力を伸ばす個別評定
川 端 大 介

 一学期が終わろうとしている中、国語授業について振り返ってみた。すると、真っ先に思い浮かんできた事として『個別評定』が挙がってきた。国語科では、音読を大切に取り組んできた。四月には、本を両手で持つことや、本を立てて読むこと等、学習の構えも大切に指導した。指導したことが子どもたちにとって為になっているのかを時々確認しながら行った結果、全員が本の持ち方や立てて読むことは大切だと思うとのことであった。

 一学期最後の物語文教材として扱ったのは「おむすびころりん」であった。場面ごとの「おむすびころりんすっとんとん。ころころころりんすっとんとん。」の読み方を挿絵などから想像し読む活動を行った。おむすびが穴に転がるように教室を転がりながら読む児童や、片足でケンケンしながら転がる様子を表す児童もいた。様々な読み方を工夫する姿を見て、私自身も楽しみながら学習を行っていた。  全五時間で単元を組んで指導する中で、三時間目あたりで子どもたちの学習に向かう勢いが停滞しているように感じた。きっと、音読の工夫をし尽くして飽きを感じてきたのだろう。何か手立てを講じないといけないと思い、本を読みながら試行錯誤した。

 そこで、お話の中に四回出てくる「おむすびころりんすっとんとん。ころころころりんすっとんとん。」の読み方を考えることにした。二回目の読みが挿絵を基にして読み方の違いが大きかったからである。子どもたちには「四回出てくる中で、一番読み方が分かれたのは何回目ですか。」と発問したところ、約八割の児童が二回目と答えた。そこで、挿絵を基にして「○○な気持ちで読む」ことを確認した。「ふしぎな気持ち」や「おどろいた気持ち」、「がっかりした気持ち」等、読み方をイメージするための手がかりを与えて読んでいった。

 全員が、自分の読み方を決めたところで「これから二回目を全員で読みます。三点満点で点数をつけます。」と伝えた。子どもたちからは歓声が上がり、自信いっぱいの様子であった。「二点で十分工夫できています。一点はもうすこし工夫が必要ですからね。」と伝え、全員を二点以上にすることがこれまでの音読活動から見てとれたため行うことに決めた。

 まず、一人で三分間の練習を行った。全員が自分の世界に入り込んだように読んでいく。バラバラに練習する子どもたちがどこか一つにグッとまとまっているように感じた。
 その後は、一人ずつが全員の前で発表をした。言うまでも無く全員が三点であった。

 点数をつけることには賛否あることは承知の上で、私もとても緊張した。子どもたちが「今の自分は何ができていて、どこを直すともっと良くなるのか」を肯定的に感じられる個別評定を今後も取り入れていきたいと思う。
(守山市立立入が丘小)