謎そのC サティの出自

 これはゲーム本編とは離れるんですが、「サティが皇の実子ではない」のは結構重要だと思うのですよ。アシュがヒロイン側(中つ国)についた後、サティが処罰のためシャニを斬りますね。その後、皇とムドガラとの会話・・・この内容が良く良く考えると、とんでもない。
 皇が「これでワシの血を引く者はいなくなった」と言っています。するとムドガラは驚きもせず「まだ、ナーサティヤがおります」と答えています。いくら黒龍の傀儡と化したからと言って親子関係が分からなくなってるとも思えないし、いくらムドガラが腹心だからって第一王位継承者(長男)で、唯一の常世の跡取りであるサティを呼び捨てるって普通じゃないですよね。
 で、皇の血を引いてないってことはサティとアシュ+シャニは異父兄弟、もしくは他人ということになります(確かに色白のサティは皇や弟2人とは似ていません)。つうことは、サティの母親は子連れ再婚したと考えるのが普通なのですが、加えてムドガラが呼び捨てできる理由は、何か。ひとつは、母親がムドガラの身内であるケース。もうひとつは、ムドガラ自身が父親であるケース。ただ後者だった場合サティとアシュの関係は少々込み入った感じになりますし、実子でないことを息子達は知っているのかどうかでこのシーンの意味合い、サティが皇に決して剣を向けなかった理由が見えてきますね。
 波多野的には、上の2人は知ってたんだろうと思います。穿った見方をすると、アシュが去った後にシャニがいなくなればサティは間違いなく王位を継げることになるわけで、だから殺したんだろうというゴシップも出てくるんでしょうが(苦笑)。そうではなくて、実子ではないからこそサティは黒龍の傀儡と化した皇をあくまで守ろうとしたんだろうと思います。逆にアシュは実子だからこそ自分の手で幕引きしないといけない、サティにそれができないことは分かっているからという部分があるんじゃないかな。そういうことを踏まえて常世の三兄弟を見ると、また味わい深いものがありますね。



謎そのD 忍人シナリオの意味


 忍人シナリオ、というとラストシーンが印象的ですが。他の子と違って彼だけ救うことができない・・・のは何故か。それは4が1以前の話だから、かなと考えています。4の時間軸では八葉の概念がないけれど、各シナリオの終盤でその象徴が出てきますよね。それによると忍人は「地の玄武」ってことになります。で、4の次に来る1において「地の玄武」は誰だったかというと・・・そう、泰明です。
 他の七人と違って、泰明だけは「造られた(清明の手によって生まれた)」存在でした。清明は陰陽師ですので、必要なものが欠けているのが分かっていたのかもしれません(おそらく原作でも造った理由については詳しく語られていないと思います)。つまり、1の時間軸において「地の玄武」だけ存在しなかったのではないでしょうか。仮にそうだとすると、存在しなかったのは偶然でしょうか。
 と、考えると忍人シナリオのラストを「救うことができない」のは1につながるからでは?という仮説が出てくるのです。しかしそうなると、ですね。八葉の魂は、輪廻転生しても八葉であり続けるのか?という話になります。でないと、「欠けたもの」を「生み出す(補う)」行為と繋がらなくなってきますので。もちろん、清明の意図が全く別のところに在ったのに偶然、八葉として選ばれた可能性もありますが。
 時間軸を経ても、八葉が八葉であり続けるのであれば納得できることがいくつか。たとえば1の冒頭で京に来たばかりの詩紋(地の朱雀)がその外見から鬼の子として人々に襲われ、初対面の頼久(天の青龍)に救われるシーン。なんとなく、風早に庇われる那岐みたいで。ま、那岐は助けてもらっても素直に感謝しないでしょうが(笑)。天地の玄武の仲の悪さ(感情の行き違い)も4から引っ張ってると思うと、なんか納得したり。
 1を製作した時点で4の設定を考えてたわけではないだろうから、後付けだろうとは思いますがそれでも何か楽しいのは、波多野が輪廻転生ネタ大好物だからかもしれません。