初めての入院
あれは、2000年の4月下旬。そろそろ吉野の桜の盛りも過ぎようか、という頃でした。
娘が1歳の誕生日を迎えて半年近くになろうとしていました。
週末は、会社のレクリエーションで、吉野へ花見で、家内と子供も連れて行こう
と思っていました。
ところが、金曜日、家内から会社へ一本の電話
「熱が8度5分あって、食べたもの、吐くねん。おなかも下してる。」
帰ってみると、熱はあるけど、子供はそれなりに元気そう。
熱が下がったら、明日は行けるのかな
などと暢気なことを思っていたのですが・・・・・・。
「わあ」っと家内の驚きの声。
部屋に戻ると、部屋の畳が水たまりのよう。
「お茶飲ましたら、噴水のように吐いたわ・・・・・・」
私、しばし呆然としていました。
「子供の医学(本の名前)で調べたら、なんか、ロタウイルスみたい・・・・・・」
「ロタ?」
聞いたことがありません。
「風邪じゃなくて、感染性胃腸炎のことなの。
嘔吐と下痢がひどくて、熱も出るらしい・・・・・・」
子供が出来ると、今まで耳にしたことのない病気に出くわしてしまいます。
もちろん、花見などもってのほかで、
翌日になると熱も39度近くまで上がって、さすがに元気がありません。医者に連れて行くと
家内の思っていたとおり、ロタウイルス感染症とのこと
何より怖いのは、脱水症状で
即刻入院させましょう、とのことで、紹介状を書いてもらって
自宅から歩いて10分くらいの病院に入院させました。

それからが大変でした。病院に着くなり娘は点滴を受け、大泣き。
小さな身体に、太い点滴の針が刺さっているのを見ると、可哀想でしたが、仕方ありません。
点滴は結局、三日ほど続けましたが、その夜は、家内が、娘と一緒に病院に泊まりました。
娘は翌日から熱は下がり、元気になりました。ただ下痢が続いていたので、点滴をしたままです。
汚い話で恐縮ですが、相当臭いのきつい、しかも異様な臭いの便で、辟易しました。
でも、それは序の口でした。なんと、家内がロタウイルスに感染してしまったのです。
大人は、子供のように嘔吐することはないのですが、発熱と強烈な下痢に悩まされ、
家内は、病院の付き添いベッドから降りることが出来なくなってしまったのです。
で、誰が後、娘の面倒を見るか・・・・・・。
言わずもがな、私でした。ひえー
やっかいなことに、娘は熱が下がると結構元気になったのです。でも家には帰れない。
だって、下痢が収まっていないので、先生の許可が出ないのです。
娘が退屈がってねえ。しかも家内は人事不省状態。あの一週間は、ほとんど会社に行けませんでした。
やっかいなのは、それだけではなく。
病院食がまずいため、食事を全くしようとしないのです。
でも、確かにまずいです。(残ったものを食べましたが。)
子供用だから薄味にしてあるのはわかるのですが、味というものをトイレで流してしまったのか(!?)、
とても食べられたものではありません。
唯一娘が食べたのは、3時に出るおやつ。リンゴとか、乳ボーロのようなものでした。
夜中は、消灯時間が早すぎるため、なかなか眠らないし、
しかも枕が変わると落ち着かないのか、一人で寝るのをいやがる始末。
で、どうしたかというと、この身長180cmの大男である私が、
家内ですらきゅうきゅうの子供用ベッドに
娘と一緒に寝る羽目に。

四日目くらいですか。家内の症状も少し落ち着いてきた夜。
一緒に狭苦しいベッドで眠っていると、娘が夜中に急に起き出したのです。
「どうした?」と、聞いても、まだ言葉がしゃべれない娘、機嫌悪くむずがっています。
で、苛立たしげに、両手をぱちん、ぱちん、と、間延びした拍手のように胸の前で叩くのです。
「なんじゃ?」と思っていましたが、やがて意味がわかりました。
食事をする前に、いただきます、と言って、両手を胸の前で合わせるように教えていたのです。
おそらく、病院食をほとんど食べないために、空腹のため夜中目を覚まし、
何か食べたい、と訴えていたのではないかと、思います。
「今は、夜だから何も食べられないよ。パパと一緒に寝よ」と、何とかなだめすかして、
一緒に眠りにつきました。
「お腹空いてんねんな」と思いましたが、同時に少しほっとしました。食欲が出てきたということは、
回復の兆しなのでしょう。
でも、大変だった。なだめすかすために、私の腹の上に娘を寝かせたのです。
これが結局癖になって、退院するまで、いえ、退院してからもこの格好でないと寝なくなったのです。
私が寝不足に陥ったのは言うまでもありません。(〜〜;)
家内は、少しずつ回復していたのですが、どうも女性看護師の中の一人が気に入らなかったらしく
その看護師はたばこ臭い息を吐いていたらしいのです。
しかも、彼女から娘が病院食を食べないのは、あなたの教育が悪いからだ、
とあからさまに言われたらしく、ショックを受けていました。
私も、その言葉には、さすがにむかっ腹が立ちまして。一つの要因に対して、
周りの状況を勘案せず、一つの理由だけで人を責めるなど、もってのほかです。
まだ訳もわからない1歳半の娘。
家とは違う不自由で狭い部屋に押し込められ、しかも不味い飯を出されて
1歳半の娘がおとなしくしているはずもなく。
第一、私も家内もたばこが嫌いなので、そんな息をして病室に入ってくるな、と思いますよ。全く。
結局、娘に退院の許可が下りたのは、入院した翌週の金曜日。私は、フレックスタイムを駆使して
昼前に病院に戻って、二人を家に連れて帰りました。
娘は下痢もほとんど収まり、元気になったのですが、
家内は、まだ腹部がしっくり来なかった様子で、きちんと治ったのは、四、五日してからでした。
世間は、翌日の土曜日から、ゴールデンウイークに突入したのでした。
全くもって、大変な一週間でした。
ロタウイルス
<症状>
・高熱。39度程度でした。
・噴水のような嘔吐。(私は見ていませんが)
・下痢(強烈な臭気を伴う便)
・これらに伴う脱水症状。(水分補給が肝要です)
・娘は、ほぼ五日ほどで、回復しました。