「比べる」ことで工夫を読む
谷 口 映 介

 中学年以降の読むことでは文章を「比べる」ことが必要となる。学習指導要領では、【知識及び技能】(2)情報の扱い方に関する事項・情報の整理イにおいて中学年から「比較や分類の仕方」が示されている。ここで言う比較とは、「複数の情報を比べる」ことである。説明的な文章においては、@理由や事例の取り上げ方、A筆者の主張、B図表などの使い方等である。比べることを通して、書き手の工夫を捉えることになる。今回は、「『ほけんだより』を読みくらべよう」(東京書籍三年上)で実践をした。

一.お便りに込められた意図
 導入として、校内で発行されているお便り(通信)を数種類提示し、どんな願いが込められているかを話し合った。児童からは、「学校通信では、校長先生が全校のみんなの頑張りをお家の人に伝えたいと考えておられると思います。」「保健だよりには、みんなが健康に生活してほしいという思いがこめられていると思います。」という考えが次々と出された、その上で、学習で比べる「大森先生の二つの文章(保健便り)」を導入した。児童は、大森先生の思いに共感し、読み比べることへの意欲を持つことができた。

二.複数の情報を「比べる」
 学習では、先述した三つの観点から比べることになる。比べる際の手立ては、大きく次の四つである。 @二つの文章を縦に並べたシート
A段落分け(はじめ・中T・中U・終わり)・全体の組み立ての確認
A色分け−―同じところ(赤線)違うところ(青線)
B「繰り返されている言葉」を緑で囲う。伝えたいことの違いへ
C図と文が対応しているところを線で結ぶ。
D図表やアドバイスの言葉を短冊で入れ替え、違いを話し合う。

 児童は、色分けをしながら気付きを書き込んだり、表に整理したりする中で書き手の工夫を発見することができた。学習を進める中で、「どちらにもそれぞれ良さがあることに気付きました。一つ目は、朝ご飯を食べるよさが図と一緒に書かれています。二つ目は、身近な例が書かれていたり、数字が入ったりしています。どちらがいいか迷ってきました。」という考えが出された。この後更に話し合うと、どちらが正しいかではなく、文章を「誰に向けて」「どんな場合に」書くかが大切であることに意識を向けることができた。前単元の「自然のかくし絵」で発見した筆者の書き方の工夫と共に教室に掲示しておくことで、自分で説明文を書く際に使えるポイントとして大切にしたい。
(竜王町立竜王小)