ドラーヴァ王国物語 ―風の魔法使いと大地の娘―

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  後日談「王子様には気をつけて!」  

学園の畑にて

レオン「アメリア! ひさしぶりだ。畑の調子はどうだ?」
アメリア「レオン先輩。おひさしぶりです。畑も花壇も順調です」
ルーカス「アメリア。彼は誰?」
アメリア「彼の名前はレオン。十年くらい前の卒業生で、学園の近くに住んでいらっしゃる。だから年に数回ほど、畑や花壇に来て、私たち後輩の指導をしてくださっているの」
ルーカス「初めまして。ルーカスです」
レオン「初めまして。レオンだ。――アメリア。さきほど、クルトのあほ王子が二か月ほど前に、学園に来て、また決闘したと耳にした」
アメリア「えぇ、そうですが。先輩はクルト殿下と仲が悪かったのですか?」
レオン「仲が悪いに決まっている。あいつは決闘の罰の雑草むしりで、雑草と一緒に薬草も、水の魔法で土ごと流した」
アメリア「薬草を、土ごと、水で流して……」(ふらっと倒れる)
ルーカス「アメリア。しっかり」(アメリアを支える)
レオン「さらにあるときは、校庭だけで決闘すればいいものを、花壇まで足を踏み入れて……!」
アメリア「信じられない。そんなひどい人だったなんて」
レオン「畑も花壇も無事か? クルトに害を加えられていないか」
アメリア「大丈夫です」
ルーカス「……」
レオン「卒業したくせにまた決闘なんかやって、クルトのやつは何を考えている。クルトの対戦相手も、そうだ。何が楽しくて、女をかけて決闘する? 大迷惑だ」
ルーカス「……」
アメリア「……」
レオン「決闘と言えば、クルトは昔、ジャクソンという男と、美女をかけて決闘した。決闘には勝ったけれど、美女には振られていた。はっはっはっ、いい気味だ。……ん? どうした? ふたりとも変な顔をして」
アメリア「いえ……、その……」
ルーカス「……」
レオン「とにかくクルトには気をつけろよ」
アメリア「はい。了解しました」(きりっ)
ルーカス「……」
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