テレビをみる


***テレビドラマを観るツティオ公国国王夫妻***

居間のソファーに二人仲良く腰掛けて,少年と少女はテレビを観ていた.
今,流行の恋愛ドラマだ.
仕事で失敗を犯してしまう商社勤めの主人公,飲み屋で落ち込んでいると,ヒロインがやってきて……,
唐突に始まるラブシーンに,銀の髪の少年はうろたえた.
ふと隣を見ると,少女は全く普通の顔でテレビを観ている.
「ア,アスカ……,」
「何?」
漆黒の髪の少女は,画面から少年の方へ視線を移した.
「チャンネルを変えようか……?」
銀の髪の少年は真っ赤な顔でもじもじとしている.
少年の純情な反応に,思わず少女はぷっと吹き出した.
「マリ君ってば,かわいい!」
「うわぁ!?」
少女からのキスに少年がいつも以上に過敏に反応したことは言うまでも無い…….

***テレビドラマを観る勇者と姫君***

居間のソファーに二人仲良く腰掛けて,健とリルカはテレビを観ていた.
今,流行のメロドラマだ.
運命に翻弄されるヒロイン,見つけた愛も無残に引き裂かれ,しかしそのとき,見守り系幼馴染男性がついにヒロインに愛を告白する!
唐突に始まるラブシーンに,リルカはテレビにかじりつく.
健はというと,ドラマには飽き切ってあくびをかみ殺している.
「なぁなぁ,こんなものより野球観ようぜ.」
「タケル,うるさい! 今,いいところなの!」
健はテレビに必死なリルカの横顔を見つめた.
「俺,他人のラブシーンよりも,自分の恋愛の方に興味がある…….」
「はい?」
振り向いた途端,リルカはソファーに押し倒された.
「何するのよ! 馬鹿ぁ!」
リルカのアッパーパンチが,狼になった健の顎に命中したことは言うまでも無い…….

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