文章たんていになって文章を読む
谷 口 映 介

 文章を読む時、合言葉にしていることがある。それは、「文章たんていになる」ことである。例えば、文学的な文章で、「気持ち」を読む場合、会話文、地の文、情景描写、人物の表情、行動、人物同士の関係等を手がかりとするだろう。「気持ち」を想像するにも文章からの根拠は必要である。子ども達は探偵になってそれらを見つけ出すのである。今回は、説明的文章「自然のかくし絵」(東京書籍三年上)での小さな探偵の様子を紹介する。探偵のテーマは、「問い」の「答え」と、筆者の書き方の工夫である。

1.「〇〇のじゅつ」を発見!
 教材文には三つの事例(@コノハチョウ、Aトノサマバッタ、Bゴマダラチョウのよう虫)がある。それぞれの身のかくし方をまとめるにあたって、一言で「じゅつ」として小見出しをつけた。子ども達は、「木の葉そっくりのじゅつ・かれ葉のじゅつ(@)」「場所選びのじゅつ(A)」「色変えのじゅつ・色変わりのじゅつ(B)」等と名前を付け、その根拠となる叙述を文章から見つけ出していった。術の名前はそれそれであるが、根拠を交流する中で「答え」に関わる大事な言葉を表に整理することができた。

2.筆者の書き方の工夫を発見!
 筆者の書き方の工夫は、@「問い」と「答え」の段落A事例の順番B題名Cつなぐ言葉(接続語)D比べる書き方が挙げられる。この内、A事例の順番の意図を全体で話し合った。筆者の意図を考えることは、三年生の子ども達にとって初めてのことであるため、「三つの例があるけれど、みんなならどんな順番に並べますか。」と問いかけた。子ども達からは、「好きなこん虫の順番」「(体が)大きい順番」など、様々な考えが出された。その上で、筆者の意図について考えた。子ども達は、「筆者の好きな順かな。」「それは、書いていないから分からないよ。」「見つかりにくい順じゃないかな。だって、最初のコノハチョウは、羽の裏は保護色だけど、表は保護色じゃないから見つかりやすいかも知れない。」と、次第に先述した「じゅつ」に着目して考えることができた。

 学習の最後には、初発の感想と比べるために、「文章の内容について」「筆者の書き方の工夫について」の二点で感想を書いた。感想では、「つなぐ言葉とこん虫を書くじゅん番が分かりやすいと思いました。わたしが何かを書く筆者になったら、つなぎ言葉をしっかり使っていきたいです。」と新たな視点を獲得できた姿も見られた。
 今後も、考えの根拠となる言葉を自ら見つけ出せる学習をめざしたい。
(竜王町立竜王小)