少年は黙って腰の剣を抜いた,飾りなど一切無い実用本位の剣だ.
「剣と魔法,どちらがいいですか?」
国王である少年の問いに彼らは答えない,一斉に少年に向かって襲い掛かる.
その中心で,少年は剣を天に向かって突き上げた.
「凝る闇を打ち砕け,光よ!」


「太陽は君のもの!」


コウリはさりげなくドアを大きく開け放したままで,少女を部屋の中へ入れた.
「アスカ,私は何も聞かないし,君も何も言わなくていい.」
そう前置きして彼はしゃべりだした.
「ただ最後の質問にだけ,はいか,いいえだけ,答えてくれ.」

がきぃぃん.
嫌な音を立てて,剣と剣がぶつかり合う.
少女は何かいらだっているのか,がむしゃらに剣を振り回した.
「なんだよ,陛下と喧嘩でもしたのかよ.」
「してないわよ!」
そうしてサイラに向かって矢に雲に打ちかかってくる.

マリはじっとシキを睨みつける.
「つまり国を取るか,彼女を取るか,二者択一です.」
シキは心底楽しそうに笑った.
「どうなさいますか,国王陛下.」

すると今度はノックも無しに,いきなりドアが開く.
「ケイカさん,コウリなんかほっといて行きましょうよ.」
金の髪,青の瞳のカリンである.
お供に妹のヒロカとフローリアを従えている.
そして少し離れたところでは漆黒の髪の少女が,部屋の中の少年を見つめていた.

銀色の髪が,お日様のように輝いている.
優しい青の瞳が,お日様のように暖かい.
私をいつか,違う世界へと…….

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