掲載内容一覧_1 ”健康うんちくメモ” (2016年~2020年)
健康に関するうんちくメモを毎月定期的に掲載しています
[ 2020年 ]
□ 2020年3月 → ”心身の養生”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下65項を抜粋して記載しています。~
養生の術は、先ず心法を良く慎んで守らなければ為されないものだ。
心を静かにして落ちつけ、怒りを抑えて欲を少なくし、いつも楽しんで心配をしない。
これが、養生の術であって心を守る道である。心法を守らなければ養生の術は叶わない。
それゆえに、心を養い身体を養うことは別々ではなく、一つの術である。
□ 2020年2月 → ”同じ状態を続けない”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下57項を抜粋して記載しています。~
長く歩き続ける、長く坐り続ける、長く立ち続ける、長く横になる、長く語り続けるといった
動作は好ましくない。これは、長時間同じ状態を続けることで気が減るからである。
また、長い間遊び暮らすと気が塞がって循環しない。
気が減ることと塞がることは、ともに身体の害になる。
□ 2020年1月 → ”丹田に気を集める”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下48項を抜粋して記載しています~
臍の下三寸を丹田という。
腎間の動気(生気の原、十二経の根本、或いは、営気/衛気/宗気/元気と解釈される)と
いわれるものはここにある。
ここには生命の根本が集合している。気を養う術は常に腰を据えて気を丹田に集め、呼吸を
静かに荒々しくせず、事にあたるときは胸中から気を吐き出して、胸中に気を集めずに丹田
に気を集めなければならない。こうすれば、気は上らず、胸は騒がずに身体に力が養われる。
身分の高い人にものを言う時も、大異変に臨んで慌しい時でも、このようにするが良い。
やむなく人と論争する時でも、そうすれば、怒り過ぎて気を損なったり、気を浮つかせること
もなく間違いは生じない。
芸術家が芸術に励み、武人が武術に励んで敵と戦う時にも、この心掛けを主とすべきである。
これは事に励み気を養うための良い方法である。
とにかく、技術を行う者、特に武士はこの方法を知らなくてはならない。
道士が気を養い、僧が座禅するのも、気を臍の下に集中する方法である。
これは、心を落ち着かせる工夫であり、秘訣である。
[ 2019年 ]
□ 2019年12月 → ”客としての心得”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下46項を抜粋して記載しています~
客として昼間から他所に行ったならば、夕暮れにならぬうちに帰るが良い。
夜まで語り続けると主人も客も疲労する。長居をしてはいけない。
□ 2019年11月 → ”心をゆったりして無駄口をきかない”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下43項を抜粋して記載しています~
心はたえずゆったりとして静かで、せかせかしないで平穏にあるが良い。
言葉はとくに穏やかに口数を少なくし、無駄なことを言ってはいけない。
これは、気を養う最上の方法である。
□ 2019年10月 → ”酒はほろ酔い、花は半開”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下40項を抜粋して記載しています~
万事が十分に満たされて、その上に何も付け加えることが出来なくなった状態は、心配の始まり
と思って良い。
古人曰く「酒はほろ酔いに飲み、花は半開に見る」のが良いという。この言葉はもっともである。
酒を飲み過ぎると楽しみを破られる。飲んで少々物足らない方が楽しみもあって心配もない。
花が満開になると、盛りが過ぎて花心がなく、まもなく散ってしまう。
花の半開のときが盛りである、と古人はいう。
□ 2019年9月 → ”完全無欠を追い求めない”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下36項を抜粋して記載しています~
すべてのことに完全無欠であろうとすると、自分の心の負担となって楽しめない。
様々な不幸もこうした考えから起こる。また、他人が自分にとって十分に仕えてくれることを
求めると、他人の足らないことを怒り咎めるので、心の患いになる。
そのほか日常の飲食、衣服、器物、住まい、草木なども美しく非のないものを好んではいけない。
多少でも気にいったもので良い。完全無欠に良いものを好んではいけない。
これらは皆、気を養う工夫である。
□ 2019年8月 → ”治療法選択の是非”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下29項を抜粋して記載しています~
病気に罹った場合に、慌てて医者を選んだり、やたらに医者を求めたり、薬を用いたり、
頻繁に鍼灸をすることは害になることが多い。導引(道家で行う治療法)や按摩も同じである。
自分の病気に適した治療であるか否かを考えずにむやみに治療を求めてはいけない。
温泉療法もまた同じことである。病気に適応しているかどうかを選ばないで、めったやたらに
湯治するとかえって病気を悪くして死んでしまうことにもなる。
薬治、鍼、灸、導引、按摩、湯治療法の六つは、病気と治療とが良く合致しているかどうかを
良く選択して実行しなければならない。
その適不適を知らないで行うと悪い結果になることが多い。
これは、病気を良くしようとあせって、かえって悪くすることになる。
□ 2019年7月 → ”元気の害”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下25項を抜粋して記載しています~
人に対して、喜びや楽しみを強くあらわすと、気を無駄遣いして気が減ってしまう。
といって、孤独になって憂いや悲しみが多くなると、気が流れないで塞がってしまう。
減ることも塞がることも、ともに元気の害である。
□ 2019年6月 → ”胃の気”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下23項を抜粋して記載しています~
胃の気というのは元気の別名である。
病気が重くても胃の気のある人は生きる。が、胃の気のないものは死ぬ。
胃の気の脈は、長くも短くも遅くも早くもなく、また大きくも小さくもなく、年齢に応じて
ほどよく調和したものである。この脈は何とも表現し難く、自分で理解するしかない。
元気の衰えない無病の人の脈はこうした脈である。これは古人の説である。
養生をする人は、たえずこのような脈であることを願わなければならない。
養生をすることなく気の減った人には、こうした脈が少ない。これは病人といってもよい。
病脈ばかりあって、胃の気の脈がない人は死ぬ。
また、目に生気のある人は長命である。目に生気のない人は短命である。
病人を診察するときは、これらのことを知って対処すべきである。
□ 2019年5月 → ”忍は身の宝なり”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下22項を抜粋して記載しています~
何事でも忍べば災いがなく、忍ばないと不幸になる。
忍ぶというのは堪えること、自制することである。怒りと欲とを制しなければならない。
養生の道は怒りと欲とを堪えることである。忍の一字を守ることである。
忍の一字は身を養うと共に徳を養う大切な道である。
□ 2019年4月 → ”心を平静にして徳と身体を養う”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下19項を抜粋して記載しています~
心を平静にし、気をなごやかにし、言葉を少なくして静を保つことは、徳を養い、身体を
養うことに繋がる。
口数が多くお喋りであること、心が動揺し気が荒くなることは、徳を損ない、身体を損なう
ことになる。
□ 2019年3月 → ”道を楽しむこと、長生きすること”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下18項を抜粋して記載しています~
貧賤である人でも道にしたがい楽しんで過ごすならば、大きな幸福であろう。
そうして暮らすならば、一日を過ごす時間も長く感じられて楽しみも多いであろう。
まして、一年の間は四季折々の楽しみがあり、一日一日に限りない変化があるものだから、
一層長く興味深く過ごすことができよう。
こうして、年を多く重ねていけば、その楽しみは長くして、しかも長命になることは間違い
ないことであろう。
「論語」に「知者の楽しみ、仁者の寿(いのちなが)し」という言葉がある。
(注:知者は変化に適切に対処していくことを楽しみとし、仁者はすべてに安んじてあくせく
しないので長生きする。)
毎日を楽しみながら長生きすることは、この境地に近づくものと言えるであろう。
□ 2019年2月 → ”飲食と睡眠”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下17項を抜粋して記載しています~
飲食は身体を養い、睡眠は気力を養う。飲食は節制しつつも、あまりに制限すると脾胃を悪くする。
睡眠が大事といっても、いたずらに横になって寝るのは、元気を損なう。
しっかり養生をする人は、朝早く起き夜半に寝て、昼寝をしないで、たえず仕事に務めて怠けず、
睡眠を少なくして清らかにし、飲食を少なくして腹の中をきれいにするよう心掛けている。
このようにすれば、元気が良く、循環も良くして病気に罹らない。
成長する気が益々養われて血気はおのずから旺盛になって病気にならない。
飲食と睡眠がほどよくコントロールされることが、養生の要道である。
□ 2019年1月 → ”最初の自制が肝心”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下15項を抜粋して記載しています~
飲食や色欲を欲しいままにすると、はじめの少しの間は心地良くても、あとで必ず身体を損ない、
長く禍のもとになる。
あとで心痛のないことを願うならば、はじめに心に快いことを好んではならない。
万事はじめに快くすることは、間違いなくあとの禍となる。最初に努力して自制すると、必ず
あとの楽しみとなる。
[ 2018年 ]
□ 2018年12月 → ”予防の大切さ”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下11項を抜粋して記載しています~
易経に「患いを思い、予て之を防ぐ」という。この意味は、このままでは生じるかも知れない
患いを案じ、それが生じないように事前に予防せよ、ということである。
論語にも「人遠き慮りなければ、必ず近きうれいあり」とある。
これらの教えは、未来を見据え慎重に行動して、無事に乗り越えよという意である。
□ 2018年11月 → ”短命と長命”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下10項を抜粋して記載しています~
一時的な欲望をコントロールできないで、病気になり、百年も生きられる身体を壊すのは
馬鹿げたことだ。愚かというほかない。
欲のおもむくままに行動することは短命のもとである。
長生きを保っていつまでも安泰でありたいと思うなら、欲のおもむくままに行動してはならない。
欲のおもむくままに行動するか、それを抑えるかは短命と長命の分かれ道になるのである。
□ 2018年10月 → ”心は楽しく身体は動かすことが良い”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下9項を抜粋して記載しています~
人は心を楽しませて苦しめないことが最も良い。けれども、身体は大いに動かし労働すること
が良く、休養し過ぎてはいけない。
自分の身体を過保護にしてはいけない。美味しいものを食べ過ぎ、美酒を飲み過ぎ、色を好み、
身体をいたわり過ぎて、怠けて横になることばかり好むのは、すべて自分の身体をかわいがり
過ぎることであって、かえって身体の害になる。
□ 2018年9月 → ”養生の基本は働くこと”
~貝原益軒「養生訓」巻第二_総論下3項を抜粋して記載しています~
中国後漢末期の名医“華佗”曰く、「人の身は労働すべし。労働すれば穀気きえて血脈流通す」。
人の身体は、適度に運動をし、手足を働かせ、良く歩いて長い間同じ所に坐っていないように
すれば、血気が良く巡って滞る心配はない。これも養生の大切な努めである。
中国戦国時代末期の戦国諸家を集約した編纂書「呂氏春秋」に、「流水腐らず、戸枢蝕まざるは、
動けばなり、形気もまた然り」と記述されている。
すなわち、流水は腐らないが、溜水は腐る。開き戸を開閉する軸は虫が食わない。
この二つのものは、絶えず動いているからである。人の身体も同じ理であろう。との意味である。
同じ場所に長く坐して動かなければ、飲食の消化が悪く、気血が全身に巡らないので病気になる。
食後すぐに横になることと昼寝とはもっともいけない。
夜でも飲食の消化しないうちに早く寝ると、気がふさがって病になる。
養生の基本は、こうした事を避けて身体を働かすことである。
□ 2018年8月 → ”予防と養生”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上36項を抜粋して記載しています~
「聖人は未病を治す」とは、病気にかかるまえに、予防的に注意して病気にかかりにくくする、
ということである。
飲食や色欲などの内欲や風・寒・暑・湿などの外邪を慎まないために大病になると、思いのほか
大きな悲しみと長い苦しみに苛まされる。
病気になると、食べたいものを食べず、飲みたいものも飲めず、身を苦しめ、心を傷つける。
予防的に養生をすれば病気にならず、目に見えない大きな幸せを得ることができる。
孫子は「良く兵を用いる者は赫々の功無し」という。
その意味は、上手に兵を動かす士官は、一見してわかる手柄がないということである。
それは、戦いの起こる前に戦わないで勝つことができるからである。
また「古の善く勝つは、勝ち易きに勝つなり」ともいう。
養生の道もまたこのようにしなければならない。
□ 2018年7月 → ”心と主体性”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上34項を抜粋して記載しています~
養生を志す人は、心に常々主体性をもっていなければならない。
主体性があると、思慮分別して是か非かを判断することができ、怒りを抑え、欲を我慢して
間違いが少ない。
しかし、主体性に欠けると思慮浅く、怒りや欲を堪えることができないで、間違いが多くなる。
□ 2018年6月 → ”養生と口数”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上29項を抜粋して記載しています~
言葉を慎み、無用の言葉を省いて、口数を少なくすることがよい。
口数が多くなると、必ず気が動揺して大いに元気を害してしまう。
言葉を慎むことも、徳を養い身体を養うことに繋がっていく。
□ 2018年5月 → ”睡眠と養生”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上28項を抜粋して記載しています~
昔の人は三欲を我慢せよ、と言っている。三欲とは、飲食の欲、好色の欲、睡眠の欲である。
飲食を節制し、色欲を慎み、睡眠を少なくすることは、みな欲を我慢することであるが、
睡眠の欲をこらえて眠りを少なくすることが養生の道である、とは意外と知られていない。
睡眠を少なくすれば元気がよく循環して病気に罹らなくなる。
睡眠が多いと元気が停滞して病気になる。夜更けて床につくのは良いが、昼寝や日暮れて間もなく
寝ると飲食したものが消化しきれないので害になる。
怠けて寝ることを好む癖がつくと、睡眠が多くなってこらえられなくなる。
常々睡眠を少なくしようと努めれば、習慣になって自然に睡眠が少なくなる。
日頃から少なく眠る習慣をつけることが大切である。
□ 2018年4月 → ”臨機応変”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上27項を抜粋して記載しています~
君子は義を重んずる。それゆえに義にあたっては自分の身命をかえりみない。
養生を好む人は、利己的に自分の身を大事にするばかりで、命をたもつことばかりを思う。
それでは、大節において命を惜しんで、義を見失うのではなかろうか、という疑問があるかも
知れない。それに対して以下答えよう。
およそ事には、“常”と“変”がある。臨機応変、その時において義に従えばよい。
平常の事無きときは、身を大切にして命をたもつのは、“常”に応ずる道である。
大節において命を捨てて顧みないのは、“変”における義の行為である。
君子の道は時宜にかない、事変に対応することがよい。
常のときに身を養って頑健にしておかないと、大事に臨んで命を捨てて強く戦うことはできない。
だから、常のときに良く気を養っておれば、変にあたって勇気を出すことができるのである。
□ 2018年3月 → ”人生の三楽”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上22項を抜粋して記載しています~
およそ人間には三つの楽しみがある。
一つは、道を行い心得違いをせず、善を楽しむこと。
二つは、健康で気持ちよく楽しむこと。
三つは、長生きして長く久しく楽しむこと。
いくら富貴であっても、この三つの楽しみがなければ真の楽しみは得られない。
善を楽しまず、養生の道を知らず、身に病いが多く、短命となる人は、この三楽を得られない。
人として生まれたからには、この三楽を取得する工夫がなくてはならない。
この三楽がなければ、どのように富貴であっても楽しめないのである。
□ 2018年2月 → ”内敵には勇、外敵には畏れ”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上20項を抜粋して記載しています~
人間の身体は弱く脆く、空しく、心細いものであり、慎んで身を保つべきである。
まして内外から身を攻める敵が多いのだから、まことに危険である。
飲食の欲、好色の欲、睡眠の欲、あるいは怒り、悲しみ、憂いという敵が攻めてくる。
これらの敵はすべて身内から生じて身を攻める欲だから内敵である。
なかでも飲食・好色は内欲から外敵を引き入れてくる、もっとも恐るべきものである。
内敵に勝つには、心を強くして忍耐することであり、強い精神力なくしては内欲に勝てない。
さながら猛将が敵をおしつぶすように勇ましく強く勝つことが良い。
一方、風・寒・暑・湿は、身の外から入りこんでわれわれを攻めるものであり、外敵である。
外敵に勝つには、それを畏れて早く防ぐことであり、この時ばかりは忍耐しないことが得である。
畏れて早く退くことが良く、勇敢である必要はない。
□ 2018年1月 → ”人間の寿命と養生の大切さ”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上18&19項を抜粋して記載しています~
人間の寿命は百歳をもって上限とし、上寿は百歳、中寿は八十歳、下寿は六十歳である。
世間の人は、五十歳未満の短命の人が多い。十人のうち九人までは自らの不養生で体を害している。
五十歳にならないで早世することは、人生の道理も本当の楽しみも知らずに不幸なことである。
長生きすれば、楽しみ多くそれだけ益も多い。それゆえに養生の術を実践して六十歳以上の寿の域に
到達すべきである。
(注:江戸時代の平均寿命は、30~40歳といわれています。乳幼児の死亡率が高かったため
に計算上導き出されたものですが、それでも、50歳未満で亡くなる方が多かったようです。
その中で、貝原益軒(1630~1714)は、85歳まで生きた長生きの人でした。
また、人間の最大寿命を百歳と述べていますが、現代においては、分子生物学の研究から
120~125歳が有力説になっています。)
[ 2017年 ]
□ 2017年12月 → ”養生の術”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上9項を抜粋して記載しています~
心をおだやかに怒りや欲を抑制し、心配事を少なくし、気を痛めないことが大切であり、
養生の基本である。
長く眠ることは気の流れを悪くする。酒はほろ酔い程度が良い。食事は腹八分目が良い。
若い時は色欲を慎み、精気を無駄使いしてはいけない。
また、風・寒・暑・湿の外邪をおそれ防いで、起居振舞に節度をもつこと。
食後には適度な運動や手足を良く動かすなどで気血の流れを良くして消化を助けることが大事。
病気になってから薬を使い、鍼灸をもって病を攻めるなどは養生の末である。
養生の根本は、発病する前に予防することである。
□ 2017年11月 → ”内欲と外邪”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上4項を抜粋して記載しています~
養生の基本は、我が身をそこなう内欲と外邪を除去することである。
内欲とは、飲食・好色・睡眠・多弁の四欲と喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情をいう。
外邪とは、天の四気-風・寒・暑・湿をいう。
内欲をこらえて少なくし、外邪を恐れて防ぐことにより、元気をそこなわず、健康で天寿を
全うすることができる。
□ 2017年10月 → ”命の尊さ”
~貝原益軒「養生訓」巻第一_総論上1項を抜粋して記載しています~
自らの身体は、父母の恵みを受けて生れ育ったものであるが、もともとは天地を初めとした
生命の繋がりから生じており、けっして自分一人のものではない。
天地の賜物であり、父母の残してくれた身体であるから、慎んで大切にして天寿を保つように
心掛けなければならない。
飲食・色欲を思いのままにし、元気を損ない病となり、天命を縮めて早世することは天地・父母
への最大の不幸である。長寿にして悦び楽しむことは、誰もが願望するところである。
そのためには、養生の方法を心得て健康をたもつことが人生で最も大事なことである。
欲にふけり身を滅ぼし命を失うことは愚かである。日々の生活を慎み、私欲の危険性を恐れ、
細心の注意をはらって生活すれば、長生きも出来て、災難も免れることが出来る。
道にしたがって身体をたもって、長生きするほど大いなる幸せはない。
注)<参考文献> →「養生訓」貝原益軒著/伊藤友信訳 講談社学術文庫 (以降、記載省略)
□ 2017年9月 → ”体を守る細胞”
生体防御に関わる免疫担当細胞である白血球は、我々の大切な体を守るために体内で活躍する
“正義の味方”であり、”小さなスーパーマン達”です。
白血球は次のように分類されます。
①単球(マクロファージ、樹状細胞)
②顆粒球(好塩基球、好酸球、好中球)
③リンパ球(レギュラトリーT細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、NK細胞、B細胞、
プラズマ細胞、記憶細胞)
ちなみに、NK細胞は、がん細胞を破壊することで知られ、B細胞は、病原体に対抗する「抗体」
を作る細胞として知られています。
□ 2017年8月 → ”正常脳波”
脳波の中のθ(シータ)波やα(アルファ)波を出現させる機会を増やすことは大切です。
状況次第では、γ(ガンマー)波を出現させることも。
これにより、心身を活性化すること、或いは、潜在能力を発掘することにも繋がります。
そのためには、日常生活の中で、ときに”気分転換を図る”、或いは、”集中する”ことが
不可欠です。
参考まで、正常脳波は次のように分類されます。
①δ(デルタ)波 :0.5~4 Hz
深い眠りの無意識の状態。体をメンテナンスする。
②θ(シータ)波 : 4 ~7 Hz
淡い瞑想状態、まどろみの状態。ヒーリング効果が高く、ひらめき、洞察力を活性化する。
③α(アルファ)波: 8~13 Hz
心身ともにリラックスした状態。頭の回転が良くなり、集中力、記憶力をアップする。
④β(ベータ)波 :13~30 Hz
日常生活で様々な行動をしている状態。緊張、不安、イライラしている状態。
⑤γ(ガンマー)波:30~80 Hz
未知の脳波。脳がハイスピードで動く状態。予知や超能力を発揮する際に出るともいわれる。
□ 2017年7月 → ”心身一如(しんしんいちにょ)”
高校~大学の7年間、弓道部に籍を置いてクラブ活動に励みましたが、この“心身一如”は、
高校の道場に掲げられた大きな額に書かれていたもので、印象深い言葉です。
この言葉は、「肉体と精神は一体のもので分けることが出来ず、一つのものの両面である」
という東洋の宗教思想や「心と身体はお互いに強く影響しあう」という東洋医学の考えが
ベースになっています。
疲労、睡眠不足などのストレスは、免疫機能を低下させて、身体の健康状態に影響を与える
だけでなく、身体のメカニズムを乱すことで、精神の健康状態にも影響を及ぼしてきます。
また、心労や抑うつ状態が続くと、自己免疫疾患やがんの発生率が高まるといわれています。
「病は気から」は、昔から良く聞かれる言葉ですが、本質の一端を捉えた不変の真理です。
□ 2017年6月 → ”腸内細菌”
人間の体には、膨大な数の細菌が住みついています。100兆個あるいは500~1000兆個
とも(注:諸説あり)いわれています。特に腸内その中でも大腸に多く存在しています。
腸内細菌は、宿主である人間の健康に欠かせない存在であり、共存共栄の関係にあります。
種類も多く、善玉菌(有用菌)、悪玉菌(腐敗菌)、日和見菌に分類されますが、これらの菌の
バランスが代謝や免疫といった体の機能に大きな影響を与えることになります。
①善玉菌 →悪玉菌の侵入や増殖を抑えたり、腸の運動を促したり、人体に有用な働きをする。
ex.ビフィズス菌、乳酸菌etc
②悪玉菌 →腸内の中を腐らせたり、有害物質を作るといった人体にマイナスに作用する。
ex.ウェルシュ菌、ブドウ球菌etc
③日和見菌→通常は善玉でも悪玉でもない存在で、体調が崩れたときに悪玉菌として働く。
ex.大腸菌、バクテロイデスetc.
善玉菌:2、悪玉菌:1、日和見菌:7のバランスが、理想といわれています。
□ 2017年5月 → ”好転反応”
漢方では、“瞑眩(めんげん)反応”とも呼ばれています。
好転反応は、一時的に悪化したような状況になりますが、「好ましい方へ転ずる」という意味の身体反応であり、
これを境に急速に好転(改善)していきます。その出方は、人によって様々です。
<弛緩反応&過敏反応>
新しい刺激に対する身体反応で、順応するまでの一時的な現象。
だるい、眠い、便秘、下痢、発汗、腫れなど。
<解毒反応>
細胞が活性化されることによる老廃物や不純物の排泄反応。
湿疹、吹き出物、かゆみ、げっぷ、大量の便など。
<回復反応>
血行が改善され、鬱血していた血液が一時的に体内を巡り始める時、或は、新陳代謝が促進されて、
正常機能の細胞に生まれ変わり時に起こる生体反応。
胃痛、頭痛、発熱、動悸など。
□ 2017年4月 → ”レム睡眠とノンレム睡眠”
レム睡眠とは、“Rapid Eye Movements”の頭文字から名付けられたものです。
「カラダの眠り」と言われ、浅い眠りで身体は休息状態なのに、脳が活発に動いている状態です。
ノンレム睡眠は、深い眠りで脳も身体も休んでいる状態です。特に大脳の発達した高等生物で多く現れる
現象であり、昼間に酷使した大脳を休息させる役割をもっています。
この2種類の睡眠状態が、一晩に約90分周期で繰り返されています。
□ 2017年3月 → ”脳内ホルモン”
環境の変化に対応して、体の状態を一定に保とうとする働きを恒常性(=ホメオスタシス)といい、
神経やホルモンによって行われています。
脳内ホルモンは、神経伝達物質と呼ばれており、生命維持&健康維持する上で重要な働きをしています。
これらが、正常にバランス良く分泌されることにより、心身の良好な状態を作り出しています。
<代表例>
・ドーパミン→ “脳内の覚醒剤”
快感や多幸感を得る。意欲やモチベーションを高める。
過剰の場合、依存症状に陥りやすくなり、不足の場合、パーキンソン病になりやすい。
・セロトニン→ “幸せホルモン”
ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑え、心身の安定や心の安らぎに関与する。
不足すると、精神のバランスが崩れ、うつ病を発症したり、暴力的になったりする。
・ノルアドレナリン→ “怒りの脳内物質”
怒りやイライラ、やる気などの情動や感情に強い影響を与える。
・βエンドルフィン→ “脳内モルヒネ”
鎮痛効果が高い。幸福感をもたらし、脳を活性化する。
・メラトニン→ “睡眠ホルモン”
覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘う作用がある。
抗酸化作用により、細胞の新陳代謝を促す。
・コルチゾル→ “ストレスホルモン”
ストレスと低血糖に反応し、代謝や免疫システムに関与し、生命維持に不可欠なもの。
炎症を抑制する作用がある。
・アセチルコリン→ 副交感神経に関与し、血管拡張、心拍数低下、消化機能亢進などの作用をもつ。
記憶や学習、睡眠や覚醒に深く関係している。
□ 2017年2月 → ”一病息災”
若い頃から病気一つせず、健康であった人が、自らを過信するあまり無理を重ねて、気づいた時には、
重い病気に罹って、最悪手遅れというケースがあるのに対して、一つぐらい持病のある人のほうが、
常に健康に気を配り、無理をしなくなるので、かえって長生きするということ。
整体の仕事で全般に感じていることですが、女性のほうが日頃の健康に気を配る傾向があるのに対して、
男性は日頃の健康管理に無頓着であり、かなり症状が悪くなってから慌て出す傾向にあるようです。
大切な健康を手に得るために、時折、自らの生活を振り返えってみてはいかがでしょう。
□ 2017年1月 → ”QOL(Quality of Life)&健康寿命”
日本人の平均寿命は、男女共に80歳を超えましたが、長生きすることだけが重要なことではなく、
いつまでも元気で身の周りのことを他人の世話にならず、快適にすごせることではないでしょうか。
QOLは、人間らしく、満足して生活しているかを評価する概念であり、「生活の質」と訳されます。
また、QOL以外にも”健康寿命”という言葉が、平均寿命と異なる意味合いから良く使われています。
出来る限り、心身ともに健康な状態を維持して、楽しく明るい人生を送りたいものです。
[ 2016年 ]
□ 2016年12月 → ”世界三大伝統医学”
「中国医学」、「アーユルヴェーダ」、「ユナ二医学」が、世界三大伝統医学と呼ばれています。
①中国医学(中医学ともいう)→ 中国を中心とする東アジアで発展した伝統医学。
東洋医学とは、狭義の解釈では中国医学を指していることが多い。
人間が本来持つ自然治癒力を高めて、治癒に導くことを特徴としている。
②アーユルヴェーダ(インド古典医学)→ 北インドを中心に発展した伝統医学。
チベットや東南アジアの医学に影響を与えている。「生命の科学」「生命の知識」といわれ、
身体の養生法や治療法、膨大な量の薬草学を特徴としている。
③ユナ二医学→ ギリシャ医学を起源とし、アラビア文化圏・イスラム勢力圏で発展した伝統医学。
自然治癒力と病気の予防を重視し、生活習慣や環境に着目して、治癒に導くことを特徴としている。
□ 2016年11月 → ”気と経絡”
中国哲学において、“気”は生命エネルギーであり、全宇宙に広がって、あらゆる生命に活力を与える
重要な存在であると考えられています。また、中医学では、体内における気の通り道を“経絡”と呼び、
気がバランス良く円滑に体内の経絡を流れることで、心身の健康を維持できるものと捉えています。
特に治療に応用される重要な経絡に十四経脈があり、それぞれが特定の臓腑と深く関わっています。
推拿は、筋肉や関節だけでなく、この十四経脈にも働きかける治療法といえます。
□ 2016年10月 → ”脊椎のS字カーブ”
脊椎のS字カーブは、生理的湾曲といわれ、直立2足歩行でバランスをとるために必要なものです。
脊椎は、一般に背骨と呼んでいるところで、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨で構成されています。
頚椎は7個の椎骨、胸椎は12個の椎骨、腰椎は5個の椎骨から構成されていて、各椎骨は関節で繋がり、
その間にはクッションの役割をもつ椎間板が入っています。
正常な身体は、頚椎が前湾、胸椎が後湾、腰椎が前湾となり、身体を横から見ると適度なS字カーブを
描くことになります。これが、重力を分散するサスペンションの役割を果たしています。
この適度なS字カーブが崩れる例では、ストレートネック、猫背、平背等があり、これらは、体に負担を
かける要因となります。
□ 2016年9月 → ”低気圧と痛みの関係”
低気圧になると身体の痛みを強く感じる原因として考えられるのは、自律神経の乱れです。
気圧の低下は、副交感神経が優勢になり、休息モードになってけだるい状況を作り出すと同時に人間の
体内にヒスタミンという物質の分泌を増やすといわれています。
ヒスタミンは、逆に交感神経を刺激する働きがあり、関節や筋肉の周辺で血管を収縮させて血行が悪く
なり、神経を過敏にさせて痛みを増長させることになります。
(他にも諸説ありますが、上記理由が最も理に適っているように思われます。)
このように、副交感神経と交感神経が同時に表出して、自律神経の統合が取れにくいことが、体の不調を
引き起こすことになります。
□ 2016年8月 → ”自律神経”
自律神経は、自分の意思でコントロールできないもので、交感神経と副交感神経という正反対の
働きをする2つの神経から成り立っています。
交感神経が働いた場合、心拍数を早める、血圧が上昇する、血管が収縮する、瞳孔が散大するなど
活動に向いた状態になります。副交感神経が働いた場合、筋肉が緩む、血管が広がる、消化器系の
動きが活発になり栄養の吸収や老廃物の排出を促進する、および、疲労回復、ケガ修復など元気な
体を取り戻すために休息に適した状態になります。
一般的に、昼の活動時は交感神経が優位になり、夜の休息時は副交感神経が優位になります。
この切替えの円滑な繰り返しにより、心身のバランスが整えられて健康を維持することができます。
□ 2016年7月 → ”基礎代謝”
基礎代謝は、エネルギー代謝の一つで消費エネルギー全体の70%と多くを占めています。
脳や心臓など内臓を動かす、呼吸をする、体温を維持するなど、生きていくために必要不可欠な
もので、安静時であっても使われるエネルギーです。
消費量は、一般成人の平均で、男性:約1,500kcal/日、女性:約1,200kcal/日ほどになります。
特に、肝臓、脳、筋肉(骨格筋)で消費される量が多く、基礎代謝全体の60%程度を占めています。
参考)基礎代謝以外のエネルギー代謝
生活活動代謝(20%)、DIT(食事誘導性耐熱産生)(10%)
□ 2016年6月 → ”新陳代謝”
代謝には、取り込んだ食物や酸素を体内で利用する<物質代謝>および消費する<エネルギー代謝>
の二つがありますが、新陳代謝は、細胞の入れ替わりを意味しており、物質代謝の一つです。
入れ替わり周期は部位によって異なり、新陳代謝が正常に機能している場合には、次の通りです。
<胃腸→約5日、心臓→約22日、肌→約28日、筋肉&肝臓→約2ヶ月、骨→約3ヶ月>
身体の細胞は、3ヶ月以内に古いものを捨て新しいものに入れ替わっています。
□ 2016年5月 → ”人体の神秘”
我々の体内に存在する血管をシリーズに繋いだ場合、どのくらいの長さになるか知っていますか?
体の隅々まで縦横無尽に駆け巡っている毛細血管を含めると約10万Kmになるといわれています。
地球の一周が約4万Kmですから、地球2周半する途轍もない長さになります。
神経の長さはその5倍ともいわれています。人体はとても精緻で、神秘に満ち溢れています。
□ 2016年4月 → ”自然治癒力”
「人間は生まれながらにして、みずからの内に100人の名医をもっている。」
古代ギリシャの医聖ヒポクラテスの言葉ですが、100人の名医とは、自然治癒力を指しています。
各人の”主治医”はみずからの自然治癒力であって、医師はその助手にすぎない。
これは、いつの時代にあっても不変となる医学の真理を説いています。