1学期の導入期における漢字学習の指導について
木 富 也

 前回は、「漢字学習における個別最適な学びと協働的な学び」をテーマに、昨年度4年生の実践報告をさせていただいた。漢字50問テストにおいて、「読み優先」と「個別最適な学びと協働的な学び」を展開することで、年間の平均点が90点を越えた、という内容である。今回の報告では、それらの実践を引き続き展開している現状、尚且つ1学期の導入期の指導について述べていきたい。

 今年度は3年生36人の担任。素直で学習意欲はあるものの、多動傾向、LD傾向、特別支援的な配慮が必要な児童が数名いるという学級である。第1回目の漢字小テストでは、30点以下が5名おり、0点の児童や空白だらけ、促音が抜ける児童もいた。これは指導のし甲斐がある、と感じた。

 第一に取り掛かったことは、【意識改革】だ。児童に漢字学習について尋ねると、「黙々とやり続けることが嫌だ。」「やり直しが大変。」と否定的な意見が見られた。そこでパワーポイントを用いながら、漢字学習を通して、「粘り強さ・自主性・計画性・丁寧さ」の力が身につくこと、「自分、友だち、先生と、声を出したり協力したりしながら、楽しみながら続ける学習である」ということを指導した。4月初めには、漢字探しゲームをするなど、楽しく漢字に触れる機会を設けた。

 第二に、【読み優先】の指導である。漢字ドリル音読・速読を継続した。特に、学習している単元の漢字の読み(音訓、文例、熟語)は毎回音読してから書く活動に移るようにした。今日学習する漢字だけを読む学級と、毎回単元の漢字を全て読み、時には配当漢字二百字全てを読む学級、それらの積み重ねの差は歴然だろう。また、漢字読み50問テストを行うと、「読みならわかるよ!」と意欲的に取り組むことができ、平均点は90点だった。平均点の高さも、児童の自信につながったようである。

 第三に、【自主勉強との関連】である。3年生から本格的に始まった自主勉強。4月は意欲面を評価し、楽しく取り組むことに重点を置いた。5月の大型連休明けからは、自主勉強のレベルアップを掲げ、内容のテコ入れを始めた。イメージは「簡易PDCAサイクル」を回すである。漢字50問テストの実施日を伝え、それまでに自分がどのような自主勉強ができそうか計画する。実際に自主勉強に取り組んでみる。教師からのアドバイスや友だちとの自主勉強ノート交流で評価をしあい、ギャップに気づく。このあたりで、ノートに大枠で漢字を数個書くというような学習方法は減少していった。そして、一字を繰り返すのではく、熟語や文章で書く、漢字ドリルだけでなく教科書の熟語などを探して書くというような改善策が共有されていった。

 これらの指導を計画的に行い、迎えた漢字50問テスト。全員が漢字に集中している。空欄を作る児童はいない。テスト中でも、指書き空書きなどで必死に思い出そうとする姿があった。結果、平均点は92点。中央値・最頻値共に98点だった。目標達成である。児童にも教師にも嬉しい瞬間だった。今後も実践を重ねながら、どの児童も力のつく漢字指導の在り方を研究していきたい。
(東近江市立能登川南小)