ICTを活用した「話す・聞く」の学習
北 川 雅 士

 国語科の学習で資料を効果的に活用してスピーチを行うことをねらいとした学習に取り組んだ。今年度はGIGAスクール元年ということで、6年生では、学習の中にどのようにICTを取り入れると有効なのかを各教科で試行錯誤しながら学習を進めてきた。この学習でも一人一台のタブレットを使用したスピーチの学習に取り組んだ。

 導入で学級の子どもたちにこんな質問をなげかけた「これまで自分のスピーチって聞いたことありますか。」するとほとんどの子どもは「ない」と答えた。そこでまずは学級で決めたスピーチの話題について簡単なスピーチメモを作り、タブレットで自分のスピーチを録画し聞いてみることにした。子どもの反応は面白そうと自分の声を聞くのが嫌だというのが半々くらい。練習なので撮り直しはなしということも確認してタブレットで記録し、自分のスピーチを聞いて学習の課題を出し合った。自分のスピーチやマイクを通した自分の声を聞くというのは新鮮だったようで、何度もスピーチを聞き直して改善点や課題を見つけている姿が印象的だった。

 子どもが感じた課題には大きく2種類あり『自分のスピーチの姿勢や声の大きさに関すること』と『スピーチの内容について』が挙げられた。教科書で単元の学習の流れは確認をしていることもあり、「教科書のように資料を使うと説明がしやすいんじゃないか」という意見は子どもたちから出てきたので、改めてスピーチの構成を考えることになった。
@録画した自分のスピーチをもっといいものにしよう。
Aスピーチで伝えたいことが相手に伝わるように工夫しよう。
B資料を使うことで「わかりやすい」と思えるスピーチにしよう。
という3つをポイントにしてスピーチを改善していった。
 学習のまとめでは、改めてスピーチを記録し、始めのスピーチと比較することで、自分のスピーチがどのように変わったのか、資料のあるなしでスピーチの伝わり方は違うかということを自分で振り返ると共に、グループで動画を見せ合い、資料が「わかりやすい」スピーチにつながっているのかを互いに話し合った。

 今年度1年間タブレットを活用した学習の方法に取り組んできて、良かったなと思えるのは、タブレットやICTを活用することで子どもの学習意欲が大きく変化するという点についてだ。この実践でも普段スピーチや意見を言うのも難しい子どもがタブレットの画面に向かってスピーチを行い、友だちと交流して「学習が楽しい」「これまではスピーチがいやだったけど、自信がもてたので、みんなの前でも話せそう」と振り返りに書いていた。『画面越しのスピーチ』で終わってよかったのかという課題はあるものの、ICTを活用することで、これまでとは違った学習課題の持ち方ができたのではないかと思う。6年生は今使用しているタブレットを中学校に持ち上がると聞いている。今回の動画はタブレットに保存してありいつでも見ることができるので、時々見返しては、中学校でのスピーチにつなげてくれると嬉しい。
(彦根市立城南小)