日記の子どもたち
弓 削 裕 之

 日記を読むのが楽しみだ。Aさんの日記は、おもしろい書き出しで始まっていた。

 わたしは、今日なぜかちょうしにのっています。なぜかというとほめられたからです。「たくさんおてつだいありがとう。」といってくれてうれしいです。この日記をかくときも心がはずみました。本当にうれしいです。

 日記に書くことで、喜びがふくらんでいるようだ。隣のページには、「今日は、おせんたくほしをてつだいました。」という一文と一緒に、洗濯物を干しているAさんとお母さんの絵が描かれていた。お母さんの吹き出しには、「おてつだいありがとう」、Aさんの吹き出しには「だいじょうぶ」と書いてあった。

 Bさんの日記は、「先生、あのね。」の書き出しで、いとこと一緒に遊んだ日のこと。

 あそびつかれたので、かきごおりを食べることにしました。かきごおりやさんは、れつができていました。やっとじゅん番がきました。けれど、いとこが、いちごと、オレンジのどっちかでまよっていたので、とくべつに、てんいんさんがはん分ずつにしてくれましたそしたら、おとうとも、「はん分ずつがいい。」と、言うので、ブルーハワイとメロンにとくべつにしてくれました。そしたら、私たちのうしろにならんでいた子どもたちも見ていたので、はん分ずつにしてもらっていました。

 出来事がひとつひとつ丁寧に書かれていて、店員さんの優しい気遣いを知らせたいという気持ちが伝わってくる日記だ。

 Cさんの日記は、「気になることシリーズ」。

五月六日 どうやって、やさいはそだったかが、きになりました。
五月八日 なぜ、えんぴつは、かけるのか気になりました。
六月一日(みなづき)なぜ、人間は、かんがえることができるのかがきになりました。

 いつもこのように綴られているのだが、ある日の日記は、少し書きぶりが違っていた。

六月二日 なぜ、ねこは、毛があるのかがきになったのでしらべてみました。こたえは、ねこはきれいずきらしいです。

 Cさんに、どうして調べてみようと思ったかを聞いてみると、「すごく気になったから」と答えてくれた。「すごく」で動いたCさんの変化がうれしい日記だった。
(京都女子大学附属小)