滋賀県理科研究大会 〜「考えることを楽しむ児童」を目指して〜
蜂 屋 正 雄

 県の理科部会研究大会を行った。校内研究も理科で「思考力・判断力・表現力」に焦点を当てて研究を行ってきた。思考を楽しむためには、
 o自分の意見を持ち書く力
 o交流する力
 o交流して得られた考えを統合して、より妥当性のある考えを生み出す力
が必要であると考える。

 これだけの力を理科の学習だけで培うことは難しい。国語科をはじめとして、すべての教科での積み上げが必要となってくると考え、特に国語科では、
 o出来事を正確に書く
 o自分の考えと根拠を書く
 o話し合う
 o自分の学習を振り返る
という過程を繰り返してきた。個人で考え、伝え合い、全体で共有し、振り返る過程の積み重ねが大切であると考えたからである。さらに、個人で考えることが難しい児童にとって、交流することで自分の思いに近い意見と出会い、参照することで、自分の考えを言葉にする経験を重ねることができたと考える。

 理科の学習とは、人との交流を通じて、ものと交流する学習でもある。「読み解く力」の過程を経ながら、未知なるものに力を合わせて立ち向かっていくイメージである。四年生の理科学習では、児童に事象の法則性に「仮説」を持たせたり、実験結果に「予想」を持たせたりしながら、そう考えた理由をこれまでの経験から記述させる。
「空気は押し縮められないと思います。理由は、ごみ袋の空気は抱きしめると隙間の方に逃げてパンパンになるからです。」
「水は温度が上がっても体積は大きくならないと思います。理由は空気は押し縮められたが、水は押し縮められなかったから、今回も水は変化しないと思います。」
 以上のような予想は、実験前の半数以上の児童の予想であった。科学の知識としては間違いであるが、理科実験の「予想」としては満点である。
 このように、理科の学習では目の前で自分の予想と違う結果を発見するほど、児童は勝手に思考を進め、言葉の力をつけていく。

 また、国語科学習での登場人物の気持ちや著者の思いを考えることに比べると、「大きくなる」「小さくなる」「変化しない」などの三択で考えを表現できる点や具体的にモノがある点は、文章で表現することが苦手な児童にとっては、国語科よりも言語活動を行いやすいとも考えている。
 これからも、理科の視点を生かした言語活動を通じて、言葉の力を伸ばしていきたい。
(野洲市立北野小)