作文指導
川 部 長 人

 昨年度、三年生の担任をしており、行事の後などには作文を書くようにしていた。子どもたちに作文用紙を配ると、「えぇー、めんどくさ」という声が返ってくることが多かった。当時を振り返ると、「作文指導」と言えることはほとんどできていなかったことが大きな原因である。

 どうにかしたいと思っていたある日、給食の時間に音楽集会の作文発表があった。各学年の発表を聞いていると、とても印象に残るクラスがあった。子どもたちの思いがとても上手く表現されており、聞いている自分がとても楽しい気分になった。早速その先生に作文指導のことを聞きに行くと、校内でミニOJTを開こうということになった。作文指導には段階があるということを学び、まずは「作文の書き出し」と「五感で感じたこと」をもとに作文を書いてみることにした。その時子どもが書いた作文を紹介する。

『三年生で一番がんばった日』  K・Y
 とうとう来てしまった、この日。心ぞうの音がどくどくと鳴りひびいている。友達もいっしょだった。本気を出す日、本番だ。
 自分がドキドキしているときに、他の友だちが、「みんな気持ち一緒だと思うよ」と、私に言ってくれた。
 (えっ、みんなも一しょだったんだ。少し安心したな)と思い、友だちに「ありがとう。安心したよ」と言った。
 「うん。みんなで力を合わせようね。」と、二人のしゃべり声が教室にひびいた。
 トコトコ。しずかにろう下を歩いて、三年月組は、体育館へ向かう。
 体育館につくと星組は、先に来ていた。
 雪組も来て、三年生がそろった。ビデオさつえいが始まる。
 げきでは大きな動きをした。笑顔も、動きも、自分では百パーセントできたと思う。
 放送を見ると、みんなでガヤガヤ、ワイワイ、楽しかった。
 本当に、みんなで、心を合わせていいげきができた。

 一度の指導だけで、子どもたちの書く文章が大きく変わったことに驚いた。この日をきっかけに、子どもたちは作文を楽しんで書くようになり、私も子どもたちの作文を読むのがとても楽しみになった。後日、作文指導について学んだ先生から岩下修さんの『書けない子をゼロにする作文指導の型と技』という本を紹介していただき、現在はその本をもとに作文指導について学んでいるところである。今年度の五年生の子どもたちとも、作文の学習を楽しんでいきたい。
(東近江市立能登川南小)