第13回 フィナーレ「編曲物語」


 ベルギーが舞台というので「尼僧物語」を見ました。
修道院が舞台の映画だと思って見はじめました。

その姿は拝めませんでしたが、なかなかよい音のオルガンが鳴っていました。
(尤も、借りたVTRが古くて音は歪んでいましたが)
グレゴリオ聖歌や尼僧たちの入堂の音楽にだけ、オルガンは使われており、
映画の舞台はすぐにアフリカのコンゴになってしまいます。
どうやらこちらのコンゴロケの方が、この映画の白眉だったようです。
それでも主人公が出発するときに、スヘルデ川からのカテドラルがちらりと見えたり、
ブルージュの街がでてきたりと少しは楽しめました。

 主演はもちろんベルギー出身のA.ヘップバーンです。


                                               記 多田納人


オルガニストが新しい曲に取りかかるとき、どういうことをするのでしょうか。
他の方は知りませんが、瀬尾千絵は次のようにしているようです。
 
 先ず、曲を選定します。
それがオルガン曲なら重畳。
そうでない場合が大変です。楽譜を探すところから始めます。
ポピュラーな曲であっても、オルガン用に編曲された楽譜などまず絶対に存在しません。

今回のように、映画音楽などではなおさらです。
そこで一般的なピアノ譜を元にアレンジが始まります。

ざっと譜読みをし、当たりをつけます。
そして、ピアノ譜は手だけですから2段ですが、オルガンはペダルがありますから、3段に分けて楽譜を作成します。
でもまだこれは、下書きのその前のものです。小説で言えば、あらすじに毛の生えたのようなものです。

 そこからは、弾いては直しの繰り返しです。
これを何度もやっている内に、最初に作成した手書きの楽譜は書き直しだらけでぐちゃぐちゃのボロボロ、
付箋だらけのハリセンボン状態となってしまいます。
他人には全く判読不能、未知の巻物と化していくのです。
ひどいときには本人すら解読できなくなることもしばしばです。(けっしてオーバーな表現ではありません)

 この状態をなんとかしようということで、
瀬尾千絵と相談しこの夏、finaleというノーテーションのソフトウェアを導入しました。
ノーテーションソフトというのは、楽譜を作成して印刷するための、
いわば楽譜のためのワープロのようなソフトです。
 さて、このソフトですが、やられましたねぇ。ホント。
 
 確かに高機能。まだその全体の10%ほどしか使っていないとは思いますが、
こと楽譜に関しては出来ないことはないと言うほどの完成度です。
なんでも印刷の版下作成にも利用されているそうで、それも頷けます。

 そもそもこのfinaleは、音楽(楽典)の知識を持った人が、
パソコンでバリバリ使うという前提で作られているらしく、
音楽には素人の私が苦労したのも仕方がないところですが、
もうちょっとなんとかしてくれと暴れたくなりました。

 というのも、操作が大変難しい。
もともとマック用のソフトだったらしいので、まだウィンドウズになじめていないのか、
ウィンドウズの標準操作とは違うのでまずそこで戸惑います。
たとえば、マックがクリックボタン1ケだからでしょうか、
右クリックでのサポートがほとんどなかったりします。
それに、メニューとアイコンへの割り振りがキチンと整理されていないし、
なんといってもマニュアルが薄っぺらなものが1冊しか付いてなくて、
PDFファィルの文書が数百頁も格納されてあるのです。

操作の途中でヘルプへの切り替えがあまりに煩雑に発生し、
ええい印刷してやれと、頭から出力をしかけたのですが、
コクヨ「フ−E650」通称5pパイプファイル2冊を越えたあたりで、
用紙とインク切れで挫折しました。きっと1000ページは越えているに違いない。

 それにスキャナでの楽譜読みとり機能もイマイチどころがイマ3くらいで、
結局瀬尾千絵が入力用キーボードを使って全て打ち込んだのでした。
 ま、打ち込んだ後は移調にしても簡単なので、それは良いのですが・・・・。

 実は、瀬尾千絵はほとんどコンピューターを操作できません。

つい先日まで、私が瀬尾千絵の口述筆記でメールなども代筆しておりました。
本人は、流行作家の気分ぢゃ、と言って、ガハハと笑っておりますが、
いつも忙しくしていて時間がないのでそれも無理ないかと、諦めております。

私もPCにHDDどころかFDDさえなく、カッセットテープが外部記憶装置だった頃から
色々なソフトを使ってきましたが、このソフトのおかげでこの夏は悪戦苦闘させていただいたわけです。ハイ。



以下次号待て暫し



フィナーレ で作成した楽譜 ほとんどなんでもできる。 プロ向けですね。