聖火トーチ
弓 削 裕 之

 北京オリンピックが開催されている。子どもたちの日記でも、テレビで観戦したことについて話題にされていることが多い。
 そんな中、学校に東京オリンピック2020の聖火リレーで使用されたトーチが届いた。さっそく正面玄関に飾られ、登校してきた子どもたちの注目の的になった。「ぜひ持たせてあげてください」と教頭先生に勧めていただき、一年生が一人ひとり持たせてもらえることになった。貴重な機会だと思い、感想を書く時間と合わせて一時間の授業にした。数人ずつ正面玄関に呼び、子どもたちにトーチを渡して記念写真を撮った。教室で待っている子どもたちのワクワクが伝わってきたので、「待っている間の気持ちも書いていいですよ」と話した。「いいんですか」という反応。思っていた以上に鉛筆が進んでいて、順番が来ても「もう少し書きたいので後でもいいですか」と言う子もいた。

 わたしは、トーチをさわるまえ、ドキドキしています。わたしは、トーチはどういうものか、そうぞうしました。「あついのかな、つめたいのかな、かたいのかな、やわらかいのかな、いろはなにいろかな、おもいのかな、かるいのかな。」と、いろいろそうぞうしました。

 さわるまえはドキドキしていて、こわしたらどうしよう…とおもっていたけど、さわったときはとてもかるかったので、オリンピックにでようかな…とおもいました。

 ぼくは、きょう、一生に一どあるかないかというくらいとくべつなものをさわらせてもらいました。それは、なんとせい火ランナーがもちながらはしるトーチです。先生もさわったことがなかったので、さわれるときいてすごくうれしくてとびあがりそうになりました。ついにさわれるばんがきて、とても、きんちょうして、かおがまっかになりそうでした。

 はじめ、とってもどきどきしました。つめたいかなとおもったけれど、とてもあたたかくかんじました。わたしは、オリンピックのおおくの人がトーチをもっているんだなとおもいました。

 ドキドキするな。トーチをさわれるなんてすごいよ。だってきょうしかさわれないトーチがきたんだもん。この学校にこれてよかったな。ずっとこの学校にいたいな。

 体験の直前直後に作文を書くと、子どもたちの言葉に臨場感が出た。その後、校長先生が全校朝礼で一年生の作文を紹介してくださり、聖火トーチは惜しまれながら帰っていった。
(京都女子大学附属小)