《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》
- about Rebecca Guay Illustrations 2005/8/24
 illus
 Weatherlight:Uncommon
 Sorcery
 Casting Cost - 1G
 TEXT -
 対象のプレイヤー1人は、その墓地にあるカードを最大3枚まで対象とする。そのプレイヤーは、それらを自分のライブラリーに加えた上で切り直す。
 カードを1枚引く。

 《ガイアの祝福》があなたのライブラリーからあなたの墓地に置かれたとき、あなたの墓地をあなたのライブラリーに加えた上で切り直す。


about Constructed

 Rebeccaがイラストを描いたカードの中でも、最高レベルのパワーを誇る逸品。
 ウェザーライト発売当初では、当時それなりに認知度の高かった《石臼/Millstone》デッキを狙い撃ちしたメタカードと認識されていたのですが、その後、様々なコンボの素として頻繁に用いられることになりました。
 とはいえ、その筆頭は間違いなく

 《ドルイドの誓い/Oath of Druids》

 ということになるでしょう。
 このカードは、相手よりも少ない数のクリーチャーをコントロールしている場合、ライブラリをめくっていって最初に現れたクリーチャーカードを直接場に出すことができます。
 マナを全く必要とせずにクリーチャーを呼べる強力な効果ですが、その分デメリットは強烈で、クリーチャーカードが現れるまでにめくれたその他のカードはすべて墓地に行ってしまいます。
 しかし、それを完全にカバーするのが、《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》の2つ目の能力というわけです。

 とまあ、ぶっちゃけ今更説明するまでもなく、過去幾度となくトーナメントの頂点を極めたデッキコンセプトなのです。

 以下では、過去、このコンボを用いて成功した代表的なデッキを取り上げようと思います。
 一つ目はこれ。

 [Spike] - Satoshi Nakamura
- APAC 1998 1st
 - Main Deck -

 16《森/Forest》
 4 《不毛の大地/Wasteland》

 4 《スパイクの飼育係/Spike Feeder》
 4 《スパイクの兵士/Spike Soldier》
 4 《スパイクの織り手/Spike Weaver》
 4 《繁茂/Wild Growth》
 4 《エラダムリーのぶどう園/Eladamri's Vineyard》
 4 《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
 4 《冬の抱擁/Winter's Grasp》

 4 《忍び寄るカビ/Creeping Mold》
 2 《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》
 4 《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》
 2 《呪われた巻物/Cursed Scroll》

 - Sideboard -

 2 《シャドーの迷路/Maze of Shadows》
 3 《リバー・ボア/River Boa》
 2 《ハートウッド・ツリーフォーク/Heartwood Treefolk》
 2 《スクラーグノス/Scragnoth》
 3 《無垢への回帰/Seeds of Innocence》
 3 《エメラルドの魔除け/Emerald Charm》

 1998年、東京で行われた第2回APACで、中村聡氏が使用したデッキ。(スタンダード 5th-MI-VI-WL-TE-ST-EX)
 基本的な動きは土地破壊によるマナロック。
 このタイプのデッキには、土地破壊を実行している傍ら、どうしても漏れ出てしまうものをいかに捌くかという命題が付いて回ってくるのですが、それに対する解答に《ドルイドの誓い》《ガイアの祝福》エンジンを利用していることが白眉と言えます。
 メインから採用されている生物は「スパイク」のみ。カウンター調節による自殺が可能であることも勿論ですが、《スパイクの兵士/Spike Soldier》以外の2種、《スパイクの織り手/Spike Weaver》《スパイクの飼育係/Spike Feeder》は、クリーチャーコントロール、ダメージコントロール能力が半端でなく強力。このデッキだけでなく、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》デッキでは御馴染みの顔と言っても良いでしょう。
 このエンジンが回り始めると、土地破壊の間隙を付いて出てきた生物はスパイクたちで対応、その間に使用したスペルはまたライブラリに戻っていく、という半永久機関が形成されるわけです。

 で、勝ち筋はとなるわけですが、当然クリーチャーであるスパイクたちで殴り勝つこともできるのですが、実際、真のダメージソースは

 《エラダムリーのぶどう園/Eladamri's Vineyard》の引き起こすマナバーン

 というのがまた面白いところです。

 勿論、緑相手には効かないのですけれど、この頃のメタ最右翼が「ユーロブルー」と呼ばれた青単のフルパーミッションであり、このマッチアップにおける先手1ターン目《エラダムリーのぶどう園》はそれだけでかなり青単側に不利な状況を作り出しました。
 というのも、この「ユーロブルー」は中身のほとんどがカウンターという超の付くリアクションデッキであるため、メインにマナを処理できるカードがあまりないわけです。結果として、何もできずにマナバーン、が積み重なり相当のダメージをもらってしまうことになります。
 たまに《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》とか《転覆/Capsize》のバイバックで消費できたりもするのですが、それはそれで相手のマストカウンターを素通しすることになりますので、基本的には《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》を置いて流す以外の現実的な対処は不可能でした。
 (時折、キレて《鋼のゴーレム/Steel Golem》を1ターン目に呼び、後をすべてカウンターし尽くすという奇跡も起こりましたが・・・・・・。大抵、返しで《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を置かれてゲーム終了、でした)

 当時「ユーロブルー」で青いデッキに目覚めたワタクシも、草の根大会とかで対戦することが多かったのですが、上記のようにメインの相性の悪さは言うに及ばず、サイド後もメタ最右翼の影響をモロに受け、

 ・スパイクカウンターが載って4/5になった《スクラーグノス/Scragnoth》で殴られる。(《鋼のゴーレム》は3/4なので止まらない)
 ・先手1ターン目の《丸砥石/Grindstone》で投了。

 もっと悲惨な目にあったことを覚えてます。

 [Counter Oath] - Tsuyoshi Douyama
- GP Kyoto 2000 6th
 - Main Deck -

 1 《スパイクの飼育係/Spike Feeder》
 1 《変異種/Morphling》
 1 《火口の乱暴者/Crater Hellion》

 3 《渦まく知識/Brainstorm》
 2 《無効/Annul》
 4 《対抗呪文/Counterspell》
 4 《衝動/Impulse》
 4 《Force of Will》

 4 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
 2 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
 1 《赤の防御円/Circle of Protection: Red》
 1 《浄化の印章/Seal of Cleansing》
 2 《神の怒り/Wrath of God》

 3 《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
 2 《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》
 1 《森の知恵/Sylvan Library》
 1 《火薬樽/Powder Keg》

 4 《Tropical Island》
 4 《Tundera》
 3 《Volcanic Island》
 1 《反射池/Reflecting Pool》
 1 《Savannah》
 3 《氾濫原/Flood Plain》
 3 《樹上の村/Treetop Village》
 4 《不毛の大地/Wasteland》

 - Sideboard -

 1 《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》
 1 《呪われたトーテム像/Cursed Totem》
 1 《無のロッド/Null Rod》
 1 《火薬樽/Powder Keg》
 1 《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》
 1 《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
 1 《スパイクの織り手/Spike Weaver》
 3 《紅蓮破/Pyroblast》
 2 《無効/Annul》
 1 《聖なる場/Sacred Ground》
 1 《浄化の印章/Seal of Cleansing》
 1 《Glaciers》

 次は、スタンダード、エクステンデッドと、サイクルやレギュレーションの変化によって微妙に形は変われど、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》が存在し続ける限り、基本コンセプトが継承されつづけた「カウンター・オース」デッキを取り上げます。
 このデッキ、基本はあくまでも青のカウンターと白のクリーチャーコントロールという伝統的なパーミッションなのですが、更なるクリーチャーコントロールとフィニッシャー調達手段として《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を利用しています。
 相手がクリーチャーデッキであれば、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》さえあれば、マナ要らずで《スパイクの織り手/Spike Weaver》や《火口の乱暴者/Crater Hellion》を使いまわしてほぼコントロールしきることが可能です。基本がカウンターデッキなだけに、後は本当に脅威となるものだけを却下すれば良いということになります。
 逆に、クリーチャーの少ない、もしくは存在しないデッキに対しては通常のパーミッションデッキとしてカウンターを構えつつ、《変異種/Morphling》などでの勝利を目指すわけです。
 とはいえ、やはりメタゲームがクリーチャーにシフトした段階で非常に効率的なデッキ構成となるのは間違いなく、ノーマークとなった時に《ドルイドの誓い/Oath of Druids》デッキが勝つ、というのは、過去にも幾度となく繰り返された光景だったりします。

 参考レシピとして紹介しているのは、2000年のGP京都にてTOP8に入賞したもの。
 本来であれば、このデッキの原型として「Mr.Oath」Bob Maherが1999年のプロツアーシカゴで栄冠を勝ち取ったものを紹介したかったのですが・・・・・・まあ、察してください。
 こうしたBob Maherのものを原型とするバージョンの特徴は、《悟りの教示者/Enlightened Tutor》を登載したことで、キーカードである《ドルイドの誓い/Oath of Druids》へのアクセスを確実にするとともに、メタ上のデッキに対して劇的に効くカードを1枚ずつメインに散りばめる「シルバーバレット」戦略を採用したことと言えます。

 このように《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》と《ドルイドの誓い/Oath of Druids》は切っても切れない関係。
 最近は《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》のおかげでVintageでも《ドルイドの誓い/Oath of Druids》デッキが存在しているとのこと。まさにマジックを代表するコンボと言っても過言ではないと思います。


about Limited

 構築とリミテッドでは、見事なほどに論点とすべき能力が違っているのが面白いところですが、構築でもてはやされたライブラリから直接墓地に落ちた時の効果は完全に二の次。
 序盤でも何でもやることが無ければ普通にキャストして「カードを1枚引く」ことによるデッキ回転率上昇がその最たる役割となります。
 無論、中盤以降に引いてくれば、使い古しの除去などを(いつ引けるかはともかくとして)再利用する可能性が出てくるわけで、地味ながらデッキに入れるには十分の能力と言えます。

 リミテッドデッキを組むにあたり、残り何枚かの候補から選択を迫られることは日常茶飯事ですが、「困った時はキャントリップ」というのは一種の金言。
 40枚デッキにおける1枚のドローは金一粒以上の価値があります。
 効果があるかどうか分からないようなカードよりは、効果などは無視してでもカードが引ける方が強いことが多いですね。


about Illustation

 最近もFNMとかのFoilがありますけど、昔、DCIマークの入ったFoilはなかなか入手困難だったのですよ。
 面倒くさいのでRebecca来んなやーと念を込めていたはずなのに、その思いは通じなかったのです。
 で、某PTチャンプが近寄ってきて曰く

 「DCIFoil出るらしいで」 with 満面の笑み

 DCIより先に首絞めたろうかと思ったり思わなかったり。
 昔はよく、聖書にあるかのように、右頬をFoilカードで叩かれたら左の頬を・・・・・・とかやってましたね。あまりにも懐かしすぎますが、ノリとはいえ自分もほんとにようやった。若かったわ。(まだいける?)

 ・・・・・・閑話休題。
 ともかくも《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》のDCIFoilについては、当時かなりげんなりして三猿状態だったのですが、結局、しばらく後にS様の御厚意で入手。ほんとにお世話になっております。


Magic: The Gathering