正しいデートにはほど遠い……? おまけ


このショートショートは「Cafe Fayerie」様の「キャラで雑談BBS」に投稿しました.
同掲示板同スレッドである『ウインナコーヒー』の続編です.


小さなテーブルいっぱいに並んだデザートに,王子は開いた口がふさがらなかった.
チョコパフェに,アイスに,巨大パフェに,ワッフルに,ホットケーキに,チョコレートケーキに,タルトに,チーズケーキに,フルーツサンドイッチ.
……いったい誰が食べるのだ? こんなにも…….

「うわぁ,おいしそう!」
それは今,少年の目の前で歓声を上げている少女に違いない.
「いただきます!」
少女のスプーンが,勢いよくパフェへと襲い掛かる.
一撃一撃が大きく,あっという間に敵地を侵略してゆく.
少年は半ば呆然として,それを見守った.

「王子も食べていいよ.」
すると少女は,親切にも少年にケーキの皿を差し出す.
少女自身は,色とりどりのデザートを各個撃破中だ.
「……いただきます.」
少年は気の無い様子で,無意味に長い名前のケーキをフォークでつついた.
そして改めて店内を見渡すと,妙にカップルだらけである.
少年は急に恥ずかしくなり,目下の攻撃対象であるケーキに集中することにする.

静かな店内のBGMは,ケーキよりも甘い恋人たちの睦言.
さりげなく聞こえてくる『愛してます.』の台詞に,少年は一人で顔を真っ赤にさせるのであった…….

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