乙女ゲームの主人公に転生したけど、何かがおかしい。

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  乙女ゲームの主人公に転生したけど、攻略したいキャラが鈍感すぎてつらい。  

詩織と竜太は幼なじみ。
同じ地元の中学校に進学しました。

「竜太は、どの部活に入るの?」
「俺はサッカー!」
「じゃ、私もサッカー部に入る」
「おぅ、おもしろいぜ!」

バレンタインがやってきました。

「このチョコレートを受け取って!」
「ありがとう」
「手作りなの」
「ハートの形をしているケーキだ! 詩織は器用だなぁ」
「竜太のために、がんばったの」
「義理なのに、すごいなぁ。本命はもっとすごいのを作ったのか?」
「……」

二年生に進学し、再びバレンタインがやってきました。

「これが私の気持ちなの。今すぐこのお菓子の箱を開けて!」
「ありがとう。……うわっ、すっごく立派なケーキだ。……あれ? チョコレートのプレートに本命って書いてあるぞ」
「そうよ、本命チョコなの」
「そうか、分かった! 詩織がこんなにもすごいケーキを用意したのに、詩織を振った男がいるんだな。……安心しろ、詩織。このケーキは、俺が家に持って帰って食べてやる」
「……」
「あれ? 詩織、泣いているのか? 詩織を振った男め、許さんぞ! 男の名前を教えてくれ。今すぐ、俺がなぐってやる」
「自分で自分をなぐれば?」(怒)

三年生になりました。

「竜太はどこの高校を受験するの?」
「俺は、○○高校」
「じゃ、私も○○高校へ行く!」
「えー!? 詩織の学力だと無理だぜ」
「……」(むか)

詩織は、次の定期テストでがんばりました。

「先生に相談した。がんばれば、○○高校は可能性があるって言ってくれた」
「そっかー」
「私はがんばる。必ず、竜太と同じ高校へ行く」
「そんなに○○高校へ行きたいのか?」
「うん」
「ん? ○○高校って、どこかで聞いたような……?」
「?」
「そうか、これは運命なんだ。詩織は○○高校に入学して、素敵な恋人ができる」
「隣にいる誰かさんが素敵な恋人になれば、万事解決だけど」

詩織は見事、合格して、竜太とともに○○高校に入学しました。

「詩織、今日のお昼は一緒に食べようぜ」
「うん」
「屋上に行こう。そこでなら二人きりで話せるし」
「え?」(まさか告白!? どうしよう、心の準備ができていないわ。それに今日はあまりおしゃれしていないのに。あぁ、でもついに、私の想いが通じたのね)

屋上へ行きました。

「喜べ、詩織。君は、乙女ゲームの主人公に転生した」
「はぁ?」

本編へ続く。
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