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第13章 醤油のうまみ






 第13章 醤油のうまみ

醤油のうまみ

醤油は、発酵・熟成の過程を経て完成する生きた食品であり、大豆と小麦を原料に微生物(こうじ菌、酵母、乳酸菌)の働きによってつくられた日本古来からの発酵調味料で、うまみ成分をたっぷりと含んでいます。
醤油の味は、大豆に含まれるタンパク質によるもので、香りは小麦に含まれる澱粉です。醤油は、塩辛み、うまみ、酸味、甘味が複雑に絡み合い、バランスの取れた複雑な味を醸し出します。
うまみの主成分はアミノ酸で、グルタミン酸、アスパラギン酸などからなります。さらに、糖分や酸味、わずかながらの苦味など、さまざまな味が寄り合って微妙に調和し特有の色・味・香りを形作っています。

食べ物の味は基本的に甘い、辛い、苦い、塩辛い、酸っぱいの5つで構成されているといわれています。ところが、美味しさのしくみには、この5つの味にもう一つうま味≠ニいう要素が欠かせません。醤油は基本の5つの味に加え、このうま味成分をたっぷり含んでいます。醤油には多くのアミノ酸が含まれ、コクを引きたてて、まろやかな味にします。これらが、醤油の味にしまりをつけ美味しさの秘密となっているのです。



味の基本

「うまみ」には、「うま味」と「旨味」の<ひらがな>と<漢字>の2つの表現がありますが、この2つはそれぞれ意味の異なる用語です。しかし、一般ではどちらも漢字とひらがなの違いにしか認識されないことも多く、よく混同されています。「うま味」は「甘味」や「苦味」などと同様、味の基本である5基本味のひとつで、「旨味」は食品の「おいしさ」を表します。

欧米人は四味、中国人は五味、日本人は七味と言われます。「甘い」「酸っぱい」「塩辛い」「ピリッと辛い」が四味。中国人は、これに「塩辛い」を足して五味。日本人はこれに「うまい」「渋い」を足して七味です。


基本的な味の種類 四味・五味・七味
味 覚 民 族 性 日 本 の 味
四味

欧米人
五味

中国人
七味

日本人
私たちが感じる基本的な味わいは、一般に四味の甘い(あまい)、(すっぱい)、(にがい)、(からい)の四つに分けられます。これに、(かん)(塩辛い=しょっぱい)を加えて五味となります。
日本人はこれに「渋い」、「うまい」を足して、七味となり繊細な日本人の味覚を表しています。これらの基本味が複雑に組み合わされて、甘辛い、甘酸っぱいなどのさまざまな味の変化を生み出します。

欧米には「うま味」という味覚を表す言葉がありません。日本人は昔から出汁や、味噌・醤油などの発酵食品がもつ「うま味」に親しんできた背景があります。
うま味とは英語も中国語にもなく、それは日本人らしい感覚的な言葉です。今日では「うま味」は基本となる味の一つとして、日本語の“UMAMI”という表現が国際的に通用する言葉として世界で使われています。
渋い
うま味

【日本の伝統調味料 = 発酵を利用した調味料 醤油

醤油は、古くから日本人に親しまれ、生活に深く密着してきた調味料です。そして、今は醤油をベースにダシを加えた麺つゆや柑橘系を加えたポン酢やドレッシングなど多く利用されています。

「醤」の本体は、発酵によってできる複雑なアミノ酸の複合体です。複雑な発酵を包括した言葉として「醸造」という概念があります。「醸造」という言葉は、日本では千年も前の「延喜式(えんぎしき)」に記録されている言葉ですが、これも英訳しようとすると該当する言葉がありません。「brewery(ブルワリー)」では、ビール醸造の意味しかありません。醤油をはじめ味噌、日本酒などを作ることを表す「醸造」は日本独自の言葉であり、日本特有の文化を表しているといえます。

欧米の味付けは、バターを使ったソースと塩、それからお酢などを使います。欧米では、五味の“塩辛い・酸っぱい・辛い” が中心ですが、それに加え日本には「うま味」があります。この「うま味」というのは、日本の調味料である醤油や酢、味噌、みりん、酒のことです。

■【脂肪にも“味覚” 京大グループが確認!】


「鮪のトロや旬のサンマなど、脂が乗った魚がおいしいのは、脂肪に対しても“味覚”があるから」食べ物のおいしさの謎に迫る、こんな研究結果を、京都大の伏木亨教授らの研究グループがまとめました。
5大基本味といわれる甘味、塩味、酸味、苦味、うま味については、味を感じて脳に伝える受容体が舌にあることが分かっていますが、脂肪の場合も同様の受容体が存在することを初めて確認したのです。グループは「脂肪は味そのものが実際にはよく分からないので、6番目の味覚とは呼びにくいが、脳に伝わる仕組みは5大味と同じ。5大味を引き立て、深みを与える効果があるのではないか」と指摘しました。



食べ物のおいしさと基本味

人は、五味といわれる「甘味、酸味、辛味、苦味、塩味」を感じ取ります。この五味の感覚が味覚です。「おいしさ」という言葉と「うま味」。両者はしばしば混同して使われますが、実は大きく異なっています。
「おいしさ」というのは、食べるときに味そのものだけでなく匂いや食感、その場の雰囲気や体調など、多くの要因に影響されて感じるもの。一方、「うま味」は、5つの基本味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)の一つで、独立した味を指す公式の呼び名です。「うま味」は、料理のおいしさを生む大切な役割を果たしています。

5つの基本味は、主に舌の表面にある細胞“味蕾(みらい)細胞”によって受け取られた刺激が、味覚神経によって脳に伝えられ生じる感覚です。ちなみに、辛味や渋味も味のうちではありますが、これらは熱や痛みを感じる神経によって伝えられるため、基本の味とは区別します。
おいしいものといえば、甘味、酸味、塩から味(塩味)などの五味のバランスがよく、かたい、やわらかい、などの物理性が適当であるもの、ということになります。





「うま味」の定義

うま味とは『改訂・調理用語辞典』によると、「うまみ(旨味)」(英:umami)甘・酸・鹹(塩)・苦の味を混合しても作りえない独立した基本味の一つです。



「うま味」の成分
うま味には“アミノ酸系”と“核酸系”があります。“アミノ酸”はタンパク質の構成成分です。“核酸”は細胞の核、デオキシリボ核酸(DNA)に代表される物質です。両者とも生命活動にとって大切な物質です。
うま味の成分の代表的なものには、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸があります。グルタミン酸はアミノ酸、イノシン酸とグアニル酸は核酸系の物質です。通常は「うま味」成分だけを味わうことはありません。
しかし、うま味を求める目的で “だし” をとります。西洋料理の「フォン」、中華料理の「湯」も同様の目的です。グルタミン酸にイノシン酸やグアニル酸を加えると、うま味が相乗的に増強されます。このほか数種類のうまみ成分が複雑にからみ合って、おいしさが生まれるのです。アミノ酸のひとつであるグルタミン酸の味「うま味」が、甘味、塩味、酸味、苦味と並ぶ基本味です。


うま味
  • うま味は、甘味、酸味、苦味、塩味のどれにも属さない独特な味です。
    食べ物のうま味は、昆布で代表される植物性のうま味「グルタミン酸」、煮干・鰹節のうま味「イノシン酸」、しいたけのうま味「グアニル酸」などに分けられます。この様な「うま味」成分は、同時に使用することで、うま味が増加(味の相乗効果)するといわれています。
  • グルタミン酸は、昆布のほかチーズやお茶、トマトやジャガイモ、豆類など、乳製品を除いて一般に植物性食品に多く含まれています。イノシン酸は、魚類や肉類など動物性食品に多く含まれています。グアニル酸は干ししいたけにほかマツタケやえのきだけなどきのこ類に多く含まれています。イノシン酸もグアニル酸もともに核酸の分解物ですが、グルタミン酸と混ぜると「うま味」が著しく増加し、それぞれのうま味の強さの和よりはるかに強い味がするので、この現象はうま味の相乗効果と呼ばれています。日本人研究者に加えて欧米研究者の研究の積み重ねで、「うま味」は基本味として国際的な認知が得られるようになりました。
  • 「うま味」に隠されている実体成分の「グルタミン酸」は、私たちの全身を成長させる酸で「成長酸」と呼びます。「アミノ酸」は、脳をはじめ細胞分裂を促す酸であり、知能を発達させる人間にとっては非常に重要な物質成分で「必須アミノ酸」といいます。


私たちの身体に含まれているグルタミン酸






しょうゆの味

醤油の独特のおいしさは、「うま味」「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」の5つの味のバランスによって作られています。それは、大豆と小麦に含まれる成分が醸造期間中にさまざまな味や香りの成分に生まれ変わり、それらがそれぞれ作用しあって誕生したものです。

醤油には五味(うま味・甘味・酸味・塩味・苦味)が揃っており、その複雑な組成から相乗現象、対比現象、相殺(抑制)現象、変調現象などの味覚の特殊現象が起こります。例えば、塩鮭に醤油を掛けると相殺現象により塩味が抑制されます。また、煮豆を作る際には醤油を入れると甘味が増すのですが、これは対比現象により甘味が強調されるからなのです。

醤油は基本の五つの味「甘い」「すっぱい」「辛い」「苦い」「塩からい」に加えて、「うま味」の成分をたっぷり含んでいます。醤油のうま味は、醸造によって生まれる数多くのアミノ酸が互いに働きあい、さらに他の成分とも溶け合って引き出される天然のうま味です。

うま味(アミノ酸) 醤油のうま味は、大豆と小麦に含まれるたんぱく質が、麹菌の酵素で分解され、約20種類のアミノ酸に変化して生まれます。中でもグルタミン酸は、うま味成分の中でも特に重要なアミノ酸の一種で、醤油の旨味の主役です。
酸味(乳酸菌) 醤油の酸味は、乳酸菌の働きによってブドウ糖が変化して生まれます。こうして造られた有機酸類(乳酸、酢酸、クエン酸)は、塩味をやわらげ、味をひきしめる働きをしています。乳酸の三分の一くらいの酢酸が醤油には入っています。乳酸による酸味は、酢と同じように塩味をまるく感じさせます。
甘味 醤油の甘味は、小麦のでんぷんが醸造中に麹菌が働いてブドウ糖に変化して生まれます。このブドウ糖は砂糖の半分の甘みがあります。全体の味をやわらかくし、丸みをもたせる働きがあります。口に含むと、舌の先にこの甘味をほんのり感じます。
アルコールの味 醤油の醸造過程で生まれる天然の糖質である糖アルコール(グリセリン)は、材料の味にまるみを持たせます。
塩味 醤油の塩分は、こいくちしょうゆで16〜17%。海水の約5〜6倍にもあたります。それほど塩辛く感じないのは、アミノ酸や乳酸などの成分が塩味をやわらげ、深みのある味わいを作りだしているからです。
苦味 大豆の蛋白質を麹菌の酵素が分解すると、最終的にはアミノ酸になります。分解の途中でペプチドというアミノ酸が二つ以上数十個くらいまでくっついたものができます。その中に苦味を呈するものがあります。このように、苦味成分も醤油の中には数種類含まれています。苦味を直接感じることはありませんが、「コク」を与えるかくし味的存在として、醤油の味をすっきりとひきしめています。




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