先日仕事の郵便物が一度に十数通できた。いつか書いたが、基本的に郵便物の宛名書きは筆ペンを使っている。習ったことが無いものだからすらすらとはいかない。とくに縦の線が難しくて途中で左にぐにゃっと曲がることが多い。しかし意地でもボールペンや万年筆は使わない。
それでも一つ一つ字を書くのは性にあっているのか、まったく苦にならないし、楽しい。間違いなく気分転換になっている。その十数通の郵便物も楽しく書き終わることができた。
すべて重さが違うので料金を調べるのが面倒になり、郵便局の窓口に持参して「すみません。普通郵便でお願いします」と恐縮しながら若い女性局員にお願いした。にこやかな笑顔で応対してくれたのでホッとしながら、言われた金額のお金を差し出すとその若い女性が言った。「ご自分で書かれたのですか、上手ですね」。
「いやあ、そのお、我流ですから」とか何とか言いながらも、ウキウキしてしまった。「飲みねえ、飲みねえ。浪速の生まれだってね。」とは言わなかったものの、その女性が美人に見えた。いや照れてしまって、顔ははっきり見なかった。とはいえ褒められて悪い気はしない。
年賀状の季節になったが、年賀状は細字で書かねばならない。まだまだ自信が無いが、性懲りもなくこんなことを考えたりする。もう一度あの郵便局に行って窓口のあの若い女性局員に言うのである。「いやあ、そのお、我流ですから」。ほとんど寅さんである。