そうこうしているうちに夜になった。 砂漠の夜はとても冷え込み、また魔物の行動は活発になるので、移動には適さない。 私たちは火を焚き、食事を取ることにした。 食事と言っても携帯食なので、乾パンぐらいの物でしかないのだが。 すると――― 「冒険を携帯食だけで乗り切ろうとは……浅はかな女がいたものだ」 ―――いつものようにナルセスさんが絡んできた。 「愚かな小娘だ。私なら、大砂漠の真ん中であってもカレーライスくらい作れるがな。 「そ、そんなの絶対無理ですよ、ナルセスさん! 「心配するな。料理書も持ってきてある」 そういう問題じゃないだろ〜〜ッ! 「よし、私はこれから食材をゲットしてくる。おい、ウィル、タイラー。手伝ってくれ!」 そう言い残して、3馬鹿トリオは何処だかよく分からん場所を目指して突撃してしまった。 ◆◆◆ あれから小一時間経つが、ナルセス達はまだ戻ってこない。 この絵本のあらすじは至って単純――― こまったさん「さ〜て、タマネギを切るわよ〜」 そうそう、こんな感じ。思い出してきたわ。 こまったさん「あら嫌だ。タマネギを刻むと、涙が出て困っちょ、困っちょ」 わ、私が知ってるお話と少し違……つーか、有り得ない!その方言!? こまったさん「そうだわ、こういう時には―――」 確か……水中眼鏡をかけるんだっけ? こまっちょさん「―――こういう時には、体を鍛えればいいんだわぁ〜♪」 いいいいい一体何故!? こまっちょさん「タマネギの攻撃に耐えうる強靱な肉体を作るのよ〜。 こまったさん、目を覚まして! こまっちょ「フハハハハ、タマネギめ!もはや貴様の攻撃など小生に効かぬわッ!」 いやああッ、とうとうリミットブレイク!? こまっちょ「ホリャ〜!マッスルチョ〜〜ップ!! そしてその上、負けるんか〜い! こまっちょ「今回は小生の負けだ……貴様、名は何と申す?」 タマネギ「ハッスル!ハッスル! Mr.マッスル「タマネギ剣士の冒険はまだまだ続く。 ……………。 ◆◆◆ 日が昇った。 私は大砂漠の真ん中を一人で歩きながら考えた。 「ハァ、ハァ…。私だって、こんな砂漠ぐらい越えてみせる。 ◆ すると地平線の向こうに何か建物らしき物が見えるではないか。 ◆ 重々しい扉を開けて、メガリス内部に入る。 「お〜い、コーディー! 中にいるんだろ!? この扉を開けてくれぇ〜〜!!」 ―――外からウィル達の声が聞こえて来るではないか。 「早く開けろ、女ッ! 謎の商人軍団に追われているんだ! 私は側に置いてあった岩で、入口の扉を硬く閉ざした。 ◆◆◆ しばらく奥に進むと、広い空間に出て……え?鉛の箱? 「コーディー、僕らを置いていくなんて、酷いじゃないかぁ〜!」 後ろからウィルの声。 「扉が開かんから、 ある意味、全体系大ダメージの合い言葉を放つナルセス。 「物理的に扉が閉められていることに気付いて、3人力を合わせて扉をこじ開けたのだ。 沈着冷静なタイラーだが、一体尻でどうやって扉を開けたんだ? ◆◆◆ 「ここが砂漠のメガリスか……。ここに父さんが死んだ謎を解く鍵があるんだ」 突然、ウィルが真剣な面持ちで話し始めた。 「父さん…なんで父さんは死んでしまったんだよ…?」 ワナワナ震えながら、力無く呟くウィル。 私は何か言葉をかけてあげるべきだと思った。 「心配するな。俺がどうにかする」 そう言ってタイラーさんはウィルに近づいていった。 「ウィル!先生の胸に飛び込んできなさい!!」 う、裏声〜〜ッ!? 「せ、せんせぇ〜〜〜!!!」 何故か抱き合う二人。 ◆ 「とにかく、早くあの鉛の箱を調べてみましょうよ」 私はイライラしながら、二人だけの世界へトラベルしているウィルとタイラーを引き離す。 「コーディーの言う通りだね。さあ、早速調べてみよう!」 爽やかスマイルで答えるウィル。 「それでこそディガーだ、ウィル」 頷くタイラー。 「ナイスファイト!」 いつものように親指を立てるナルセス。そう言えば、こんな奴もいたっけ。 「レッツ、鉛の箱〜〜〜!!」 そう叫ぶと、3人は鉛の箱目掛けて猛然とダッシュ! 「アンビリーバボー! 誤って箱の中に落っこちてしまった〜!」 なんと3人は3人揃って箱にはまってしまったではないか。 「ちきしょ〜、こんなトラップが仕掛けてあるなんてぇ〜〜」 「ちッ! ミラクルフィットしてしまって全然動けん!」 「おい女ッ!オイルだ!早くオイリーなオイルを流し込んでくれッ!」 私は静かに鉛の箱のフタを閉めた。 「オゥ! アルティマニアック放置プレ〜イ!」 アレクセイと組んだ方がまだマシね。 |
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