夏休み白雪姫特論


「はい,リルカ.毒りんごだよ.」
ひょいと差し出されたりんごを,リルカはにらみつけた.
「あのねぇ,そう言われて,食べるわけがないでしょ!」
すると楽しそうに健は笑いかける.
「口移しで食べさせてあげようか?」

「そんなことしなくて,」
しかし強引にリルカは健に唇をふさがれた.
口移しと言ったくせに,りんごなどそっちのけで健は口付ける.
「りんごを食べさせなくていいの!?」
口付けから開放された後,真っ赤な顔でリルカは聞いた.
すると健は平然と答える.
「だってこっちの方が大切.」

そうしてリルカの腰を抱き,再びキスをしようとする.
「やめなさいよ! タケル!」
腕の中でリルカは無駄な抵抗をした.
健が腕に掛けていた籠の中から,りんごがごとごとと落ちてゆく. 

とんでもない継母役である.
足元に散らばっているりんごには構わずに,健はリルカにキスを贈った.

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