提案しよう、言葉とわたしたち
西 條 陽 之

 「提案しよう、言葉とわたしたち」(光村五年)はスピーチを通して、相手に何らかの行動を呼びかけるような提案をすることを目指す「話すこと・聞くこと」の単元である。自分の考えを話したい、説得力を持たせて伝えたいという思いを引き出せるようことを目標に実践を行った。

@生活経験の中での言葉について見つめ直す。
 子どもたちから出された課題には、「相手に話を聞いてもらえない」や「素直に謝れない」、「長い文を話すことが苦手」といった実生活で本当に困った、あるいは困っている、自分の感情の伴った経験が具体的に出された。逆に、敬語の使い方やら抜き言葉などはこちらが提案するまで出ることはなかった。
 このことは、普段から言葉に着目させる経験を積み上げられていないという反省点であり、コロナ禍で話し合いや人前で話す経験が大幅に減った代償であるとも言える。ともあれ子どもたちは自分が課題だと思うことを素直に受け入れて、対処法を自分で考えたり、調べたりしていた。

A説得力を持たせる資料作り
 アンケートや資料作りには、タブレット端末が有効活用できた。アンケートをノートアプリで作成し印刷する子もいれば、クラス共有をして直接書き込んでもらう子もいた。もちろんタブレット端末に固執することなく、一人ひとりに直接インタビューを実施する子もいた。
 算数科でNumbersを使って集計をした経験を活かしてほとんど自力でグラフを作成することができた。絵が得意なら困った場面を漫画にしたり、フリップに直接字を書いて提示する子もいた。デジタルにしろアナログにしろ、資料作りのどの場面でも、自分にあった方法を選択できることに価値があると考える。

 一人一台のタブレット端末を運用して一年。タブレットで学習を変えるというよりも、子どもたち一人一人が自分らしく表現したり、それを認め合ったりすることが尊重されることが求められる時代になっているのではないだろうか。
(大津市立小野小)