学習用語を定義する
川 端 大 介

 先日、二年生の国語の教科書内容の指導を一通り終えた。ふと、考えたことがあった。「いったい、どんな力が子どもたちについたのだろう。」ということである。
 今年度、クラスでは活発に話し合いが行われたように感じる。今年度は物語文と説明文の指導に力を入れた。中でも物語文では、子どもたちがこだわって話し合う場面が多かった。叙述に基づいて自分の体験と照らし合わせて読んだり、登場人物の気持ちがガラッと変わった所はどこかの解釈を交流したりした。

 なぜ、子どもたちが活発に話し合いを行うことができたのかを自分なりに分析してみた。複数あるが、一番の要因が見つかったように感じる。
 それは、『学習用語を定義する』ことである。「『お手紙』の登場人物は何人ですか?」「『スーホの白い馬』の登場人物は何人ですか?」と問われたら、明確に答えられる子どもたちに育っているだろうか。こんな問いは愚問だと言われればそれまでだが、案外答えられない子どもたちが多いのではないかと考える。

 私は初任の時、国語科、物語文における「登場人物」の概念が分からなかった。しかし、単元の初めに、登場人物を検討する際、教室には少なからず混乱が起こったように感じる。
 この「登場人物」の定義が子どもたちに指導できておらず曖昧だったため混乱が生じた。そんな中、中心人物や対役、脇役の検討などできるはずがない。話し合いなどできるはずがないと思った。

 登場人物とは「物語の中で、人間と同じように考えたり行動したりする、人や物のこと。」これを、登場人物の定義として子どもたちに教えてからは、どの子どもも自分の力で登場人物を本文から見つけ出すことができるようになった。他にも、「お話を劇にした時、役が必要になるもの」も子どもたちにとっては分かりやすい。
 「お手紙」の中で『がまくんとかえるくんのどちらが中心人物ですか』と発問することで、がまくんとかえるくんの関係性や人物像について多様な解釈を交流することができる。

 お話を読むための明確な定義は『学習のものさし』とも言えようか。その『ものさし』を子どもたちが手にした時が作品に対して主体的に関わっていくことができるようになるのでないかと今の自分は未熟ながら考える。
 学習用語を定義することの大切さに気づき、用語を子どもたちと共有し、問いを発することで子どもたちの話し合いが活発になったのだろう。物語文を豊かに読める子どもたちが育ち、豊かな心を育んで幸せな人生を歩んでいける一助になれるように今後も指導していきたい。

 次年度、担任する子どもたちがいくつの『ものさし』を持っているのかを楽しみにしながら、国語授業の充実に向けて励んでいきたいと強く感じた。
(守山市立立入が丘小)