「話し合い」が成立する学級づくり
川 那 部 コ

 今年度、本校学校経営全体計画の具体的重点目標に、「『話し合い』が成立する学級づくり」を挙げた。その意図は、次の二点である。
○「話し合い」を通して、学習集団を育成する。
○「話し合い」を通して、学級集団を育成する。

 前者は、「話し合い」が成立する学習集団を育成する過程で、授業改善を図り、学力向上につながることをねらっている。
 「話し合い」が成立するには、まず、テーマに対する考えを個々の児童がもち、そして、それらを交流する場で、相手の発言を受けて自分の考えを発言し、個々の発言を練り合って考えをまとめていかなければならない。このような授業を通して、考える力、話す力、聞く力等を育成していくことになる。また、このような授業の積み重ねにより、学習規律を定着させたり、学び方を習得させたりしながら学習集団が育成されていく。

 後者は、「話し合い」が成立する学級集団を育成する過程で、互いに認め合い、支え合う集団づくりにつながることをねらっている。
 間違った発言をしても笑われない。自分の発言をみんなが受け止めてくれる。そんな自分の考えを安心して話せる集団。一部の児童の発言で完結するのではなく、個々の考えが活かされる集団。このような集団を基盤に「話し合い」は展開していく。換言すれば、「話し合い」が成立する学級づくりは、そんな安心感や喜びのある集団を育成していくことになる。

 「話し合い」が成立する授業づくり
 一見、活発に発言しているようでも、発表の羅列で完結していては、「話し合い」とは言えない。発表のし合いっこ状態である。しかし、あえてこれを否定せず、「話し合い」が成立する一過程ととらえ、そこから「話し合い」へとコーディネートしていきたい。

○個々の発表が生まれる状況をつくり出すために
・クラス全体に聞こえる声量
 声が、クラス全体に届いていることは、話し合いの大前提である。ところが、「大きな声で話してごらん」では、発表の声は大きくならない。大きな声を出す経験をさせることが重要である。ゲーム的な要素を取り入れて大きな声を出す必然のある場や、知らず知らずのうちに大きな声を出していたという場を工夫することが有効である。
・考えのため込み
 発言できるだけの考えのため込みを、各自に保障する必要がある。話せる内容があれば、気持ち面の支援により発言が生まれる。
・話し方のスキルの獲得
 「まず、次に、それから」、頭括等々、どのように話すとよいかのスキルを身に付ける場を工夫する。
・聞く力、態度の育成
 態度面にとどまらず、ポイントをおさえて聞く、順序を表す言葉に着目して聞く等々、聞く力そのものを鍛える場を工夫する。

○「話し合い」へつなげるために
・授業者の出番
 様々な考えが出そろったあとが、話し合いの場となる。授業者は、発言を対比して共通点や相違点を見つけ出したり、意見を整理したりする機会を逃さない。
・話し合いのテーマを吟味
 様々な視点から多様な意見が出せるテーマを設定することが重要である。国語科の授業だけでなく、様々な教科や領域等において話し合いの場を工夫したい。
・話し合いの様々な形態の経験
 事前に用意した原稿を順に話すだけでは、話し合いではない。ペア、小グループでの話し合いを活性化させたい。同時に、司会者を育てることが肝要となる。

 「話し合い」が成立する学級をつくることは、一朝一夕にできることではない。しかし、それを目指していく過程を大切に、学校全体として取り組んでいきたい。
(栗東市立治田東小)