Chain〜失われた足跡〜
ZYX

01/06/29 発売

推理プロセスをなぞる異色作

老舗「ZYX」の最近のセールスポイントと言えば
「アニメーションを駆使した作品」ですが、
本作もそれを生かした作品に仕上げてきました。
ココは私の「デフォ買いブランド」の中でも、
「トラビュランス」と並んで「異色」なブランドです。
「自称ストーリーレビューアー」の私が「シナリオそっちのけ」の
ブランドを何故「デフォ」にしているのか甚だ疑問ではありますが(←自分で言うな
そこは「ラブコメスキー」で「アニメスキー」の戯言と思って下さい(^^;



同ブランドはこの当時「淫内感染シリーズ」と言う看板作品が有って、
それに替わる「新展開」を模索するかの様に登場したのがこの作品でした。
もしかすると「次の淫内」までのツナギだったかもしれません。
その本位はスタッフの方のみぞ知る所ですが、
それ位世間の評価が低い作品でした。
・・・でも、その評価のほとんどは正しいのも事実です・・・。
何せ「選択肢なんかあるだけ無駄」な一本道のシナリオ。
その選択肢も「現在の所までの推理の過程」をプレイヤーに
確認させるだけの意味しか無い・・・。
分岐する事が無いシナリオは既にゲームとしての
存在価値を完全に失っている・・・。
これでは誰も評価出来ませんって(^^;

しかし、私はあえてその部分を「この作品の目玉」にしたいと思います。
確かに「推理の過程」を間違ったらバッドEDになる様な展開が無い事は、
「手抜き」との誹謗を呼んでも仕方の無い作品だと思いますが、
そこを「正しい推理プロットの組み立て方」を教えてくれている
と考えると、とても素晴らしい作品に蘇ります。
私はそこをこそ評価したいのです。
大体が昨今の「推理モノ」はドラマティックな展開を意識し過ぎて
この「推理プロット」をおざなりにしています。
どこにも「伏線」が無かった「新事実」とやらが、
ED前にいきなり登場する作品が多すぎるのです。
「某サスペンス劇場」の様に・・・。(^^;
その点「古畑 任三郎」は良かったナ〜(しみじみ

・・・また脱線しそうなので、話の流れを力づくで戻してっと・・・
よく推理小説に登場する「名探偵」達は、
「目の前にある事実」をどの様に解釈して推理「したか」を
クライマックスまで「引っ張って」解説するのですが、
この作品はそのプロセスをリアルタイムでなぞっていく
スタイルをとった正に「異色作」なのです。
「今までの事実から捜査方針を決めて一つづつ疑問を解決していく」
探偵は超能力者じゃないんですから、これは当然です。
そしてその捜査の中で浮上した新事実を更に推理して捜査を進める。
事件が「現在進行形」ならば突発的な新展開も起きるだろうから、
その都度捜査方針を修正しながら調査していく。
そんな今まであまり注目されなかった当たり前のプロセスを
何か起きるごとに「今の事実をどう解釈するか」を丁寧に説明しながら
主人公が「犯人」に一歩づつ近づいていくのを楽しむ。
これはそんな作品なのです。

「オレは探偵や刑事を目指してるんじゃね〜から、そんなもんいらね〜よ」

そんな風に思ってしまうと「ゲーム」としての存在価値が
既に失われているこの作品は「地雷」以外の何ものでも有りません。
肯定派の私ですら、冷静にこの作品に点数を付けるなら
「高くても6点、出来れば4点、でも個人的には8点」
と訳の分からない評価になってしまうのですから・・・。

そして、この作品のもう一つの目玉が
「ハードボイルド風のカッコイイ演出」です。
登場する小物、全体的に光度を抑えたCG、独特の見せ方の構図
そしてなにより全編を通じて流れるJAZZベースの素晴らしいBGM
その全てが「大人の作品」の雰囲気を盛り上げていて、
とても好印象です。
私は「これ」に弱いんですヨ〜(^^;
更にそれを際立たせるのが、
アニメーター出身の原画家「武藤 慶次様」の
魅力的なキャラクターです。
この相乗効果ですぐに作品にのめり込めます。

それでは初期設定から見ていきます。
舞台は現代の新宿。
そこに事務所を開いている探偵が主人公です。
その彼に絡むのが、有能な助手の「瞳」
主人公の恩師の娘で刑事の「晶」
幼なじみでスナックをやっている「真由紀」
の3人が主人公側の登場人物と、とてもシンプルになっています。
これは自然と捜査が進むと登場人物が増えてくるので、正解です。
そして、上記3名以外にも7名の「Hシーン」があります。
やはり女性の比率が高いのは「お約束」と言う事で(^^;

シナリオについては、
先に書いてしまったのであまり言う事はありません。
事件の捜査プロセスをなぞっていきます。
只強いて言うなら、この事件は「連続殺人」なので
捜査中に事態が変化していく所が、シナリオに抑揚を付けています。

・・・やけにアッサリとストーリー展開まで来てしまった・・・。
もっと書く事は無いのか!?(汗

主人公は新宿に事務所を構える探偵。
とある雨の夜に一人の女子校生を助けた所から物語は始まる。
その翌日に事務所に1件の電話が入る。
昨日の女の子の姉がお礼を言ってきたのだが、
何とその姉と言うのが主人公の高校時代の同級生だった。
「つもる話もあるから・・・。」と言う事で彼女の家を訪れた時に、
「浮気調査」の依頼を受ける事になる。
そんな何の変哲も無い調査がやがて大事件に繋がっていく。
とこう言うストーリーです。
前述している通りここからは「捜査のプロセス」を
流れに沿って見て行く訳ですが、
主人公が預かり知らぬ所で次々に関係者が殺されていきます。
それがストーリーを盛り上げていきます。
実は関係者はお互いに何らかの繋がりがあって、
その複雑に絡まった関係を紐解いていくのが、
この捜査のポイントになっています。
そこから「Chain」と言うタイトルが付いている訳ですネ。

そして物語とは関係無いのですが、書きたい事が一つ・・・。
おい!「晶」!日本の警察官がなんで
「ベレッタM92F」を使ってるんだ!!
おまけに主人公は「コルト パイソン」って357マグじゃね〜か!!
ってその前に「一般人」がこんなモノを持ってるのに、
なんで捕まえないんだ!!
誰か〜おまわりさん呼んで〜〜〜!!

・・・とこれで「ネタバレ」以外の事はほとんど書いてしまいました。
他の大作に比べるとストーリーに関しては、
あまり語るポイントがありませんでした。(爆
やはりこの作品は「雰囲気を楽しむ」のが正しい姿の様です・・・。




推理は超能力ではない

探偵はスーパーマンではない

適切な状況判断から「結果」を導く

それが全てである

その為に適切な調査を行う

そこに「人間ドラマ」はあっても

調査自体はドラマティックではない

常に冷静である事

それが一番重要なのだから