全校児童が言葉に親しむために
北 川 雅 士

 今年度から教務という立場になり、様々な学年の学習に補充などで入る機会が多くなった。これまで低学年の教室で授業をするという経験がほとんど無かったため、1年生や2年生の国語科の学習に関わることができることはとてもよい刺激になっている。

 4月に「ふきのとう」(光村図書 2年上)の授業を1時間分担当することになった。学習はもう後半にさしかかっており、次時に音読発表会を行うので、グループで役割を確認して音読の練習をしてほしいとのことだった。前時までの学習で音読を重ねており、発表のための練習と聞いていたので、気楽に考えていたが、学習の手引きの「おはなしのようすがよくわかるように、音読しましょう。」という一文をきちんと確認したいと思い、授業にのぞんだ。
 配役の確認をした後、自分がどの文章を読むのかを確認した。全員がもっている教科書の本文に線が引いてあったので、音読グループごとに音読しながら確認した。その後で「お話の様子がわかるように音読するために工夫しているところはありますか」と聞くと、具体的な答えは返ってこなかったので、発表までにもう一度確認しようかということになった。

T 『ふきのとう』のおはなしのなかに、どう読んだらいいのかのヒントがあるかもしれないので探してみましょう。様子がわかる言葉はありますか。
 なかなか手が挙がらなかったので、物語の一部分を2パターンの読み方で読んでみる。
T どうでしたか。お話の様子が伝わるのはどちらでしたか。
C さむかったねって書いてあるから寒そうによんだほうがいい。
T 寒そうってどんな読み方になりますか。
C (思い思いの寒そうな読み方で音読)
C でもささやいてないとあかん。『ささやいています。』って書いてある。
T ささやくってどういう話し方になるのかな。
 みんなでささやくについて確認。
T では、どんな音読になったか読んでみましょう。
C (「さむかったね。」「うん、さむかったね。」を読んで交流する)
T ほかにもありますか。自分の役割が音読する文章で様子がわかるところに赤鉛筆で線を引きましょう。

   改めて、文章を読むと、他にも様子を表す言葉がたくさん見つかったため、もう一度練習したいという声や、役割をもう一度話したいという声もあったので、担任の先生と相談してもう一時間音読の練習をしてから音読発表会を行うことにしてもらった。教科書の学習の手引きでは音読で気をつける事として「・姿勢 ・口のあけかた ・声の大きさ ・読む早さ」があげられている。この日の学習が今後の音読につながっていくといいなと思った。

 2年生以外にも、今年度は単元の途中や、1時間の単元で指導する機会が多い。どの学年、どの学習内容でも、これまでの自分の経験を生かしながら指導していくことに加え、これまでのさざなみ国語教室の実践を読み返しながら、改めて低学年や入門期の言葉の指導について学びたいと考えている。
 また、児童たちが国語に親しむ機会を増やしていけるように、学校の昇降口に毎月の各学年の学習教材の紹介や、季節の俳句コーナー、校内俳句大会などを実施していこうと考え取り組んでいる。立場は変わったが、全校児童が言葉に親しめるようにしていきたい。
(彦根市立城南小)