力して検索する方法もあります。サイトには、リンク集を掲載しているものもあるので、さらに色々なサイトが見つかります。

(2)活用目的にあった教材の選定
次に児童の実態などに即して、ねらいあった教材を選びます。複数の題材を扱うサイトには、題材の一覧(目次)がありますので、該当するものがある場合は、候補としてピックアップしておきます。活用するしないに関わらず目を通しておくと、知識としても参考になります。いくつかピックアップできたら、自分の授業展開に見合った教材を選びます。教材(サイト)の特長をよく知り、「心」「思考・判断」「技能」「知識・理解」「態度・マナー」のどれを中心に育みたいか、どのように活用できるかを考えながら選定します。以下に教材(サイト)の特長を分類してみました。
 
ア、体験型教材
「体験型教材」は、疑似体験を通して学ぶタイプの教材です。こども自ら操作、体験するので知識だけでなく実感として学べる利点があります。大まかに事象を体験する「事象体験型」と具体的な操作技能まで体験する「技能体験型」に分けられます。「技能体験型」は扱いには注意が必要なケースもあります。「自らの身を守る・被害防止」の体験としては有効です。しかし「加害者的行為」の疑似体験は、覚えたことを悪用してしまう場合があります。技能を経験してしまうと実際に試してみたくなり、好奇心が理性を上回ってしまうこどももいます。このようなの教材の場合、一般的な知識にとどめ、技能は教えないほうが無難といえます。

イ、プレゼン提示型教材
「プレゼン提示型教材」は、アニメーション画像や動画を通して視覚的に学べるため、理解しやすい利点があります。「話し合い型の教材」は、事象提示、課題提示のプレゼンの後、子どもたちでの話し合いとなります。思考を深めることで意識づけをさせていくため効果的ですが、教師のほうで「何をどのように話し合わせ、方向づけていくか」をきちんとおさえておくことが必要です。「解説型の教材」は、画像とともに音声や文字での説明がはいるので、とてもわかりやすい教材です。思考よりも知識理解に重点をおく場合に有効です。

ウ、文章説明型教材
「文章説明型教材」は、テキスト(解説文)をベースとした教材です。文章が主体なので読解、知識理解中心となります。意味が明確で、事象や用語を定義的にきちんとおさえられる利点があります。データベースとしての活用は、調べ学習などにも役立ちます。

エ、ペーパーメディア教材
冊子やガイドブックなど印刷物の教材です。コンピュータを使用しないでで実践できるので手軽です。

オ、複合型教材
 プレゼンや疑似体験、ワークシート、テキスト文章(解説)などを複合的に取り入れた教材。

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4章 授業に役立つ おすすめの教材・サイト  右のボタンクリック 

5章 自作教材 
(1)低学年向け自作教材

(2)ネット社会について考える教材

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6章 家庭におけるメディアの使用状況

(1)家庭におけるテレビ、インターネット、携帯電話の使用状況について
小・中学生を対象にした主な調査・データとしては「日本PTA全国協議会 平成16年度 家庭環境におけるテレビメディア調査/青少年とインターネットなどに関する調査」と「ベネッセ教育研究開発センター第1回子ども生活実態基本調査」があげられる。ともに平成16年度に調査を行い、調査結果をネット上で公開している。

<日本PTA全国協議会 平成16年度 調査内容>
@テレビ番組やCMへの評価−見せたくない番組・見せたい番組、見たい番組
Aテレビ出演者からの影響/テレビ番組への期待
B携帯電話・PHS、パソコンの保有状況
Cインターネットやメールの利用状況
D有害サイトに対する認識や出会い系サイト等の利用状況
Eメディア接触に関する家庭内のルールの状況
F子どもの情報リテラシーと、保護者が注意を払っているメディア

調査は小学校5年、中学校2年の児童・生徒および保護者各2400名程度、合計約1万人を対象に行っている。調査によると小学5年生の携帯電話所持率は約1割である。また、小学5年生の自宅のパソコン所有率は約8割で、そのうち95%の子どもが自宅での使用経験があると答えている。インターネットの使用経験は、そのうち約7割があると答え、使用経験者の約半数は週1回以上利用している。メールについては、約2割の子どもが経験があり、そのうち61%の子どもが週1回以上する、ほぼ毎日するが24%となっている。インターネットを利用したことのある子どものうち、57%は「自由に使わせてくれる」となっており保護者が「そばに一緒にいる」は23%にすぎない。有害サイト、出会い系サイトの調査は中学2年生のみを調査対象としている。出会い系サイトなど広告メールの受信経験は約4人に1人の割合であり、受信者のうち5、5%は被害をうけたことがあると答えている。家庭内の取り決め、ルールについては、テレビ視聴については小学5年生の約7割、インターネット利用については約6割が「親が決めたルールはない」と答えている。携帯電話については、小学5年生使用者のうち「親と決めたルールがあり、だいたいそれを守っている」と答えたのは約半数にとどまる。

<ベネッセ教育研究開発センター第1回子ども生活実態基本調査 内容>
小学校4年生〜高校2年生 計約1万5千人を対象に調査。内容はメディア活用にとどまらず、親子関係や友人関係生活・学習全般に及ぶ。以下メディア活用に関する調査結果を紹介する。この調査では、小学5年生の携帯電話所持率は約18%となっていて、日本PTA全国協議会調査の数値より高めである。

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ベネッセ教育研究開発センター第1回子ども生活実態基本調査P4〜P6:転載許諾済

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7章 家庭や社会における情報モラル教育

(1)メディア使用による子どもへの影響
 ここでは、コンピュータなどのネットメディアだけでなく、幼児期や低学年にも深く関わるテレビやゲーム機の影響をを具体的に述べていきます。

@医学界からの提言
 日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会「子どもとメディアの問題に対する提言」 日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」より

*問題の対象となるメディア
「特に乳児や幼児期ではテレビやビデオ、学童期ではそれに加えてテレビゲームや携帯用ゲーム、思春期以降ではインターネットや携帯電話が問題となります」

*メディアによる影響
「影響の一つめは、テレビ、ビデオ視聴を含むメディア接触の低年齢化、長時間化です。乳幼児期の子どもは、身近な人とのかかわりあい、そして遊びなどの実体験を重ねることによって、人間関係を築き、心と身体を成長させます。ところが乳児期からのメディア漬けの生活では、外遊びの機会を奪い、人とのかかわり体験の不足を招きます。実際、運動不足、睡眠不足そしてコミュニケーション能力の低下などを生じさせ、その結果、心身の発達の遅れや歪みが生じた事例が臨床の場から報告されています。特に象徴機能が未熟な2 歳以下の子どもや、発達に問題のある子どものテレビ画面への早期接触や長時間化は、親子が顔をあわせ一緒に遊ぶ時間を奪い、言葉や心の発達を妨げます」

「影響の二つめはメディアの内容です。メディアで流される情報は成長期の子どもに直接的な影響をもたらします。幼児期からの暴力映像への長時間接触が、後年の暴力的行動や事件に関係していることは、すでに明らかにされている事実です。メディアによって与えられる情報の質、その影響を問う必要があります。その一方でメディアを活用し、批判的な見方を含めて読み解く力(メディアリテラシー)を育てることが重要です」

*具体的提言
1. 2 歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。
2. 授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。
3. すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。
 1 日2 時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日30 分までを目安と考えます。
4. 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パソコンを置かないようにしましょう。
5. 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。
(日本小児科医会「子どもとメディア」の問題に対する提言2004.1より)

A家庭用ゲーム機の影響
 ゲーム機(ゲームソフト)が成長期の子どもに与える心理的・身体的影響、行動面での影響が指摘されますが、科学的には解明されていない点が多いようです。例えば「ゲーム機は対人的なコミュニケーション能力を低下させる」といった指摘は、客観的データや裏付けとなる十分な科学的な根拠がありません。「友だちどうしのデータ交換」や「家族いっしょに楽しめるようなコミュニケーション型ソフト」は、コミュニケーションの向上に役立つといえます。都市設計や人生設計をしていくシミュレーション型のソフトは、計画力や想像力を育成します。体感型のソフトは、動作や体でリズムをとったりをするので「体を動かす遊び」にもなります。「ゲーム脳の恐怖」「前頭前野の未発達」など、出版本やマスコミがセンセーショナルに取り上げた事例もありますが、現在のところはっきりした因果関係は特定できていません。
しかし、一方では使用者と使い方いかんによっては、悪影響をあたえる場合があるのも事実です。例えばバーチャルリアリティとしての仮想体験と現実の区別がつかない場合です。この点、バトル対戦型のソフトは要注意といえます。実際にこのソフトをマネして、子どもどうしで実際のバトルトーナメントをしようとした小学生の例もあります。ゲームソフトをヒントに「顔をねらわない上でのキックは有効」などいくつかのルールを子どもなりに考案し、試合を計画した事例です。大人であれば「現実の危険や暴力性」は容易に予見できるはずですが、「認知能力未発達な子ども」にとって「仮想と現実の区別」は難しい場合があるようです。いずれにしろ、ゲーム機やゲームソフトはテレビやコンピュータ、携帯電話と同様、内容・使い方や使用時間に保護者も気をつけ、よりよい活用のしかたを心がけていきたいものです。小学生の場合は自己管理がなかなかむずかしいので、保護者の協力を呼びかけていきたいところです。
(参考文献:イメージ情報科学研究所 ゲームソフトが人間に与える影響に関する調査報告書)

(2)家庭教育における「情報モラル」の啓発
 ネットメディアの活用やテレビメディア、ゲームなどが影響していると思われる事件、問題事例も報道され、「情報モラル教育の必要性」に対しての関心や理解は高まりつつあるように思えます。しかし、それは社会問題としての認識にとどまり、親自身や自分の子にも関わる問題としては、なかなか結びつきにくいようです。
 有害サイトをブロックする「フィルタリングソフト自体の存在を知らないと答える保護者」が6割強、「子どもにインターネットを自由に使わせていて使用実態を知らない保護者」が、小学5年生で6割弱、中学2年生になると8割強にものぼっています。(日本PTA全国協議会 平成16年度 調査) この調査からは、我が子について「子どもは日常的にメディアの影響を確実に受けている」という認識が薄い親、具体的な方針や対策を持っていない親が多いようです。「モラル」という「影響や意識に基づくもの」「行動との因果関係がはっきりしづらいもの」は、ついつい日常的にはおろそかになりがちです。学校生活に比して家庭生活でのメディアの影響は多大なだけに、「家庭教育における適切なメディアの活用」をよびかけていく必要がありそうです。
 
(3)校内における「情報モラル教育」の啓発
しかし、このような現状は家庭教育に限ったことではなく、学校教育においても同様です。「情報モラル教育」ついては、多くの教師が その必要性を感じていることと思います。ところが、具体的な指導・実践については乏しく不十分というのが多くの学校の実態ではないでしょうか。その理由としては、次のようなことが考えられます。

*小学校での「情報モラル教育」は教科学習のように学習指導要領や教科書に沿って授業 実践されるものでない。したがい教科書、指導書にないことをいつ、どう指導したらいいかわからない。

*教育委員会レベルでの「情報モラル教育」の資料化、系統化は整いつつあるが、学校現場ではなかなか計画化が進んでいない。したがい、指導実践は個々の教師の任意、判断に任されている。

*教師自身が「情報モラル」に対する「知識・理解」「思考・判断」「活用技能」が不足している場合があり、対応や実践指導できない。

*「情報モラルの重要性」の一般的な認識はあっても、自分の身近に重大な事が起きていないので「認識」がなかなか「実践」にまで結びつかない。

*教科学習と違い、指導がテストの点数など目に見える成果として表れる類のものでない。地味な実践であり、取り組みが消極的になりがち。

*教科の学習指導に追われて、ついつい後回しになる。

このように考えると、まず学校現場での教師の共通理解、意識の向上など体制を整えることが大切と思われます。合わせて家庭教育への啓発を積極的に進めていきたいです。家庭への啓発としては、「学年便り」を通してのよびかけや「懇談会」での話し合いなどが考えられます。その際は「日本PTA全国協議会」「日本小児科医会」等のデータや提言、事例具体的な資料をもとに、家庭でのあり方を保護者に検討してもらうのも効果的な方策です。

(4)社会における情報モラルについて
 家庭・個人へのコンピュータや携帯電話の普及率が高まるさなか、今や高度情報化社会の中で日本中全ての人々が生活していると言っても過言ではないようです。たとえ自身が情報機器を使わなくとも、顧客情報など個人の様々なデータがデジタル化され社会で活用されています。このような状況から「情報モラル」の必要性は社会全体にも及びます。企業において「情報」は会社の戦略や財産として重要な意味を持ち、厳重管理されている所も多いようです。また、一般生活の中でも機器の発達やネット社会の複雑化により、「情報モラル」の必要性が高まっています。「情報モラル」はもはや特定、特別なモラルではなく、一般的なモラルといえそうです。将来においては、ますます情報モラルが問われる場面も多くなります。したがって小学生の時から、モラルの基礎基本をしっかり身につけていきたいところです。

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