ラジオで『水底呼声×魔術学院マイナーデ』


こんにちは,今日も明るく楽しいラジオ『SUITEI-Station』の時間がやってまいりました.
パーソナリティの古藤みゆです.
本日のゲストは,カリヴァニア王国からお越しの黒猫ウィルさんです.
(ぱちぱちぱち……)
「……何をやっているの,ミユちゃん?」
こんにちは,ウィルさん.
今日は,とっても暑いですね.
「うん,暑いけど…….」
ウィルさんは若干十二歳で,デビューなさったのですね.でも,これ以上の話はシャレにならないので,割愛しましょう.
「はぁ…….」
さっそくリスナーの方から,お手紙が届いています.
――こんにちは,みゆさん.
いつも魔法のステッキをぶんぶん振りながら,楽しくラジオを聴いています.
今日は私の悩みを聞いてください.
テストで,なかなかいい点数が取れないのです.
どうか魔法の呪文を暗記するコツを教えてください.
「魔法のテスト?」
はい,彼女は魔術学院マイナーデの生徒さんみたいですね.
あ,プリクラが貼っています,一緒に写っている金髪の男の子は彼氏でしょうか?
うらやましいですね.
「プリクラって何? ミユちゃんが望むなら僕もやるよ.」
さて,理解不能で意味不明でまるで呪文のような公式を暗記するコツですが,
「僕,無視されている……?」
語呂合わせで覚えちゃうのが一番です!
頑張ってくださいね,サリナさん.
ファイト!
「ミユちゃん,本編とキャラが違うよ…….」
お相手は,水底呼声の古藤みゆでした.
シー・ユー・アゲイン・ネクスト・ウィーク,ばいばーい!


***


こんにちは,今日も明るく楽しいラジオ『SUITEI-Station』の時間がやってまいりました.
僕は臨時バイトの黒猫です.
今日もリスナーの皆さんから,お手紙が来ています.
――こんにちは,ミユさん.
僕の悩みを聞いてください.
僕は大好きな彼女と結婚するのですが,彼女の親との同居が上手くいくのか,今からとても心配です.
どうか悩める僕にアドバイスをください.
魔術学院マイナーデの匿名希望,ライゼリート君からのお便りでした.
さっそくアドバイスを,
「っわ〜〜〜〜〜!」
誰?
「匿名希望で,名前をばらすなよ!」
もしかして,ライゼリート君?
「プライバシーの侵害だ!」
大好きな彼女と結婚するライゼリート君?
「笑うなぁ! 正体がばれないように,“僕”って書いたのにぃぃぃ!」
悩んでいるの?
「悪かったな! 俺だって気を使うんだ.兄貴に相談できないから,ラジオで相談したのに.」
運が悪かったね.
ミユちゃんは,今日は休みだよ.
「わーらーうーなー!」
あ,それから全国放送だから.
「……!?」
泡を吹いて倒れちゃった.
まぁ,いいか.やっと静かになった.


***


すじゃーたー,すじゃーたー.
すじゃーたが正午をお知らせします.


***


こんにちは,今日も明るく楽しいラジオ『ハートフル・ステーション・マイナーデ』の時間がやってまいりました.
パーソナリティのサリナです.
「ライゼリートです.」
どうしたのですか,ライムさん.
ため息なんか吐いて.
「別に…….リスナーからの手紙は来ているのか?」
来ていませんよ.
「えぇ!?」
えぇ!? って何ですか!?
「あのウィルという奴の悩みは!?」
誰ですか,ウィルさんって.
「とにかくウィルの悩みを探すんだ!」
えー!?
「こっちも全国放送しないと気がすまない!」
「殿下,公共の電波を何だと思っているのですか?」
あ,スーズさん.
こんにちは.
「こんにちは,サリナ.今日は殿下が君に相談したいことがあるそうだよ.」
相談ですか?
「殿下は,」
「っわ〜〜〜〜〜! しゃべるな,ばらすな,黙っていてくれーーー!」

ラジオのお便りコーナー.
そこにいったい何通の,若き日の過ちを送ったか.
青い日々は過ぎ去り,番組特製ストラップ(もしくはステッカー)だけが手元に残るのであった.

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