オシャレ作文に挑戦だ!
木 富 也
作文・日記指導を日々行っているが、本学級の合言葉は、「オシャレ作文」だ。岩下修先生の『書けない子をゼロにする 作文指導の型と技』(明治図書)を参考に、諸先輩方の助言を加えて、実態に合わせながら実践している。作文のポイントをまとめたものをパワーポイントで示したり、五感を意識できるように絵で表したりしながら、視覚的に作文の型と技を理解させる。日々の何気ないことや、学習や生活のふりかえり、行事など、何かあるたびに作文・日記を書いている。年間計画は、1学期「書くことを習慣化する」、2学期「オシャレな表現に挑戦する」、3学期「全員が自分で判断して技を使いこなす」である。今年度3年生の、1学期時点でのオシャレ作文を紹介する。 【今日の天気と私】 ザーザーザー。窓の外から雨の音が聞こえる。私は心がモヤモヤしていた。昼休みに思わぬことが起きた。外が晴れていたのだ。心が熱くなった。「これで鉄棒ができるぞ。」思いっきり駆け出した。風が気持ちよかった。(鉄棒で大技ができるかもしれない。)心が晴れ晴れしていた。 →天気の変化と気持ちを重ねている。雨の音から始まり、心が晴れ晴れとして終わる対比が見事である。 【避難訓練】 リリリリリー!サイレンが鳴った。いつものサイレンの音と違うから、「びく…」として、本物の避難訓練だと思った。ちょっと怖い。でも、本物の火事だったら焦っちゃだめだ!と思った。地面はガタガタしている。僕は急いで運動場に突っ込んだ。心の中はソワソワしていて、教頭先生や校長先生のお話はあんまり聞こえなかったけど、がんばって聞いた。これからも真剣に避難訓練をしたい。 →音から始まり、地面の揺れ、運動場に突っ込むという表現、今後の決意まで書ききっている。 【緊張した音楽会】 私が私じゃないみたい。はぁはぁ。暑い。汗が下に向かっていく。体育館の中に足を踏み下ろすと、ドキッ、一時停止みたいに心が変わった。リコーダーを持つ手は震えていて、頭が真っ白になり、凍るようにカキーンとなる。どうすればいいのかわからない。合奏が終わって教室に戻ると、安心したようにすーっと緊張が抜けていき、ふっと息をした。そうすると、練習のことを思い出した。あ〜そんなことがあったなぁと思い出す。先生の「みなさん、よくがんばりました。」という言葉を聞くとうれしくなった。来年も合奏やいろいろなことの練習を積み重ねていって、すてきな音楽会になるようにがんばりたい。 →様々な表現で緊張と緩和が伝わる。あえて合奏中の表現が少ないのも、スピード感があって良い。 作文の型と技を知った子どもたちの自由な表現は、とてもユニークでこちらの予想を超えてくる作品も生まれる。今後も子どもたちと楽しみながら、書く活動と向き合っていきたい。 (東近江市立能登川南小)
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