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勤め先破綻で退職金・年金どうなる?

 

勤め先の経営破たんや営業譲渡・会社分割・・・。

企業再編が本格化する中、サラリーマンならいつ直面するか分からない。

こんな時、

退職金年金社内預金はどうなるのか。

制度や実例を検証してみた。

再建型・清算で明暗、

会社更生法の適用を昨年申請した

新潟鉄工所は、

昨年春にいったん、退職金を8割カットして支給した。

更生計画案による.と、すべての財産を清算した後、残額は退職金に上乗せする方針だ。

退職金は企業間取引などの一般憤権よりは優先して返済されるのが原則だ。

実際は、破たん処理の方法や企業の財務の傷み具合で受け取れる金額は異なる。

会杜更生法の規定では退職金の三分の一は最優先で支払われる。

残りも一般債権よりは優先される。

ただ、

新潟鉄工所のように更生手続きで支給額がカツトされるケースが出ている。

金融機関の会社更生法である更生特例法を申請した

千代田生命保険(AIGスター1生命保険)も、

破たん直前の2000年9月末に退杜した約191人の退職金は約25%減。

対象者の一人で、更生計画は違法と東京高裁に抗告、その後

取り下げた山口章さんは「退職者が、

退職金減額に対抗手段を持たないことを訴えたかった」と振り返る。

破たん時の経営陣が続投して再建を目指す民事再生法の場合は、

会杜が個々の社員の金額を確認できれば原則、退職金をもらえる

退職金が全額支払われる可能性が比較的高い再建型の破たん処理に比べ、

企業の清算を前提にした破産法の揚合は厳しい。

企業は税金の滞納分を支払わない限り、退職金を支給できない。

「破たんする企業は税を滞納している場合が多く、

退職金が全額支払われる可能性は低くなる(佐々木公明弁護士)

裁判所が関与しない任意整理でも、退職金の確保は難しい。

勤め先が「中小企業退職金共済」「特定退職金共済」など

退職金準備制度に加入していれば、

従業員は直接、退職金を受け取れる。

賃金や退職金をもらえないまま退職したサラリーマンには、

国が一部を立て替え払いする制度がある。

破産法や会杜更生法だけなく、労働基準監督署長が倒産と認めた任意整理も含む。

破たんの6カ月前から、破たん後1年半の間に退職した人が対象だ。

労働基準監督署が窓口になる。

中小企業は、経営陣が会社の資料を持ち出して破たんする例もある。

未払いを証明するためにも「日ごろから給与明細を保管することは重要だ」

(社会保険労務士の北村庄吾さん)

会杜分割の場合、労働条件は新しくスポンサーとなる会杜でも引き継がれるのが原則。

「退職金も、前の会杜に勤めているのと同様と考えてよい」(下野健弁護士)

新会杜に移行後、労使間の協議を経て制度が変わる可能性はある。

勤め先が他社に営業譲渡されると、

新しい会杜が従業員一人一人を個別に雇うことになる。

勤続年数や退職金の算定基準など前の会杜の制度をそのまま引き継ぐ揚合もあれば、

退職金をいったん清算して新しい制度に移る場合もある。

 

年金上乗せ分

2007年四月末に解散した雪印食品

三千数百人が加入していた厚生年金基金も三月末に解散し、

年金受取額は平均で約3割減った。

今夏をメドに残った財産を分配する際、カット分をどれだけ圧縮できるかが焦点だ。

リストラの一環で厚年基金を解散するケースも目立つで2007度末はすでに32基金が解散し、過去最高の2001年度(59基金)に迫っている。

厚年基金は国の厚生年金の一部(代行部分)と、企業が独自に上乗せする年金を合わせて運用している。

基金が解散しても代行部分は受け取れるが、間題は上乗せ分だ。

解散する基金は「積み立てが不足している場合がほとんど」(厚生年金基金連台会)で、

上乗せ分カットの可能性は大きい。

その会社のOBの年金受給者も、上乗せ分が支給停止となることがある。

今年九月に厚年基金を解散した河合楽器製作所は、

加入者の年金受取額が最大9%程度カット。JUKIも受取額が約8%減る。

倒産や企業の経営悪化などで基金が解散した場合、

減額分を一定範囲まで穴埋めする連合会の支払い保証事業による救済の道もある。

雪印食晶も申請を検討中。解散時の分配金を年金で受け取る人が対象だ。

税制適格年金を採用している企業の場合も、

廃止するときは積立金が不足しているケースが大半だ。

従業員の受取額は当初見込みを割り込む可能性がある。,

公的年金を受給するには25年以上加入する必要がある。

再就職まで時間があく人は、個人で国民年金に加入することが大切だ。

給与から天引きされる社内預金財形貯蓄

勤め先から住宅ローンを借りている場合はどうなるか。

社内預金について、企業は保全の義務があるものの、

その企業が破たんすると処理方法によっては全額が戻らないことがある。.

会社更生法なら優先的な扱いとなっており、いつでも払い戻しが可能。

民事再生法は再生計画で支払いが決まるが、大幅カットが多い。

破産法は全額戻らない公算が大きく、任意整理はゼロに近い場合が多い。

勤め先から融資を受けていた場合では、山一証券が1997年に自主廃業を決めた後、

ローンの一括返済を杜員に提案。

だが、猛反発で徹回された。

管財人が再建や清算に必要と判断して前倒しを提案することはあっても

「勤め先が破たんしたことで、

法律上は返済前倒しが求められることはない」(佐々木弁護士)

勤め先が提携する金融機関から融資を受けている人は、

勤め先が破たんしてもローンの返済期間は原則、従来通りだ。

ただ、会社による利子補給や優遇金利などは受けられなくなる。

財形貯蓄は「勤労者と金融機関の間の契約で、

勤務先は天引き機関との位置づけ」(厚生労働省勤労者生活部)だ。

財形貯蓄をしていた人の勤め先が破たんしても預け入れたお金は

金融機関にあるため安全だ。

ただ、新しい会杜で一年以内に他の財形貯蓄に預廿替えなければ、

その後の利子は課税される。

会杜分割や営業譲渡で、提携金融機関が同じであれば継続でき、

金融機関が異なれば預け替えで続けられる。