風を信じて
後書きにかえて
約半年間かけまして、ようやく完結と相成りました。
この場を借りまして、読んで下さった皆様方に厚くお礼申し上げます。
今回はシレジア半島の聖戦と銘打って書き出しました。
もちろん、シレジア王家を中心に書いていくことは決まっていましたので、
最初からオムニバス形式とする予定でした。ラーナ、フュリー、レヴィン。
そして、新生シレジア王国の礎を築いた、風の申し子・セティ。
ラーナの時代から戦乱と内乱に吹き荒れたシレジアを最後に救ったのは、
彼女の孫であるセティです。
今回の作品で描きたかったのは、それぞれの人物の持つ風です。
フュリーの、妄信的なまでのレヴィンへの恋慕。
ラーナが持つ、成熟した思考と冒険心を無くさない、バランスの取れた強さ。
あまりにも一般的な父親としての願望を捨てられないレヴィンの弱々しさ。それぞれがそれぞれの特徴を出し切った、一人称小説。
そこに新しい発見がなくてもいい。
活き活きとした、等身大の彼らを書き上げることができればと思っていました。実際に書き上げることができたかは甚だ疑問です。
小田原峻祐が考える彼らの風を表現しきっていない。
まだまだもっと、彼らの風は色々な味を含んでいる筈です。
それを消化しきれなかったことは、非常に残念な思いです。
ですが、これだけははっきりと言えます。
「書いてよかった」
本当に書いてよかったと思っています。
シレジア王家の面々はレンスター王家と違い、非常にわかりやすい年齢設定と
相関関係にあります。
セティとフィーの年齢差は各人によって若干の開きがありますが、大差はない。そのシレジア王家を書き上げることで、峻祐の中の時間軸がしっかりしました。
FE聖戦は、しばしば時間軸が歪んでしまうことがあります。
(特にレンスター王家が絡んだ場合)シレジア王家を書き綴った作品が掲載されたことで、峻祐の基準ができたのです。
時間軸の歪みは、二次小説において危惧すべき問題です。
矛盾が矛盾を生むような二次創作は、いかに完成度が高くても二次創作としては
失格であると言えます。今回の作品は、時間軸の歪みだけはないと自負しています。
長編を書き上げたことで、またこれで一区切り。
「風を信じて」の後書きとして、このページを掲載することにします。
これを機会に、もう一度自分の足許を固めていこうと思います。
小田原峻祐は、「胸が痒くなる、キレのある小説」を目指します。
自分で胸が痒くなるような小説を書かなければ、他人の胸を痒くはできません。
痒くさせてみせる。
そんな決意と共に、このページを締めくくらせていただきます。
平成拾四年 師走 小田原峻祐