
ちょうどこの時期、仙台は秋の風物詩、芋煮会の季節である。大きな鍋と肉や野菜やお酒や
ビール。沢山の食材を持ち、職場や町内会の仲間達が紅葉の始まった広瀬
川の上流に集
う。芋煮といっても、芋の煮物ではなく要するに(仙台の人、ごめんなさい)豚汁である。しかし
大鍋でつくる豚汁は美味しい。仙台では四年半を過ごしたが、何もかもが懐かしく、とくに河
原で食べた豚汁の味と酔って寝転がった背に河原の石ころが痛かったのをよく覚えている。
「時はめぐり、また夏が来て」そして秋が来ても、あの頃の思い出の中の私たちは若々しい。
それもそのはずで、二十代だった。…喜々も危機もあった四年半の新婚旅行。