《分散する宝珠/Dispersing Orb》
- about Rebecca Guay Illustrations 2003/8/23(Sat) 3
 illus
 Onslaught /350 Uncommon
 Enchantment
 Casting Cost - 3UU
 TEXT -
 3U, パーマネントを1つ生け贄に捧げる:パーマネントを1つ対象とし、それをオーナーの手札に戻す


Preface

 リミテッドの歴史において「殿堂」という言葉があるのならば、そこに並べられるべき1枚にこんなものがありました。
 時はウルザズ・サーガの時代まで遡ります。

《練達の魔術師バリン/Barrin, Master Wizard》
 Creature - Wizard,Legend
 Casting Cost - 1UU
 P/T - 1/1
 TEXT -
 2, パーマネントを1つ生け贄に捧げる: 対象のクリーチャー1体をそのオーナーの手札に戻す

 このカードを見たとき、みんなで「バリンや」「重い」という話をしたのを覚えています。
 が、結局、それっきり。
 構築戦ではいわずもがな、限定戦でもそのコストパフォーマンスの悪さでほとんど使われないカードとなっているのは悲しいところ。

 ここで一発、有用な使い方を模索・・・・・するわけもなく、今回は、特に過去を振り返りつつその弱さを語るスタンスでお届けします。


about Constructed

 マジックは、1ターンに原則1つしか増えないマナを使って戦うゲーム。
 いつでもマナが少ない状況を作り出すことができるのであれば、青のバウンス能力は除去呪文に等しい活躍を見込むことができます。

 《ハルマゲドン/Armageddon》や《大変動/Cataclysm》といった大量土地破壊呪文と、《貿易風ライダー/Tradewind Rider》。
 《冬の宝珠/Winter Orb》や《水位の上昇/Rising Waters》といった土地の利用を阻害するスペルと、《波止場の用心棒/Waterfront Bouncer》。

 歴史的にも、えてしてこういったカードたちが強力なシナジーを形成してきました。
 しかし、彼らが優秀であったのは、そのコストが軽かったから。
 相手にマナはありませんが、同時に自分もマナを制限されています。その範疇内で相手の動きを邪魔しつづけることが肝要だったわけです。
 というわけで、《分散する宝珠/Dispersing Orb》
 パーマネントをコストに使用する程度ならばまだともかく、起動に4マナもかかるのでは正直お呼びがかからないのも当然です。
 能力に対してコストが割高過ぎるという典型的なダメカードの例といっても過言ではないでしょう。
 確かに、エンチャントメントという対処しにくいカードタイプにバウンス能力をもたせるというのは一つの冒険かもしれませんが、どうせ冒険するならもう一声欲しいのが人情というもの。


about Limited

 Counter、Draw、Flyer、Pinger・・・・・・。
 最近、色々な意味で青という色の能力が見直された結果、その弱体化が叫ばれています。
 ついには8版で代名詞ともいえる《対抗呪文/Counterspell》が落ち、まさに斜陽の時代に突入した感がありますが、オンスロートブロックリミテッドでは特に「バウンス」の欠如が問題になっています。
 その質の低さは、近年類を見ないほどに悲惨な状況と言えるでしょう。

 例として、ここ数年の各ブロックのコモンバウンスを列挙してみます
 マスクスブロック
 《波止場の用心棒/Waterfront Bouncer》《退去の印章/Seal of Removal》《引き揚げ/Withdraw》
 インベイジョンブロック
 《排撃/Repulse》《急流/Rushing River》《偽り/Jilt》
 オデッセイブロック
 《霊気の噴出/AEther Burst》《追い返し/Repel》(以下微妙)《かそけき翼/Ghostly Wings》《逆巻く渦/Churning Eddy》

 これと比較しても、オンスロートブロックは
 《残響の追跡者/Echo Tracer》《時間の亀裂/Temporal Fissure》

 ・・・・・・あまりにも寒いのでアンコモンまで引っ張ってきても追加されるのが、
 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》(1マナ、インスタント、弊害あり)
 《本質の裂け目/Essence Fracture》(5マナ、ソーサリー)
 ですから、その差は歴然たるものがあります。

 で、肝心の《分散する宝珠/Dispersing Orb》ですが。
 上の「追加」に挙げるのもおこがましく、ついでに《バリン》大先生を引き合いに出すまでもない弱さです。
 いくらこの環境が遅いとはいえ、常に4マナを残しながら、さらにコストとなるパーマネントを展開しつづけるのは無茶が過ぎます。普通に使う限りでは、能力を起動すればするほど自分の身が締まることになり、結果的にジリ貧になるでしょう。
 ほんとにどうしようもない時以外は、絶対にデッキに入れないことをオススメします・・・・・・。
 これを使った記憶は一度もなく、これを使っているのを見たことはたぶん片手以下、さらにはそれのおかげで勝ったデュエルを見たのはただ一度きり・・・・・・。

 ま、8版ではちゃんと《送還/Unsummon》《ブーメラン/Boomerang》がコモンにあるので、別にこの面で青を弱体化させようというのではなく、モルフという環境に合わせて簡単に正体をばらせないようにしているだけ、と思いたいですね。


about Illustation

(たぶん)3代目Rebecca爺。
 ・・・・・・いや、ただ数えてみたかっただけでそれだけなんですが。

 正直、こういう時はお休みしたいということでご勘弁。


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