その瞬間,彼女は見た.
鈍く銀に輝く竜が,身のうちに溶け込んでゆくのを…….
彼女の世界は転変する.


「竜を探して」


「死にたくなかったら,俺に従うんだな.」
セイの瞳に危険な光が映る.
その瞳を見つめながら,サラはセイと二度目の口付けを交わした.

「そうか,ならこの紙に名前を書いてくれ.」
ブレーメンは不思議そうに,10以上も年下の上官をみやった.
「いや,皆ついていきたいと言ってきてな,だから抽選だ.」
今度こそ,本気で呆れてしまった…….

「分かった.その言葉,信じていいんだろうな?」
まったく人を信用していない瞳で,セイは答えた.
すると,人を喰ったような笑顔でクランは笑う.
「別に信用せずに,途中で逃げてもいいよ.」

「無茶をする娘だ…….」
いきなり後ろから声を掛けられて驚いて振り向いたその先には,大きな銀の竜がいた.
声も無く,ただサラはその色違いの両目を見開いた.

ここは,剣と魔法が存在する異世界…….
母の故郷…….

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