No Reality
UNKNOWN
’01/06/29 発売
CG、音楽、ストーリー、全てが独特な異色作
発売当時に雑誌などで「いままで無かった異色作」として、
紹介されて密かに物議を醸していた作品です。
残念ながら、あまり人気は出なかったんですけどネ〜(^^;
洋画の様な演出、独特の構図、雰囲気のあるCG、そして全編に亘る音楽。
特に音楽はACIDJAZZをベースにした「アンビエント」
(パターンフレーズを繰り返す手法)で統一された素晴らしい出来栄え!
過去にいろんなタイプのエロゲーをプレイしてきましたが、
この作品に類似するものは無かったと思います。
それだけに、皆様に伝わりにくい所もあると思いますが、
しばしお付き合い下さい・・・。



それではまずスタッフの方から紹介です。
音楽及びディレクターは孤高の天才「Kt2」様
キャラデザインは「大崎シンヤ」様
原作と言うかストーリーは「虎宮零」様
シナリオは「大木浩輔 / 北方梨瑠華」様

Kt2様、大崎様以外はあまり他では見かけない方ばかりです。
(Kt2様、大崎様もたまソフトでしか見ないし・・・)
その為、発売当初は実力が分からず購入をためらいました。
実際には「妥協のない製作集団」の謳い文句通りでしたけど♪
その音楽とCGのお陰で本当に「ハリウッド映画」を見ている様で、
お子様には分からない独特の雰囲気に酔いしれるばかりです。
・・・・・
・・・

それでは初期設定から見ていきます。
舞台は近未来の某都市。「ウォーターフロント計画」によって作られた新都市の所為で
寂れてしまい犯罪の温床の様になってしまったスラム街「アウトサイド」がメインです。
主人公のニール・フォックスは「恍惚鏡」と呼ばれる、
死体に触れる事で犯行時に犯人が見ていた映像が見える能力を持っていた。
かつて敏腕刑事だった彼も今は警察に協力する民間捜査員になっていた。
そんな彼の元にまた警察が匙を投げた殺人事件が依頼された。
そこで彼は相棒のジョー・ベルトランと捜査に乗り出すのだった。
それはやがて凄惨な連続殺人に発展してゆく・・・。
と言うあらすじです。

これと同じ能力をテーマにしたアメリカのTVドラマ「ミレニアム」もありましたが、
こちらはその能力によって精神崩壊してゆく主人公を描いていました。
この作品では純粋に犯人を特定する能力として扱われていますが、
もし続編などが作られていれば、そう言った展開もあったかも知れません。

実はこの作品では細かな世界観やキャラ設定をしているのにも関わらず、
あまりその部分を本編の中で語りません。
その為、マニュアルを読まずにゲームを進めるとストーリーに着いていけなくなります。
あくまでも「当たり前の事柄」として進んでいきます。
これはゲーム中の雰囲気を壊さない為の「演出」だと思われますが、
この部分を気に入らない理由に挙げている方が多いのは事実です。
正直な所、私も折角の魅力あるキャラの事にあまり触れていないのは
あまり感心しないと言うか勿体無いと思いましたが、
私のレビューの母体になっている「ティターンズの作戦会議室」にて
偃月様が素晴らしいコメントを出されていて納得出来ました。
以下にそのコメントを転載させて頂きます。
・・・・・
・・・

かなり強引ではありますが、自分は敢えてこの物語をこういう風に考えてみる事にしました。
「あるアニメの第○話」
「あるシリーズの第○作目」
そう考えてみると、案外何でも納得行ってしまうものです。
キャラの設定なんて物は既に知っている。
「第○話」なので、物語は途中だし、まだまだ先がある。
そう割り切ってしまう事で、個人的には結構楽しめた部分があります。
ニール、ジョー、リョウコが関わった数々の事件の中の一つの事件。
ゲームを楽しむ為に、そう割り切ってしまいましょう!
「NoReality」の世界観は、このソフトだけでは語り切れない。
それだけ大きい世界観だったんだと思います。

・・・
・・・・・
元々結構好きな作品でしたが、このコメントに納得した私は
一気に「お気に入り作品」にしたのでした。

次にシナリオを見ていきます。
前述した通りですが、この作品はあまり世界観やキャラに触れない為、
案外あっさり終わってしまいます。
総プレイ時間は3〜5時間程度でしょうか。
一言で言うと短い・・・短すぎます(^^;
世界観を語りきれていない段階でシナリオの完成度は低いと言わざるを得ません。
しかし「この事件」については十分なEDになっていますので、
これも1つの価値観だと思えなくも無いです。
それと、シナリオに分岐がありません。
完全な一本道の内容です。
ストーリー進行に合わせて移動場所が増えていくだけで、
後は画面の中を調べたり登場人物との会話で事件解決に辿り着いてゆきます。
ただそのクォリティーは「総当り」でも問題無くEDになりますので、
難易度は極端に低いです。
まぁ、雰囲気を大切にしたシナリオと言う事で
あまり懲り過ぎるよりも良いかもしれません。
スタッフの方がやりたかった事、伝えたい事は十分に伝わっています。

最後にストーリー展開ですが、
この作品では謎解きよりも事件の裏に潜む人間関係や心理にスポットを当てています。
こう言った展開で重要なのが「伏線」の張り方ですが、
これこそがこのストーリーでの要になっています。
(ちょっぴりご都合主義な所もありますが・・・(^^;)
もし、ココがしっかりしていなければこの作品がどうなっていたか・・・。

次々に明らかになってゆく事件の真相。
それにつれて浮かび上がる関係者の境遇と心境。
最後まで引っ張ってゆくだけの求心力のある緊張感溢れる展開です。
・・・とは言っても決してハデな展開ではありません。
むしろ情熱を心に秘めていながらも淡々と進むストーリーで、
それも含めての「大人の雰囲気」となって作品の性格を決定付けています。
この「情熱を心に秘めて」と言うのが見事に表現されている所に
私は素直に絶賛したいと思います。
得てしてこう言うストーリーは「秘めて」を書きたくて、
却って作為的になりがちですから・・・。
これを自然に表現出来るスタッフは稀有な存在だと思います。
・・・・・
・・・

3年間活動を休止していた「UNKNOWN」が再び動き出しました。
当然私は「デフォブランド」として応援していくつもりです!
世間の波に流されない唯一無二の作品をこれからもお願いしますm(_ _)m




悲しい時にこそ楽しい歌が歌える

人の心理はいつも「無いものねだり」

だからこそ私は聞いてみたい

彼の楽しい時の悲しい歌が・・・