「太陽は君のもの!」本編終了後座談会


明日香>というわけで,本編完結までお付き合いいただきありがとうございました!
マリ>長い話でしたが,最後まで読んでくださってありがとうございます.
カリン>本編終了を記念して座談会なんですけど……,アスカ,これは何なの?

明日香>これは日本の伝統的な家族団欒必須アイテムのコタツよ.
サイラ>コタツ? よく分からないけど,暖かくて居心地いいね.
コウリ>それでこの果物は……?
明日香>コタツといえばミカン! あ,マリ君,剥いてあげるね.

(明日香はミカンの皮を生皮まできれいに剥く.)
カリン>このリョクチャっての,すごく苦いわよ.
サイラ>カリン様ってば,お子様味覚なんじゃないの?
明日香>はい,マリ君.あーん,して.
マリ>ア,アスカ!?

カリン>こら! あまり人前でいちゃいちゃしないの!(サイラの頬をつねりながら.)
サイラ>痛いよ,カリン様! ……いいんじゃない.俺,だいぶ慣れたよ.
コウリ>陛下もそんなに反応しないで下さい.見ているこっちの方が恥ずかしくなりますから.

マリ>アスカ,自分で食べるから…….
明日香>そぉ? じゃぁ,どうぞ.
サイラ>で,兄ちゃんたちはいつ結婚するの?
マリ>ありがとう,アスカ.(もぐもぐもぐ.)
カリン>そうよ,さっさと迎えに来てよ.
明日香>おいしい? マリ君.
コウリ>それは……,もうちょっとだけ待っていただけませんか? カリン様.

マリ>うん,甘酸っぱくて.
明日香>マリ君,意外に甘党だものね.(にこにこにこ.)
カリン>いいかげん敬語は辞めてよ,コウリ.
コウリ>しかし,カリン様,あなたは一応王家の姫君ですし.
サイラ>さっきからご機嫌だね,アスカは.

明日香>うん,だって作者から本編完結のご褒美にいいことを教えてもらったもの.
カリン>何?
明日香>あのね,マリ君.女,女,女,男だって!
マリ>え? 何が?
明日香>名前どうしようかぁ.4人分も考えないと駄目なのよねぇ.
マリ>ぶっ! ごほっごほっごほ…….

サイラ>うわ,陛下,きたねぇ…….
カリン>そんなにも産む気なの? アスカ?
コウリ>カリン様,そんな露骨に聞かなくても.
明日香>もちろん! 私,兄弟姉妹がいっぱいいるのずっと憧れていたし,

明日香>マリ君も一人っ子だから嬉しいでしょ?
マリ>う,うん,まぁ…….
コウリ>陛下,……我々は退散しましょうか?
マリ>そんなことしなくていいってば!

カリン>作者もとんでもないことを教えるわね……,しかもアスカに.
サイラ>でも陛下に教えたとしても,絶対に喜んで周りに言いふらすと思う.
カリン>そうよねぇ,なんせ陛下には前科があるし.
サイラ>陛下の初恋話を知らない人なんて,この王都には居ないんじゃないかなぁ…….

明日香>ねぇ,前前から聞きたかったのだけど……,
カリン>何?
明日香>マリ君,いったいどれだけの人に私のことを言いふらしたの?
マリ>え? あ,……それは.
サイラ>まずは家族,親類縁者,城で働く人々に,城下の街の人々に……,(指を折りながら)

カリン>言っては悪いけど,この国のもので知らない人なんて居ないんじゃないの?
コウリ>黒髪黒目のアスカちゃんで,すでにアスカが来る前から有名だったよ…….
明日香>マリ君,いくらなんでも言いふらしすぎ!(真っ赤になって.)
マリ>ごめん! アスカ.(負けず劣らず赤い顔で.)

カリン>ついでに言うけど,アスカ.あなたたちの結婚式も有名な語り草よ.
明日香>え? なぜ?
コウリ>我が公国の結婚式では,普通花嫁と花婿は目もあわせないし,全く触れ合わないものなんだ.
明日香>え? でもマリ君が手をつないで歩くものだって.

(マリは赤い顔でそっぽ向いた.)
明日香>騙したわね,マリ君!
カリン>陛下よりもアスカの行動の方が強烈だったわよ…….
(明日香は返す言葉が無い…….)

サイラ>まぁ,とりあえず,ハッピーエンドで物語も終わったことだし.
カリン>そうね,それじゃ,私たちは退散しましょうか.
コウリ>では,陛下,アスカ.ごゆっくり.

(カリン,コウリ,サイラはコタツから出て去っていった.)
明日香>…….
マリ>…….
明日香>……マリ君.結婚式をやり直そうか?
マリ>なぜ?

*** *** *** *** *** *** *** ***

「だって私,式の間,すごく不誠実な気持ちだったし,」
少女は恥ずかしげに俯いた.
結婚式は少女にとっては単なる作業以上のものではなかったからだ.
すると少年は俯いた少女の唇に器用に口付ける.

「……こんなにも好きになるなんて思わなかった.」
少女が軽く笑んでぽつりと零すと,少年も微笑んだ.
「私も…….これほどまでに愛しいものだとは知らなかった.」
少年は少女の漆黒の髪を撫で付けて,その顔を上げさせる.

「形式なんてどうでもいい,たとえ石が偽物でも結婚に異議は言わせない.」
記憶を辿りながら,少年は言った.
結婚式のときに少女が言った台詞だ.
懐かしそうに,少女も微笑む.
「私たち,愛し合っているんです……,だったっけな.」

見つめあって,微笑みあう.
あの結婚式のときに足りなかったのはこの気持ちだ.
そういえば私はあの時,数を数えていた.
「儀式なんてどうでもいい,やり直さなくていいよ.」
優しく自分の髪を梳く少年に向かって,少女は眩しそうに頷いた.

空高く輝く太陽.
今はこんなにも近くに居る.
青の瞳,銀の髪の少年の姿をとって.

出会いは偶然,しかし再会は…….
それは希望,光,夢,……ずっとあなただけを待っていた.
「マリ君,よく私が分かったね.」
10年も経てば,面影も変わろうものなのに…….
「アスカがずっと私の石を持っていてくれたからだよ.」

「それに私の予想通りに,すごくキレイになっていたから.」
少女はくすっと微笑んだ.
「予想が外れていたらどうしていたの?」
「それでも,」
ただ自分だけを見つめるまっすぐな熱いまなざし.
「……ずっと君に逢いたかった.」

「アスカ!」
緑の中に少女の姿を見つけ,マリは叫んだ.
「誰!?」
警戒心に身をこわばらせて,少女は振り返った.

銀色の髪が,お日様のように輝いている.
優しい青の瞳が,お日様のように暖かい.

私はいつの間にか,太陽を手に入れた…….

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