《繁殖力/Fecundity》
- about Rebecca Guay Illustrations 2003/10/16(Thu) 1
 illus
 Urza's Saga /350 Uncommon、8th /350 Uncommon
 Enchantment
 Casting Cost - 2G
 TEXT -
 いずれかのクリーチャーが場から墓地に置かれるたび、それのコントローラーはカードを1枚引いてもよい。


Preface

 高速の瞬殺コンボデッキを世に送り出すことになった悪名高きUrza'sSaga。
 暴力に近いデッキが次々に生まれてはまた消されていった時代にひっそりと生きていたのがこの《繁殖力/Fecundity》をキーカードとした「Chimera」もしくは「CrusterCycle」と呼ばれたデッキです。

 以下、基本は過去の事例を紹介することになると思いますが、8版で復活した現在、もしも「今後」があるのならば追記していくことにしましょう。


about Constructed

 1999-2000シーズンの世界選手権3日目。 「Chimera」と呼ばれたコンボデッキで、決勝の舞台を戦った兵がいました。
 その名はNicolas Labarre。現在も活躍しているフランスの強豪です。

 さっそくですがデッキを紹介しましょう。
(ちなみに1999-2000シーズンの世界選手権王者は、Jon Finkel。決勝はBob MaherとのTinkerミラーマッチ、という時代です)

[Chimera] - Nicolas Labarre - World 2000 8th
 8 《森/Forest》
 4 《低木林地/Brushland》
 3 《真鍮の都/City of Brass》
 2 《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》
 2 《スランの採石場/Thran Quarry》
 2 《高級市場/High Market》

 4 《極楽鳥/Birds of Paradise》
 4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
 4 《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
 1 《セラのアバター/Serra Avatar》
 4 《アカデミーの学長/Academy Rector》
 1 《押収/Confiscate》
 4 《繁殖力/Fecundity》
 1 《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》
 1 《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain》
 4 《菌獣の群落/Saproling Cluster》
 4 《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》
 1 《蛇かご/Snake Basket》
 1 《研磨石/Whetstone》
 1 《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》
 4 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》

 1 《魔力流出/Energy Flux》
 1 《日中の光/Light of Day》
 1 《絶対の法/Absolute Law》
 1 《崇拝/Worship》
 1 《パララクスの波/Parallax Wave》
 1 《浄化の印章/Seal of Cleansing》
 1 《オーラの破れ目/Aura Fracture》
 1 《弱者の石/Meekstone》
 1 《ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor》
 1 《防御の光網/Defense Grid》
 1 《レイモスの心臓/Heart of Ramos》
 3 《ハルマゲドン/Armageddon》
 1 《猛火/Blaze》

 このデッキは、《菌獣の群落/Saproling Cluster》《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》《繁殖力/Fecundity》のコンボでマナとドローを加速し、各種の勝ち筋にて仕留めるという動きになっています。
 具体的には。

 1 《菌獣の群落/Saproling Cluster》の能力(1マナ)で手札を1枚を捨て、胞子トークンを1個作成。
 2 トークンを《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》でサクり、無色2マナに変換。
 3 トークンが墓地に落ちることによって《繁殖力/Fecundity》の能力がトリガーして1枚ドロー。
 4 1に戻る。

 1〜4のサイクルによってマナプールに無色マナが1、増えます。デッキに入っている《セラのアバター/Serra Avatar》によって、このサイクル中にライブラリが切れることはないので、実質ライブラリを引ききった挙句に無限マナが出ることになりますね。
 後はデッキに入っている勝ちカードにて仕留める、だけ。

 勝ち筋その1。
《研磨石/Whetstone》
 マナさえあれば一気に相手のライブラリを空にできます。ついでに自分のライブラリもなくなりますが、どうせ相手の方が先にドローしますので気にしない気にしない。相手が《天才のひらめき/Stroke of Genius》を使ってきたら大人しく投了・・・・・・というか青い相手にはこんな方法は使いません。

 そんなときのために。

 勝ち筋その2。
《蛇かご/Snake Basket》
 膨大なマナで大量の蛇トークンをわらわらと出して攻撃。

 まあ《セラのアバター/Serra Avatar》を高速召還する、とか、奇跡的にエルフで殴り勝つ、とか、《押収/Confiscate》勝ち、とか考えられますけど、基本はこんなところでしょう。
 ・・・・・・あとサイドまで見渡せば、《レイモスの心臓/Heart of Ramos》+《猛火/Blaze》というオプションもあります。

 とまあ、これが「過去の栄光」なわけですが、「ローグデッキ」の一種に過ぎないのは事実です。
 主流になるということもなく、その他にこれといって活躍した形跡は見られませんが、マジックの歴史の中に確かに存在したデッキであることは間違いありません。

 さてさて、8版にて《繁殖力/Fecundity》は復活しました。
 とはいえ、往年のライトスタッフたちがいない以上、クリーチャーデッキにおけるサイドカード(《神の怒り/Wrath of God》でもカードアドバンテージだけは失わない)以上の位置づけを求めるのは酷かもしれませんね。

 今後、このカードを生かす何かが生まれてくることを期待しましょう。


about Limited

 この能力が自分だけに適用されるのであれば考慮してもいいのかもしれませんが、相手も一緒なのでとても使えません。
 構築が長かったのでリミテッドは短めに。


about Illustation

 8版のときは違和感ばかりだった新デザインもミラディンになってようやく慣れてきました。
 それでもこれまでのカードを混ぜてデッキを組んだりすると、まだまだ変な感じは否めませんね。
 個人的には、アーティファクトと白の区別が付きにくいという点以外は、特に問題を感じるほどのものではなかったです。
 マジックはマジックに変わりはありませんし、今回の改訂のせいかどうかはわかりませんが、減少傾向にあったマジックプレイヤーが少し戻ってきたりしているような気がしないでもないですし。

 ま、唯一気がかりなのは、今後この新レイアウトにてRebeccaのカードが発行されることがあるのかどうかなのですが・・・・・・。
 こればかりは如何ともし難いですね。


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